塚田 洸さん 特集インタビュー

ワーキングホリデーで訪れた時にカナダの魅力に取りつかれ、移住を決意。趣味で始めたビール作りにのめり込み、雑用ボランティアからフルタイムのブルワーポジションを獲得。現在は現地ブルワリーParallel 49でビール作りに励む

塚田 洸さんの特集インタビュー

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趣味で始めたHomebrewingがきっかけで異国の地カナダでクラフトマンとしてビールを作る塚田洸さん。ビール作りやバンクーバーの魅力だけでなく、英語習得のコツや今後の目標なども語ってもらった。

カナダで暮らすことになったきっかけはなんですか?

ワーキングホリデーでの滞在が気に入って、大学卒業後にフリークライミングの岩場を求めて、バンクーバーから北に60キロほど行ったところにある、スコーミッシュという田舎町に3年間住んでいました。

こちらでビール作りの学校に通われたのですか?ビール作りを仕事にしていきたい、と思ったのはいつ頃でしたか?

スコーミッシュに住んでいるときにHomebrewing(=自宅での趣味のビール醸造、北米では合法)を始めたのですが、のめり込んでしまって、プロの技術を盗んでやりたいと思うようになりました。それから毎週2日、バンクーバーにある現在働いているブルワリーParallel 49まで、ボランティアで雑用をさせてもらいに通うようになりました。4ヵ月目からパートタイマーとして給料ももらえるようになり、更に5ヶ月後、ちょうど前職の契約期間が終わる時期に急遽ブルワーに欠員が出て、フルタイムのブルワーにならないかと声をかけてもらえたので、転職してバンクーバーに引っ越してきました。通常は経験も専門教育も無い状態でブルワーとして雇ってもらえることは殆ど無いのですが、ボランティアをしていたおかげで仕事ぶりや信頼性を評価してもらえたこと、何より会社の醸造作業を勉強していたので、トレーニングの要らない即戦力として、欠員のタイミングにその場にいられたことが功を奏しました。もともと趣味の上達の為にブルワリーに通い出したのですが、仕事としてのビール醸造も体験してみて、趣味としての情熱と仕事としての側面がうまく噛み合うように感じたので、この職業でやっていくことに決めました。

バンクーバーに残ろうと思えたバンクーバーの魅力について教えてください。

バンクーバー近郊にはクラフトブルワリーが40軒ほどもあって、新しいブルワリーも続々とオープンしています。Parallel 49から徒歩で10軒以上のブルワリーをハシゴできるくらいです。現在のバンクーバーは、クラフトビールに関して最高に面白い「時」と「場所」だと思います。ブルワーとして乗らないわけにはいきません。

来たばかりの頃の英語力はいかがでしたか?何か勉強のコツがあれば教えてください。

昔から学校の科目の英語は得意だったのですが、会話力や実践的な能力は今と比べると全然ありませんでした。勉強のコツとは少し違いますが、英語の勉強を目標にするのではなく、英語で好きな分野や趣味の勉強をするといいと思います。新しいことが身に付きますし、同好の仲間もでき、楽しみながら英語の勉強もでき、一石何鳥です。また、ビール造りがまさにそうなのですが、英語でしか勉強できない分野を学んでおけば、他の日本人があまり持っていない強みになると思います。

様々なフレーバービールがありますが、新しいビールのアイディアはどのようにして生まれてていくのでしょうか?

こう言うと夢が無いように聞こえるかもしれませんが、新しいフレーバーに関しては、誰かがやったことを参考に、ひとひねりを加えて生まれていきます。ゼロから新しいものが生まれるということは殆どないですね。北米にはクラフトブルワーや趣味のブルワーが星の数ほどいるので、相互作用しあって日々新しいフレーバーが生まれています。ブルワリーで新しい製品を作る時は、まず、小さい醸造量のテストバッチを作ります。その結果を元に、繰り返しブルワー達で話し合い、微調整を加え、最終製品を作り上げます。

ビール作りを通して、難しいこと、やりがいに感じることはなんですか?

ビールは目に見えないほど小さい生物である酵母の発酵によって生まれます。そのため、わずかな温度や環境の変化によって酵母の活動具合が変わり、出来上がりの品質が大きく左右されるので、毎回とても気を使います。また、甘みや苦み、ホップの風味など、味のパラメーターの落としどころには常に悩むので、飲む人に美味しいと言ってもらえた時には、やりがいを感じます。

今後挑戦していきたいことはなんですか?

この春に、すでに日本にいる友人とBC Beer Tradingという会社をを日本で立ち上げ、Parallel 49をはじめとするBC州のビールを日本に輸入する事業を始めました。現在、7月の第一便輸入に向けて準備を進めています。あくまでもブルワーが本懐なので、これからもビール造りの修行を続けて、2年後に日本で醸造所を立ち上げるのがもうひとつの目標です。
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Parallel 49 Brewingのオススメビールを教えて下さい。

Jerkface 9000という、ホップの香りの効いた小麦を使ったビールがオススメです。苦みが弱くてゴクゴク飲める軽さでありながら、ベリーやパッションフルーツを思わせるホップの香りが華やかです。クラフトビールに馴染みのない人でも、気に入ってもらえるのではないかと思います。Parallel 49はテイスティングルームも併設されているので、バンクーバーにお越しの際は、ぜひ訪問して飲んでみてください。

夢を追いかけるワーキングホリデーの幣紙読者にメッセージをお願いします。

折角1年きりのワーキングホリデーなので、やりたいこと、興味のあることに尻込みせず突き進んで行って欲しいと思います。働きたいところがあるのなら、募集が出ていなくてもレジュメを持ってアポなしで訪問してみるとか。カナダでは常識や作法よりも、情熱や行動力を評価してもらえると思っています。


塚田洸(つかだひろし) 

1986年生まれ。北海道札幌市出身。2008年に大学を休学してワーホリで渡加。帰国して大学卒業後、2011年にスコーミッシュに移住し日本食レストランで働く。2012年にPR取得、Homebrewingを始めるたことがきっかけで、2013年からParallel 49でボランティア開始。2014年からフルタイムブルワーとして活躍中。趣味はフリークライミング、ランニング、Homebrewing。