カナダではなぜビニール袋に牛乳?!|特集「カナダの“なぜ”に迫る」


トロントに来たばかりの日本人のほとんどがこの疑問を抱くのでは!?お隣の国アメリカからも、「カナダ人はプラスチックバッグから牛乳を飲むらしいぞ!どうなってるんだ!!」と好奇の目で見られてしまうことがあるようだ。

1.はじまりは1970年代、カナダ政府が行った「メートル法の採用」

 1960年代後半まで、カナダの牛乳はガラスビンでの販売が主流だった。しかし配送にコストがかかり、割れる可能性もあるというデメリットが問題視されていた。結果、私たちもよく知る紙パックや、プラスチックの容器が主流となっていくのだが、そんな時に、実は一足先にプラスチックバッグでの販売を推進している企業があった。

 それは、当時からヨーロッパ発の技術や製品を積極的に採用していた、カナダの「Dupont」だ。当時プラスチックバッグは他の素材に比べてもコストが安く、軽量であるため、「Dupont」は一番合理的な解決方法だと考えていたという。

 しかしビンや紙パックに見慣れている消費者にはなかなか定着しなかったが、 1970年代にカナダ政府が行った「メートル法の採用」によって状況が変わる。メートル法は、食品の製造販売を行なっていた業者の多くが、工場のラインや製造・包装課程を一から設計し直す必要があり、牛乳に関しても使用していた紙パックやビンのリサイズが求められたというのだ。

 これにより、リサイズも他の素材と比べて容易だったプラスチックバッグが活用されていくようになり、消費者にとってもかさばらないので場所を取らない、紙パックやビンタイプよりも軽く、多少安く買うことができるなどのメリットも生まれた。実際にヨーロッパや南アフリカの貧困層の多い地域では、プラスチックバッグ入りの牛乳が多く置かれているとのことだ。

2.世界では結構スタンダードだった!!

 私たち日本人にとっては物珍しいプラスチックバック入り牛乳だが、ヨーロッパ圏では案外普通なのだ。調べてみると一番初めに利用されたのはイスラエルで、1960年代頃からだという。

3.カナダ国内でもいろいろ! バッグ入り牛乳を飲む州・飲まない州


 マニトバ州・ブリティッシュコロンビア州・アルバータ州などのカナダ西部ではプラスチックバッグでの販売はほとんどされておらず、オンタリオ州・ケベック州で見られる光景だという。今や購入される牛乳の70~80%がバッグ入りだというオンタリオ州だが、カナダ全体でみると50%までその割合が下がる。

4.カナダ流!環境に優しくて画期的な再利用


 プラスチックバックはホームレスや災害・貧困で物資の足りない国や地域のために「マットレス」などに生まれ変わって再利用されている。強度が優れている点を生かし、糸状にカットし編むことで約25年も使える丈夫なマットレスになるのだそう。

 また洗うことができるので、災害地などでは診療台としても利用されているとのことだ。

 そのほかにも、カラフルな見た目を生かして、ハンドバックも作られている。ツイード生地を使ったかのような仕上がりになるのが興味深い。

 ネット上では、フレーム作りからマットレス完成までを自分で行う方法も公開されている。袋さえ集まれば、自分で作って、それを寄付する。小中学校などのボランティア活動の一環としても再利用されている。