カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#05

グローバル展開をする日系企業で働く、カナディアン・ビジネスピープルに迫る。#05
日本を代表する企業が、ここカナダでも多岐に渡るビジネスを展開している。現地の社員たちはどのような考えを持って、自社のビジネス・商品・サービスを受け入れ、自分のキャリアに活かしているのだろうか。今回、企業と独立行政法人で働く6人のカナディアン社員に、ビジネス慣習や言語・文化の違い、仕事のスタイルなどについて実際感じていることや体験したことなどを語ってもらった。

bandai-namco-jaime-tatsubana-01バンダイナムコスタジオ・バンクーバー
Jaime Tatsubanaさん

部署 : Producer
職歴 : 2011年~2013年:EA Canada (FIFAワールドクラスサッカー) 2013年:GREE in 東京 (メタルギアソリッド、AKBステージファイター)
趣味・特技 : サッカー観戦 (レアルマドリード、チェルシー)、 お酒を飲むこと、飲まれること、 サバゲー、ゲーム(FIFA & Call of Duty)

子ども時代にバンダイナムコの製品で遊び育ったJaimeさん。東京のゲーム会社でも働いた経験をもつ彼は日本語を流暢に使いこなす。現在はバンクーバーにあるバンダイナムコ・スタジオでプロデューサーを務めている。


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オフィスの風景

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オフィスが入る施設

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バンダイナムコの商品

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バンダイナムコの商品


プロデューサーという仕事は非常に広い領域をカバーしていると思いますが、具体的なミッションはどのようなものなのでしょうか?

プロデューサーという職種は仕事の幅が広く、場合によっては億単位の交渉から雑用みたいなこともやる職業なので、ピンポイントに「これをやっています!」とはなかなか言えないのです。でも大きいテーマでいうとゲームのプロジェクト・マネージャーとスタジオの発展が挙げられます。

プロジェクト・マネージャーの仕事は、プロジェクトに関わる人の仕事をもっと簡単にすることがミッションになっていて、どうすればプロジェクトを効率的に進めていくことができるか、どうすれば他の社員が安心して働けるか、などを常に考え、実行していきます。 プロジェクトによってはゲームの宣伝や、予算管理、法務関連の分野の仕事もこなしていきます。

スタジオの発展という分野は、広報と採用活動が中心の業務になります。バンダイナムコは、日本では有名ですが北米ではまだ印象が薄いので、人材募集を出しても応募者が少ないのが実情です。でもPac-Manや鉄拳の知名度は高いのでネットや地域活動に参加して「Pac-Manと鉄拳はバンダイ・ナムコブランドですよ!カナダに子会社が出来ていますよ!」と大きな声で注目を集めるような努力をすることもあります。今年の夏はアニメ・レボリューションというカナダのコミケみたいなイベントにも会社として参加しました。
左記のリンクでご覧ください。

animerevolution.ca/featured/introducing-bandai-namco-guests

子供の頃からバンダイナムコの製品のファンだそうですが、自社製品に対しての思い入れを教えてください。

私はバンダイナムコの製品の“ガンプラ”に熱中した時代もあれば、“スーパーロボット大戦”のために授業を休んだこともあるほど、バンダイナムコと一緒に育ってきた人間なのです。だから自分の目標は10年、20年後に誰かが弊社に面接に来て、「志望理由は、あなたが作ったゲームと育ったからです」って言ってもらうことです。もちろん業績は必要だけど、本当に大事なことは「覚えてもらう」ことだと思います。バンダイナムコはそういう夢のある会社だと思います。

東京で働いた経験もあり、日本の文化やテクノロジーなどにも造詣が深いと思いますが、ご自身のお仕事にも関係するクール・ジャパンという分野についてどのようなお考えですか?

日本のカルチャーは、よくクール・ジャパンと呼ばれていますが、本当に世界とは違う線を行っているなと思います。“Death Note”みたいなノートに名前を書くだけで他人を殺す能力があったり、少女漫画の壮絶な恋話だったり、腐女子が好きだといわれているBoys Love漫画だったり、他にも“ファイナルファンタジー”のキャラクターってみんな美男美女だったり・・・それぞれ作者はどういう欲求があってこのような作品を世に出したのだろうかと考えてしまいます。あの人を殺したいとか、人生一回の恋をしてみたい、美男美女になってこんな世界に住んでみたいなど・・・そんなことを考えているのでしょうか・・・。きっと日本のクリエイティブ文化は過剰なまでに人の潜在的欲求を表現していているのだと思います。でもそれは見る人や読む人にとっては開放感を覚えるものもあったり、どうしようもないコンプレックスや欲望、または他の人には理解してもらえない自分を受け入れてくれる存在になっていることもあるのだろうと思っています。そしてどうして日本文化はこの様な作品を次々と生み出してしまうのか?弾圧が強い文化なのか? そしてこれは健全な社会なのか?などという疑問が頭に浮かぶこともありますが、自分自身それを問うつもりはありません。

でも面白いと思うことは、日本から発信されて北米で大ヒットになったコンテンツは、“One Piece”だったり、“Naruto”などです。どれも最初から海外向けに作っているつもりが全く無い。極端なまでに日本人っぽい作品です。むしろ日本企業が海外向けに何かやろう!と思うと、日本人のユニークな価値観が失われてしまい、山ほどある失敗談の一つになってしまうと思うので、私は日本の価値観を大切にしたいと思っています。

仕事を通じて日本のカルチャーを意識するときはどんな時ですか?

今年の夏に行ったカナダのアニメ・レボリューションというイベントには衝撃を受けました。これはカナダのコミケみたいなイベントなのですが、潜在マーケットが思ったより大きいことを感じました。3日間で1万2000人が参加し、みんなルフィーや、進撃の巨人とかのコスプレをして本格的にイベントに入り込んでいました。自分は小学5年生の時にカナダに移住したのですが、今考えてみるとアニメという存在を知らない10代、20代のカナダ人がいるなんて、聞いたことがないですね。

ご自身にとって日本企業で働いていることは、今後の目標やキャリアステップにどう役に立っていくと思いますか?

これから世界はどんどん繋がっていき、グローバルなフィールドで勝負していく企業もますます増えてくると思います。その中で国境を越える仕事に携わっていることは誇りに思いますし、ユニークな経験でもあります。これからどうやってこの経験を活かしていくかはまだ分かりませんが、今はバンダイナムコ・バンクーバーが注目されるように頑張りたいと思っています。