日本産食材の奥深さと可能性をカナダで発信!日本産食材サポーター店セミナー「Best of Japan」|メイドインジャパンでカナダを攻めろ!

日本料理の名店「つきぢ田村」三代目 田村隆氏を招いて行われた

田村氏の鮮やかな手つきには参加者も食い入った


2月2日(金)、Canada’s 100 Best Restaurantという雑誌を立ち上げ、トロントだけでなくカナダのグルメに精通しているジェイコブ・リッチャー氏がホストし、農林水産省が主催する日本産食材サポーター店セミナーがダウンタウンの人気アジア料理店DaiLoで開かれ、昨年トロントにオープンした創作日本料理店Skippaのイアン・ロビンソン氏を始めとした多くの関係者がセミナーに駆け付けた。

 セミナーでは最初に酒ソムリエのマイケル・トレンブリー氏から旨味、日本酒、出汁についての概要が説明されたあと、日本から招待されたつきぢ田村三代目の田村隆氏による出汁の取り方の実演、カナダ人シェフデニス・テイ氏による出汁を使った料理の実演が行われ、日本産食材の活かし方と魅力など更なる普及を図るセミナーが行われた。

和やかな雰囲気に包まれた会場


 セミナーの開催にあたって農林水産省の食文化・市場開拓課長、西経子氏は来場者と伊藤恭子総領事、JETROトロント事務所の酒井拓司所長、そしてスペシャルゲストの田村氏を始めとしたシェフたちに感謝を述べた後、このイベントに参加された方が日本産食材と日本の食文化に対する理解を深め、日本産食材を使った料理がカナダを含めた海外でより普及すること、そしてそれがより日本とカナダの交流を深めることにつながればと期待を寄せた。

セミナーへの期待を語る農林水産省の西経子氏

スピーチを行う伊藤恭子総領事

 伊藤恭子総領事からもまずは来場者や関係者への謝辞が述べられた。世界で、そしてトロントで和食が脚光を浴びていること、そのこともあってGTAだけで800店舗も日本食レストラン、日本産食品や和食の技術を活かしている店があるという。日本政府も和食や高品質の日本産食材の情報発信に力を入れているそうだ。また、2018年は日加修好90周年の節目の年でもあることから2か国間の交流を深め、相互理解を促進するようなイベントを更に開催していきたいと意気込みを語った。最後にこのイベントを通し、日本食に親しみを持つ人が増えれば嬉しいと挨拶を締めくくった。

 JETROトロント事務所の酒井拓司所長はJETROの業務内容を説明した上で現在プライオリティーが高いのは日本食材の更なる普及であり、農林水産省とも協力して活動を行っているそうだ。この目的の一環として日本産食材サポーター店認定制度が導入された。認定制度を利用するレストランが増えることで店舗側も食材に関する情報を仕入れやすくなると同時に情報発信も活発になるため、更に日本産食材の普及が進むことに期待を寄せた。認定制度導入から2年目にして2000店舗が認定を受けており、これからも増えていくことが予想されるため、これからもネットワークを拡大するだけでなく密なものにすることでよりしっかりとサポートをしていきたいと述べた。

日本酒を知り旨味を感じる

挨拶をするJETROトロント酒井拓司所長

酒ソムリエトレンブリー氏の日本酒関するプレゼン

 イベントはまずトレンブリー氏による日本酒、旨味、そして出汁についてのプレゼンテーションが行われた。トレンブリー氏はロンドンで開かれるInternational Wine Challengeにも審査員として出席する等トロントでは指折りの酒ソムリエであり、日本産食材についての知識にも富んでいる。

 トレンブリー氏は出汁は日本食の基本であり、料理の味をつなげる役割があるため旨味を決める重要な位置づけにあるとし、作り方と材料の選び方を知ることがとても重要だとした。

 日本酒については日本酒の概要、歴史、そしてグレードについて説明があったあと、より詳細な地域による日本酒の違いやどのような食べ物に合わせるかについての説明もあった。実際の味を知ってもらおうと当日はトレンブリー氏一押しの「遊穂」と「備前幻」が参加者に振舞われた。

セミナーで紹介された「遊穂」と「備前幻」

 旨味は言葉で説明するのは難しく、他の材料と合わせることで初めてはっきりとした味がわかるとしたあと、実際に旨味を感じるには生のマッシュルームを10秒ほど電子レンジに入れた後、味を確認することがおすすめだそうだ。旨味のたっぷり詰まっている食べ物の代表としては緑茶、海藻、シイタケ、そして日本酒がある。

 参加者たちはメモを取ったりスクリーンに映されたスライドの写真を撮るなどして熱心に話を聞いていた。

伝統的な出汁と斬新な組合せ

 実演ではつきぢの田村隆氏、DaiLoのテイ氏がそれぞれ日本の真鯛と出汁を使った料理を振舞った。

田村氏の一品は素材の良さが活かされたとても優しい味

 田村氏は美味しい出汁の作り方のステップを1つ1つ解説し、より美味しい出汁をつくるためのポイントも交えた実演を行った。当日出汁づくりに使われたのは日本から持ってきた昆布、鰹節、醤油、そして塩だ。昆布を使う際はそのままの状態で使うことで旨味が抽出されるため、細かく刻むようなことは避けた方がいいというような、自宅に帰っても活かせるポイントの説明もあった。田村氏の実演の様子はスクリーンにも映し出され、多くの人がその技術だけでなく食材に対する豊富な知識に耳を傾けていた。田村氏から振舞われた一品はパンに鯛を四角く包み、暖かい出汁に入れるという素材の味を最大限に生かし、引き出すような料理だった。

 次に実演を行ったテイ氏も同じく鯛と出汁を使った料理を作ったが、伝統的な日本料理というよりもより創作性に富んだ、今までに聞いたことのないような料理を振舞った。テイ氏はトリュフカスタードの上に鯛、醤油を吸わせたタピオカとキャビアとバターで香りを立たせた出汁を掛けた創作料理を手際よく作った。

テイ氏の一品はトロントならではの工夫が盛り込まれた創作料理

創作性に富んだ料理を作るテイ氏

日本食材を使うきっかけに

 テイスティングを終えた参加者からは実際にテイスティングをしながら楽しく日本食、日本産食材について学べるとても有意義なセミナーになり来てよかった、また来たいという声が多く聞かれた。

 また、伊藤総領事は日本から田村氏を招いて日本食について様々な紹介をしていただいたことでとてもいい機会を持つことができ、マスコミやレストラン関係者が多く集まったことによってこれからもより日本食材が広がってくれると嬉しいと述べた。

 酒井所長からはJETROとして日本の農産品をカナダへプロモーションしているが値段が高いものも多いため簡単に輸入をしてもらえないことも多いとしたが、今回のセミナーのような形で質が高く、美味しいものを実際に食べていただくことで少しでも日本産食材を使っていただくきっかけになればと話した。

 冒頭で日本産食材についてのプレゼンを行ったトレンブリー氏は今回のセミナーは実演が2種類あることで文化や手法の違いが見られ、トロントのレストラン関係者にとっても新しい発見があったのではないかと語った。今後も酒ソムリエとして日本酒に関する活動を行っていくことでより多くの人に日本酒を知ってもらい、楽しんでいってもらうことを目標に頑張っていきたいと述べた。

大成功に終わったセミナー後の集合写真


 セミナーを終えた田村氏はトロントで千秋楽を迎え、トロントでも日本食が楽しんで作られていることが嬉しく、カナダからこれからも日本へ料理の勉強しにくる人が増えることで更に日本食と日本産食材が使われることが増えていけばと期待を寄せた。

 実演を行ったテイ氏はとても楽しいセミナーになったと振り返り、田村氏のような日本を代表するシェフと一緒に料理をすることで技術を目の当たりにできたことがとても貴重な体験になったと語った。出汁を使った料理をする上では味が勿論第一だが、色々な組み合わせをこれからも試していくことでまた新たな日本産食材を使った料理をトロントで提供していきたいと意気込みを語った。

 とても和やかな雰囲気に包まれたこのセミナーを通じ、また更に日本食や日本産食材が普及されていくことに期待したい。