日本とカナダのビジネスの可能性第1回

日本には『 匠 』と呼ばれる優れた技術をもつ人や、世界工業界で欠かすことのできない緻密な製品を製造する企業が多くある。しかし中にはどこからもサポートを受けられずやむなく製造をとりやめ、閉業するところがあるのも現状である。
カナダのビジネス環境は、日本に比べて産官学の提携が非常に巧く機能している。連邦政府や、州政府、地方自治体によるNational Research Council、Innovation Centre、 Incubation Centre等の設置、コンテスト形式による支援金の提供、研究開発投資への税金免除等が実施されている。銀行中心の日本に比べ、金融面では投資機関や民間投資家によるエンジェルファンドなど支援システムも普及している。公費で運営されているカナダの大学も研究開発を積極的に支援し、大学自身が技術の特許権を有しライセンス供与ビジネスにも参画して研究開発の振興と収入源を開拓している。このカナダのビジネス環境で起業し発展が期待される魅力的な企業を以下に紹介したい。

検査関連企業

possibility_of_business01_08_2013放射線探知検査システム開発のRadComm社は鉄鋼、金属、金属スクラップ等鉄鋼産業界向けに最先端の放射能線検査システムを世界60カ国に4000システム提供している。日本で一般的に流通しているガイガー・ミュラー式では検出できない中性子線源241Am/Be、252Ct等ニュートロン線も探知出来る携帯用小型放射能線探知検査器から、積載物を運搬するトレーラートラックや船舶コンテナーを積載したまま検査出来る大型監視システムまでも開発展開している。代表者は、日本福島原子力発電所の事故以来日本からの輸出品に放射能線検査を実施しているが、海外からの輸入品対象の放射線検査が徹底していない現状において、このシステムを活用し日本の放射線検査システムの徹底に貢献をしたいと語る。

次世代送電網企業

possibility_of_business02_08_2013スマートグリッドの電力ベンチャー企業Temporal Power 社は技術特許を所有するCTOにより創業されたフライホイール電源装置を開発した。同技術は世界先端技術と評価され、州政府や投資家等から一千万ドルの投資を受けているこの次世代送電の技術は、円盤を超高速回転させ、電気エネルギーを回転の運動エネルギーとして貯蔵する。それを格納出来るエネルギーの量は、その回転速度の二乗を乗じた回転子の質量に正比例する。この電源装置は停電時には瞬時に回転の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し電源を供給する装置で、10KWHから500KWHの対応可能である。一般的な製造工程では一瞬でも電源が切れると製造再開までかなりの時間製造を中断せざる終えない非効率な状況に追い込まれる。このような非常事態においてこの電源装置は力を発揮する。一度設置すると、約20年の長期安定対応が可能である。バックアップにおけるミリ秒対応能力のある即効性のエネルギー資源装置は、電力不足による停電の可能性が高い日本での補助装置として活用できると代表者は日本での事業展開と協力姿勢を前進させたい意向を持つ。

輸送関連企業

possibility_of_business03_08_2013環境対策完備の航空輸送システムを開発するSolar Ship社はヘリウム浮力による飛行機の開発建造により、安全で経済的輸送システムの構築を目指している。20m幅の三角翼の上部には太陽光パネルを敷き詰め、下部には蓄電用のバッテリーを装置している。このシステムでは、200kgの積載物を乗せ200kmの飛行が可能である。今後60m幅の三角翼飛行船の建造計画があり、500kgの積載量で500km飛行出来る機種開発し、世界一周飛行計画も視野に入れている。この航空輸送システムは高度上空飛行の為、天候に左右される比率が低くなる利点がある。航空機建造にあたり、日本の得意とする先端技術、軽量強靱な化学性布、効率の高い太陽光パネル、高性能な蓄電技術力の協力を期待している。
企業の代表者は、この航空輸送システムにより少しの広場でも離着陸が可能で、教育や経済開発が遅れているアフリカ内陸部への物資の補給や、医療品、食料品、教育資材などの補給ができる。また、資源大国のアフリカへの支援から交流が深まり、資源貿易への足がかりと成り日本にとってもWin Winの関係に進展する可能性があると述べる。
これらの三つの企業は、環境にやさしく、将来の人類に役立つ製品づくりにをモットーに研究開発を行っている。

最近日本でも若者達が起業精神に目覚め、各種の企業を立ち上げる人も出てきている。現実味を帯びてきたEPA やTPP交渉の締結から、日本もグローバルビジネスの真っ只中で生き延びてゆく時代が目前に迫っている。これは自前主義、民族主義から脱皮して、世界の国々と開発研究や、起業協業を推進出来るチャンスと捉えることができる。日本とカナダとのビジネスチャンスを視野にいれ、日本の若者達のベンチャー精神の発奮を期待したい。[情報源DFAIT, Ontario MEDT, MaRS, ON Centres of Excellence]


市田 嘉彦

ichida_yoshihiko京都五条坂出身のビジネスコンサルタント。民芸、ラテン 音楽、合気道愛好家。座右の銘『今ここで頑張らず に い つ 頑 張る』京 都 大 徳 寺 大 仙 院 尾 関 宗 園 住 職。JAPAN TRADE INVEST (Consultant) 、JETRO Toronto (Investment Advisor)