大阪産業セミナー開催!

松井一郎大阪府知事がトロントを訪問、トッププロモーションを実施

(左から)藤井真也ジェトロ大阪本部長、中山泰則トロント日本総領事、松井一郎大阪府知事、ドナルド・キャンベル元駐日カナダ大使、中村和生ジェトロトロント事務所長

(左から)藤井真也ジェトロ大阪本部長、中山泰則トロント日本総領事、松井一郎大阪府知事、ドナルド・キャンベル元駐日カナダ大使、中村和生ジェトロトロント事務所長

9月15日、大阪府とジェトロの共催で「大阪産業セミナー」が開催された。本セミナーにおいては、日本経済、特に大阪へのカナダ企業からの関心を喚起するため、大阪の先端産業や市場魅力について最新情報が紹介された。

また、今回のセミナーには、松井一郎大阪府知事も参加し、オール大阪として海外企業のサポートを行なっていく姿勢が力強く伝えられた。セミナー開催前に、松井知事は本誌に「今回、大阪府知事としては初めてカナダに訪れ、トッププロモーションを実施することとなりました。現在大阪府が力を入れている新エネルギー分野、そして当該分野の先進地域であるカナダにおいて、両国の企業を結びつけていきたいと思っています。11月には大阪の企業団が来加し、ビジネスマッチングを実施しますので、それに先んじて、カナダの皆様方に大阪のポテンシャルをご紹介できれば、と思っています。」と語ってくれた。

会場にはオンタリオ州のマイケル・チャン国際貿易大臣、中山泰則在トロント日本総領事、ドナルド・キャンベル元駐日カナダ大使も来賓として来場した。セミナーは松井一郎大阪府知事、中村和生ジェトロ・トロント事務所長の挨拶を皮切りに、マイケル・チャン大臣と中山総領事がそれぞれスピーチを行い、幕を開けた。

国の経済成長のエンジンとしての存在をアピール

セミナーではまず松井知事より、大阪府の先端産業や市場魅力について紹介がなされた。大阪府のGDPが日本に占める割合が7.5%と、オーストリアやノルウェーなどの一国の規模に匹敵することや、中心地の大阪市のみにおいてもGDPは約18兆円とされており、カナダのアルバータ州に匹敵することが紹介された。また、英国ファイナンシャルタイムズのグループがまとめた2015〜2016年度版のアジア太平洋地域の将来性に関するランキングでは、大阪府は総合で9位にランクインしたことも例に挙げ、世界の国や都市と比較することで、大阪の経済規模の大きさをうかがわせた。

さらに、大阪府周辺地域は、「関西イノベーション国際戦略総合特区」に指定されており、医薬品関連産業やリチウムイオンなどの電池産業が数多く集積しているという。ライフサイエンス分野、グリーン分野の2大分野においてイノベーションを創出する当該地区では、規制制度の特例措置や、税制上の支援措置が講じられているほか、大阪府域が別に指定されている「国家戦略特区」として、いわゆる「岩盤規制」を打破する規制改革にも積極的に取り組んでいくことをアピールした。

新エネルギー分野における産業ポテンシャル

引き続き松井知事より、大阪府が振興に力を入れている新エネルギー分野における産業のポテンシャルについて説明が行われた。日本国内におけるリチウムイオン電池の生産金額において、関西は何と全国の87%のシェアを占めており、新エネルギー分野において高いポテンシャルを有していることがわかる。同分野におけるリーディング企業をはじめとし、蓄電池・水素・燃料電池関連の各分野における重要な基幹技術を有し、かつ高いシェアを獲得している企業が多く存在しているのが大阪府の特徴だという。また、今年に入って大阪市に世界最大規模の大型蓄電池試験・評価システム(略称:NLAB)が完成し、同施設にて大型蓄電池の性能・安全性に関するグローバルな試験・評価を行うことが可能となった。施設は7月から試験サービスの開始をしており、大阪府では同施設の活用促進や機能強化に向けて、大阪府としてワンストップのサービスを提供できるよう、日々取り組んでいるそうだ。

また、大阪府では水素・燃料電池分野においても幾つかの取り組みが進行しているそうで、それらの例が紹介された。まずは、アジアの空港では初となる、水素グリッドプロジェクトだ。当該プロジェクトは2012年から関西国際空港で開始され、燃料電池フォークリフトや燃料電池バスなど、新たに整備された水素ステーションを使用しながら、水素・燃料電池のオペレーションに関する大規模な実証実験が実施されている。

そして、大阪中央卸売市場においては、国内最大級の燃料電池導入プロジェクトが進行中で、2015年3月に、日本初となる1メガワットを超える個体酸化物形の業務用・産業用燃料電池発電システム(略称:SOFC)が導入された。当該システムは災害に強く、市場の主要施設の電力需要においては、何とそのうち約50%を賄うことが可能だという。二酸化炭素排出の大幅なカットも期待ができる。大阪府では、こうしたプロジェクトの創出・実施に関するサポートや促進を行うことも検討中で、「オール大阪」として関連ビジネスの後押しも積極的に実施していく姿勢だという。

11月には大阪から「北米水素・燃料電池ビジネスミッション団」がカナダに派遣される予定だ。派遣予定の主な企業に加え、現在大阪で活躍するイノベーション関連企業も紹介され、大阪府がいかにビジネスポテンシャルを持つ、イノベーティブな都市であるか、ということが来場者にはが強く印象付けられた。

外資系企業に対するきめ細やかなサポート体制

松井知事から最後に紹介されたのは、投資・進出先として大阪府に関心がある外資系企業に対する、大阪府の支援体制だ。セミナー冒頭でも紹介された通り、大阪府ではそう言った企業に対しての補助金や、税金控除の制度が設けられている。そして注目すべきなのは、外国企業に対して英語でも対応が可能となっている大阪外国企業誘致センター、略称O-BICの存在であろう。O-BICでは、オフィスなどの不動産情報や、法人登記、在留資格申請に関するアドバイスなど、大阪府に会社を設立するためのきめ細やかなサポートが、ワンストップサービスとして提供されているそうだ。外資系企業にとっては、心強いサービスとなることだろう。松井知事は最後に、「カナダと日本は友好的な関係を築いてきた大切なパートナーであり、今後も交流を深めていきたいと思っています。」と締めくくった。

日本・関西の投資環境とカナダ企業へのビジネスチャンス

続いて、ジェトロ大阪本部の藤井真也本部長より、日本・関西における投資環境や、投資・進出に関心のあるカナダ企業に対するジェトロのサポート体制が紹介された。

藤井本部長は、日本・関西を投資・進出先とするべき4つの理由として、高度で洗練された市場の存在、ビジネスフレンドリーな環境、イノベーション・ハブとしての魅力、住み心地の良さを挙げて説明を行った。特に、イノベーション・ハブに関しては大阪府では様々な取り組みがなされており、2013年には大阪市に「大阪イノベーションハブ」が設置され、投資家と企業とのマッチングイベントや、オープンイノベーションを実現するための大手企業との連携イベント、またグローバルな連携を作り上げていくためのイベントなど、多様なプログラムが展開されている。

また、〝知的創造・交流の場〟とされる「ナレッジキャピタル」も立ち上げられ、産業創出・文化発信・国際交流・人材育成の4つの分野で様々な新しい価値を生み出すべく、活発に運営されている。また、大阪府では海外の研究機関や大学との協力体制も広がりを見せているほか、R&D拠点のさらなる設立も目指しているそうだ。

ビジネスフレンドリーな環境、という点については、世界的に日本のビジネス環境が高く評価されていることが、実際のレポートの結果を基に説明された。世界経済フォーラムが発表した2013〜2014年版国際競争力ランキングの「ビジネス洗練度」項目においては日本が1位を獲得している。また、GDPや各企業の経常利益、雇用なども2012年と比較して着実に回復していることも紹介され、カナダ企業が新たに事業を開始する場所として、日本、関西が最適な地になり得ることが説明された。

引き続き藤井本部長は、実際にジェトロのサポートによって日本で事業のスタートを成功させた幾つかのカナダ企業を紹介しながら、ジェトロが提供できるサービスについて説明した。ジェトロは海外に実に74の拠点を持ち、外資系企業が利用できる無料のワンストップサービスは多岐にわたる。展開予定の地域におけるビジネス情報の提供や、ビジネスパートナーのマッチング、新規拠点立ち上げ前のテンポラリーオフィスの提供など、拠点設立や事業拡大のために非常に心強いサポートを受けることが可能だ。藤井本部長は、セミナーへの来場者に対し「まずは、ジェトロにご相談ください。」と呼びかけ、ジェトロが様々な支援体制を整えていることを印象付けた。

セミナー終了後、来場していた現地企業の方は、「非常に情報量が豊富で、イメージを掴みやすいセミナーでした。自分自身、燃料電池関連のビジネスに携わっておりますので、今回のセミナーは非常に興味深いものとなりました。」と話しており、今回のセミナーが、来場者にとって非常に意義深いものとなったことを示していた。

ジェトロ大阪の藤井真也本部長は、「現在、日本は研究開発拠点の誘致を積極的に行っています。ぜひ、カナダの企業にも日本へ進出してもらって、日本企業と一緒に研究開発をし、グローバルに展開してもらう、そういったビジネス展開ができると良いな、と思っています。」と語ってくれた。

また、ジェトロ・トロント事務所の中村和生所長はセミナーを終え、「松井大阪府知事を迎えてのセミナーの開催は、カナダ企業にとって、大阪の産業とそのポテンシャルを知る非常に良い機会になったと思います。今後もこうした取り組みを増やしていくことで、日加間の貿易・投資を活発化させていきたいと考えております。」と本誌に述べた。

11月には、大阪から企業団がカナダに派遣されることも決定している中、訪れた来場者たちに大阪がいかにビジネス的なポテンシャルを持つ都市であるかが強く印象付けられるセミナーとなった。多くのカナダ企業が大阪府、ひいては日本への進出にさらなる興味を持ち、ビジネス展開を真剣に検討する機会となったことは間違いないであろう。