カナダとチキン TORJA的、業界ウォッチング!

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いまや食を語るのにかかせないキーワードとなっているのが「健康」。先日オンタリオ州で大手ファストフード店にカロリー表示を義務付ける法案が可決されたこともあり、カナダ人の中でより一層健康志向が高まっていることが伺える。

そして、そのファストフード業界にて今まさに「鶏肉競争」がおこっているのである。
3月17日付けのトロントスター紙の報道によると、カナダ最大手ファストフードチェーン店である「Tim Hortons」がランチシーンに勢力を拡大し始めているという。Tim Hortonsといえば、これまではテイクアウトのブレックファースト市場を独占していたのだが、今度はランチ市場に乗り出し、競合相手を食いつくすべく「チキンバーガー」で勝負をうってきている。
NPDのリサーチによると、カナダのクイックサーブレストランの中で最も人気の高いのがチキンカツのサンドイッチであり、市場シェアは19%を占めている。これは昨年から9%もの上昇であることから、ファストフード業界でのチキンの注目度は急上昇していることが分かる。

Tim Hortonsが新メニュー「Tims Crispy Chicken Sandwich」を発表したのはKFCが「Big Boss」を発売開始したわずか1週間後のこと。このKFC新メニューも、ビックマックのような2段重ねのハンバーガーで、牛肉のかわりに「チキンカツ」を使用している。すでにチキンバーガーを扱っているマクドナルド、ウェンディーズとも相まって、カナダのファストフード業界は今まさに「チキン戦争」勃発の様相を呈しているのである。

Tim Hortonsによると、この度の新商品発売は、従来の伝統的ランチアイテムであるスープやラザニア、パニーニといったものからの脱却でもあり、成長を続けるチキンサンドカテゴリーに応えたものであるとしている。

NPDによると、過去5年間で注目を集めているのはグルメ通向けのハンバーガーといえるが、過去12カ月で最も成長をみせているのはチキンサンドであるという。チキンサンドはソースの組み合わせや提供方法という点で、手を加えるのが簡単な商品であること、そして近年チキンが健康食品としても考えられていることが要因であるとみている。

鶏肉産業の今

カナダにおける鶏肉産業の、国家総GDPに対する寄与額は65億ドル。そのうち、最も多いのがオンタリオ州で24億ドル、次いでケベック州の14億ドルである。生産量は年々増加傾向にあり、2013年は10億4300万キロと、前年比1.8%増。こちらは2007年以来最も大きな伸び幅であった。州別にみると、オンタリオ州は3億3,730万7,000キロ(前年比1.9%増)、ケベック州は2億8,965万キロ(前年比3.2%増)、ブリティッシュ・コロンビア州は1億5,654万3,000キロ(前年比0.9%増)であった。
2013年の一人当たりの消費量は30.1キロであり、2012年から0.1キロ増。注目すべきは、肉の消費量の中で、鶏肉消費量が第1位であるということ。牛肉は27.1キロ、豚肉は21.6キロであり、どちらも前年から減少している。長年の間消費量1位を独占していた牛肉であるが、鶏肉の勢力が徐々に強まり、2005年以降鶏肉が1位の座を奪還しているのである。2013年の消費者物価指数は146.6と、前年から1.8%増であったが、牛肉(2.9%増)や豚肉(2.4%増)と比べて上昇率は低い。牛・豚の物価上昇は、北米の赤身肉の供給減少が原因であるとみられている。

Supply Management

カナダの鶏肉産業界は、『Supply Management(供給管理)』というシステムを取り入れている。これは、国内の需要と供給を調節する目的のシステム。各州、各農家の生産割当量(クオータ)があらかじめ決められており、それにより過剰生産や不足を避けることができる。結果、市場に出回る量がわかるため、価格も安定し、農家の経営も安定するという仕組み。
また、国内生産量を管理する上で重要になってくるのが輸入量。輸入量調整にはTRQ(関税割当制度)が用いられている。これは、一定の割合(※前年生産量の7.5%と設定)以内の量に関しては関税がかからない、もしくは低関税であるが、一定量を越した分は通常より関税が高くなる(238%)というシステムである。

鶏・牛・豚の消費量経年変化 (カナダ統計局より) 単位:kg

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