世界における医療用大麻の動きとカリフォルニア州で米国発の「大麻カフェ」オープンについて|カナダから見るマリファナ合法化のあと

大麻関連記事①
EU、大麻由来の医薬品を初めて承認

 ブルームバーグの報道によると、9月23日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が大麻由来の医薬品「エピディオレックス(Epideolex)」を処方薬として承認した。今回、同医薬品は従来のベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬クロバザムとの併用療法で承認された。

 イギリスのケンブリッジに本拠を置く薬品メーカー、GWファーマシューティカルズの発表によると、同医薬品は幼児期から小児期に特徴的な発作が何種類も出現するてんかんの一種「レノックス・ガストー症候群」と、乳幼児期に発症する指定難病である難治性てんかんの「ドラベ症候群」の患者の発作を軽減する目的で医師が処方できるようになった。

 欧州では現在、英国やドイツ、イタリアなど一部の国が医療目的で大麻を合法化する方向に動いているが、この動きは欧州全域での投入に道を開くものであり、メディアWIREDの報道によると医薬品の恩恵を受ける患者の数は7千300万人にも上る。
 去年6月、米食品医薬品局(FDA)も「エピディオレックス」を承認しているが、重要な役割を果たしたのはてんかん患者である16歳の少年、サム・ボーゲルスタインである。てんかんを患うのは「世界人口の1パーセント」と言われているが、米国国内にはレノックス・ガストー症候群の患者が約4300人、ドラベ症候群が約3千人いるとされる。

 少年は10年間発作に苦しみ、彼の両親によると、一日に100回も発作を起こしたこともあったそうだ。しかし、現在では2年半近く発作がない状態を保ち、以前なら絶対に不可能であった学業に専念することもできるようになったと少年は述べている(WIREDより)。

 少年は米国で不可能だった臨床試験のために渡英し、「エピディオレックス」の効果を実証。新薬製造元のGWファーマシューティカルズにとって、てんかんは専門外だったが、サムの例で著しい効果が見られたため、経営陣はこの病気について深く学ぶ必要があると判断して臨床試験に着手した。少年は極めて長く困難な道のりを経て、規制当局の人々を前に新薬の有効性を自らプレゼンテーション。結果、新薬は米食品医薬品局(FDA)に承認された。

 今回のEUの欧州委員会の承認を経て、GWファーマシューティカルズの最高経営責任者であるジャスティン・ゴーバー氏は、「我々は、患者と医師は共に最高の基準で製造され、医薬品の規制当局によって承認された医薬品へのアクセスに値すると考えている」と発表で述べた。この経口液には大麻草の含有成分であるカンナビジオール(略称CBD)が多く含まれ、服用してもテトラヒドロカンナビノール (略称THC) のような精神作用はもたらさない。この出来事は、大麻の研究や合法化の議論においてもインパクトをもたらす、大きな進歩だと言えるだろう。

大麻関連記事②
ロサンゼルスに全米初の「大麻カフェ」がオープン、店内で大麻と食べ物の”ペアリング”が可能

 米国カリフォルニア州は、約2年前に嗜好用大麻の販売が合法化された。21歳以上の成人は一日に最大1オンスまでの大麻の購入、濃縮されたマリファナが最大8グラムまで含有されている食用品(キャンディ、ブラウニー、朝食バー等)を購入することができる。

 そんなカリフォルニア州では大麻入り食品や高級大麻通信販売会社など大麻に関連する様々なビジネスが現れている。今年7月のニューヨーク・タイムズの報道によると、カリフォルニア州は近い未来に大麻の調剤薬局や大麻のツアーバスに加え、大麻を喫煙できるラウンジ付きアートギャラリーやVR(仮想現実)スペースもスタートさせる予定だそうで、大麻ツーリズムの盛り上がりが加速している。

 今年10月1日、カリフォルニア州ウェスト・ハリウッドに米国で初の「大麻カフェ」、『ローウェル・ファームズ』がオープンした。この「大麻カフェ」は、ウエスト・ハリウッド地区から公の場での大麻消費の営業免許を受けた8つのカフェ・レストランのうちの1つで、ファーム・トゥ・テーブル(産地直送)スタイルでフード・コンシャスな人々にぴったりな食事を提供するそうだ。洒落た内装の店内では紙巻きや水キセルなどを使って大麻をを吸引することが可能で、手巻き大麻を提供する「フラワーサービス」も行なわれている。

 『ローウェル・ファームズ』のヘッドシェフ、アンドリア・ドラマーは、1895年パリで設立された料理教育機関ル・コルドン・ブルーで訓練を積み、2012年に「地域の患者の生活の質を高め、革新的な高級料理を専門とする(公式サイトより)」、ユニークな薬用大麻調剤薬局のElevation VIP Cooperativeを立ち上げた。Elevation VIP Cooperativeは、地元のオーガニック食材と季節の食材に焦点を当て、クライアントが楽しめる最高品質の料理を提供し、風味豊かな成分と特定の大麻を組み合わせたペアリングを提供するそうで、セレブリティのミゲルやウィズ・ハリファなどの有名人をホストしている。

 オープンした「大麻カフェ」について、ドラマーは「大麻ビジネスは怖いものではないということを伝えるための拠点となれることに興奮している」とCNNトラベルに述べた。


本文=菅原万有 / 企画・編集=TORJA編集部