2020年、大麻企業は更に資本危機に直面することに|カナダから見るマリファナ合法化のあと|特集 過去から振り返るカナダ2020「予想と展望」

 ウルグアイに続き、2018年に世界で二番目に娯楽用大麻合法化を経たカナダ。だが供給量不足や大麻使用製品が制限されていることからその出足は低調で、息切れが目立った一年目だった。グローバル・ニュースの報道によると、大麻販売の世界的企業キャノピー・グロースやオーロラ・カンナビスなどの大麻関連企業7社の株価はここ1年で平均して25%が下落している。

 ブルームバーグ・ニュースによると、2020年の大麻セクターの見通しはさらに悪化するとのことだ。報道は今年はカナダの大麻企業が更に資本危機に直面し、年初めにはより多くの合法大麻関連企業の破産と整理統合が始まると推定されている。オーロラ・カンナビスのマイケル・シンガー会長は、「現在の大麻市場は不確実性が高く、今後どういった道を辿るのかが予想できない」 とCNNブルームバーグのインタビューにて述べている。

 現在の大麻市場における危機の主たる要因となっているのは、カナダにおいて小売業者の認可が遅れているということだ。「大麻の需要と供給」の報告によると、合法大麻が解禁された18年10月の時点で乾燥大麻の在庫数は1万8481キロ、原材料用の大麻の在庫は9万6822キロ、売上高は6346キロだったが、大麻解禁から一年弱後の8月の数字によると、在庫数は6万872キロ、原材料は32万8187。在庫数がおよそ3.5倍に増えたのに対し、売上高が1万2917キロと2倍程度しか増えていない。

 その理由は、合法大麻の正規店舗数が州ごとの需要に見合っていない現状にある。企業が供給を拡大しようとしても小売業者数の少なさがボトルネックとなり、消費者の需要に応えきれないのだ。

 また、依然として残るブラックマーケットで販売される大麻が正規品と比べて大幅に安価なことも大きな理由の一つである。正規品の価格には大麻税が含まれているが、闇市場での購入には掛からない。グローバル・ニュースによると正規販売は1グラム当たり10ドルであるのに対して、闇市場では半額の5~6ドルで購入できる。

 また、カナダで人口が最も多いオンタリオ州は、人口60万人に対して正規店数が圧倒的に少ない。大麻解禁後、カナダ政府は供給不足と抽選システムを理由に、州全体で最大1000の大麻小売業者までと上限を設定していた。正規店数を抑えるために実装された一回目の「抽選システム」で、州全体で発行されたライセンスはわずか25であり、2回目の抽選では50のライセンスが付与された。

 批評家等はこのシステムが過度に遅れていると批判し、拒否された申請者の中には法廷で抽選システムに異議申し立てを行い、申請プロセスを批判した者もいる。同じく人口の多いケベック州も正規店数が同様に少なく、同州は大麻の販売価格を下げる施策を打ち出している。このような要因を背景に、大麻企業の収益は軟調なものとなってしまっている。

オンタリオ州、2020年に抽選システム」を廃止し、正規店数の上限を撤廃

 去年12月12日、オンタリオ州は正規店数の対策として州内の大麻正規店数の上限を撤廃し、小売業者になるための資格要件のいくつかを廃止すると発表した。
 CBCニュースの報道によると、ダグ・ダウニー司法長官は新興小売市場が大きな供給不足に対処するために実装された抽選システムは、「州が大麻産業での国際的な競争力を維持するのを妨げる不適切なプロセス」であるとして、1月1日に廃止されると述べた。その動きの一環として、オンタリオ州は2020年4月から約20の新しい大麻正規店認証を発行する予定であると述べている。

 また、これまでは見込み小売業者は申請の一部として、5万カナダドルの信用状を証明し、6000ドルの返金不可の料金を支払う必要があった。これは大企業と高額な企業財務支援にアクセスできる者以外の生産者はライセンスを求めること自体が禁止されているということを意味する。「失格」と判断を受けた正規店の弁護士等によって、その判断基準が公正かどうかに関して論争も起きていた。

 「大麻を合法化する連邦政府の決定に応じて、私たちは大麻市場を可能な限り責任を持ってオープンにすることを決意しています」とダウニー氏はニュースリリースで述べた。また、「合法的な店舗を増やすことは、違法市場と闘い、子供たちを守り、コミュニティを安全に保つための最も効果的な方法だとずっと言い続けてきました」と続けた。

 大麻コンサルタントのオマール・カーン氏は、この動きを前向きな一歩として歓迎している。彼はこの動きが違法市場を根絶し、消費者に安全で規制された製品へのアクセスを提供するのに役立つと述べ、「政府がこの新しいライセンス申請システムを前進させるにつれて、オンライン消費者体験を強化し、小売業者が価格で違法な事業者とより良く競争できるようにする方法を見つけるべきである」と彼は声明で述べた。

オンタリオ州、1月6日に食品大麻解禁—高まる「大麻2.0」ビジネスへの期待

 昨年10月17日、大麻販売のライセンスを所有する生産者は、大麻入り食品である「エディブル(Edibles)」と「局所薬(Topicals)」のカナダ保健省への提出することが可能になり、60~90日間の製品のレビュー期間が開始された。エディブルとは大麻を注入した食品製品の総称であり、飲料、綿菓子、グミキャンディー、焼き菓子などが含まれる。局所薬は、痛みや炎症を緩和するために皮膚から吸収されるローション、香油、オイルを含む製品だ。

 レビュー期間は12月中旬に終了するように設定され、カナダ保健省のプレスリリースは、「大麻を若者の手の届かないところに保管し、犯罪者や組織犯罪から利益を得るための大麻へのアクセスを規制および制限する厳格な法的枠組み」が作成されたと発表。政府は今年1月6日から製品が店頭に登場し始めると発表した。

 デロイトの昨年6月のレポートによるとカナダの大麻入り食品と代替大麻製品市場の規模は年間25億ドル以上と想定され、「小売業者にとって既に合法の娯楽用乾燥大麻よりも高い利益をもたらす可能性がある」と推定しているため、期待が高まっている。

 また、デロイト・カナダのカンナビス・ナショナル・リーダーであるジェニファー・リー氏は、食用大麻市場だけでもカナダ国内において年間少なくとも16億ドルの価値があると推定され、大麻入り飲料はそれに加えて5億2900万ドルの価値があると報告している。


本文=菅原万有 / 企画・編集=TORJA編集部