第4回 「自分たちの大学院生活のために!」大学院生の自治会活動 University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 カナダの大学の多くは3つで分けるセメスター制なので、5月からSummer Session(トロント大学では一括して夏学期と呼ぶ)が始まります。学部生にとっては卒業を早めるために夏学期を受講したりしますが、大学院生にとっては夏学期中にTA(Teaching Assistant)やCI(Course Instructor)として働き大学教育へのキャリアを向上させる人、RA(Research Assistant)、フィールドトリップ、国際学会へ参加などをして自身の研究を進めるよい期間になります。今回は大学院生の学生生活を有意義にする為に行われている大学院生の自治会活動をご紹介したいと思います。

University of Toronto Graduate Students’ Union(UTGSU)

 UTGSUは1964年より全てのトロント大学院生の学生生活の維持向上を目指し自発的・自治的に様々な活動しています。大学院生からの会費などで運営を行い、大学院生は選挙権を持ちUTGSUが持つ多岐にわたる委員会に参加でき、年次ミーティングやゼネラル・カウンセルでの政策決定に関わることができます。UTGSUでは様々な大学院生生活をサポートするサービスがあります。その中でも特に私の大学院生生活に直結していた幾つかのサービスがあります。

・Health and Dental Plans

 UTGSUの医療・歯科保険はPrescription Drugs、Health Practitioners、Medical Equipment、Travel Health Coverageなど、OHIP(オンタリオ州医療保険)またはUHIP(留学生専用医療保険)などではカバーできない医療費をサポートします。このプランではより多くの大学院生にAffordable Health Careの提供をしています。保険料は学生一人当たり1年間で$566.04(2018-2019)になり、入学と同時に加入することが出来ます。

・Weekly Digest

 UTGSUでは約1万8千の大学院生会員に様々な情報を週1回のダイジェスト版Emailでお知らせしています。毎日忙しい大学院生にとっては学内ニュース・イベント情報などをいち早くキャッチできる情報サービスです。

・UTGSU Student Handbook/Agenda

 毎年9月の新学期になるとスケジュール帳を兼ねたハンドブックを無料で貰うことができます。ハンドブックにはUTGSUに関する情報やサービスや学生生活の情報ガイドが載っており、大変便利です。スケジュール帳はシンプルで使いやすく、既製品を買わなくても学生には十分な作りになっています。

・International Student Identity Card(ISIC)

 フルタイムの大学院生はUTGSUオフィスでISICカード(国際学生証)を無料で作ることが出来ます(通常$20)。ISICカードはフルタイムの生徒を対象にした1年間有効のディスカウントカードで、Greyhound Bus、VIA Rail、Porter Airなどが割引になるほか、最近では日々の生活でも利用できるようになっています。

・Bikechain


 Bikechainはトロント大学内にある13年以上続いているDo-It-Yourselfをモットーにする自転車屋さんです。トロント大学St. Georgeキャンパスには自転車通学する学生を沢山見かけます。お店には自転車の修理をDIYできるコーナー、自転車の修理の仕方を学ぶワークショップ、自転車や鍵の無料貸し出し、中古自転車やパーツ販売などがあり、数人のスタッフ以外はすべてボランティアで構成されています。

・Conference Bursary

 2016年から新しくできたサービスで、大学院生が国内外で行われる学会への参加費をサポートする奨学金制度です。1回一人当たり$250、年間120回給費されています。年3回応募する機会があり、学会の期間によって申請します。こういった学会参加費のサポートはUTGSU以外のトロント大学機関でも行われており、大学院生は計画を立てて応募しなければなりません。

 UTGSUはSt. Georgeキャンパスにあるため、他の2つのMississauga、Scarboroughキャンパスに所属している大学院生達が運営する、UTMAGS(University of Toronto at Mississauga Association of Graduate Students)、GSAS (Graduate Students’ Association at Scarborough)があります。私はScarboroughキャンパスだったので、GSASの会員でもありました。

Graduate Students’ Association at Scarborough(GSAS)

 GSASは1978年に発足しUniversity of Toronto Scarborough (UTSC)に所属する大学院生が運営しています。私のラボの同僚や後輩が組織運営チームにいたので、GSASはより一層身近な自治会でした。GSAS orientation、Holiday Party、 Summer BBQ、Coffee Breakなどの各種イベントが一年を通して行われ、大学院生はすべて無料で参加でき、友達作りや異なったラボや学科の学生との交流に役立っています。GSASではスポーツチームを作り、アルティメット、室内サッカー、クリケット、バスケットボールなどに参加しています。私はバレーボールチームのキャプテンを務め、週1回試合を行っていました。New Frontiers Seminar Series(NFSS)、Graduate Student Seminar Series(GSSS)という月一回行われるセミナーでは大学院生達が日頃の研究を発表しあう機会になっており、1学期に1回Presentation Award($50賞金付き)が与えられます。Interdisciplinary Graduate Research and Discovery Conference(IGRAD)はUTSCに所属する大学院生が主体となり年に一回行われる大学院生の学会でGSASはメインスポンサーとして協力しています。

Yukari

 トロント大学環境学部で博士号取得。カナダ北部の環境問題や温暖化について研究中。カナダの大学学部、大学院留学、ポスドクの経験を元にカナダのアカデミアについて情報発信していく。