命のビザ発給で6千人以上のユダヤ人を救ったその外交官人生を知る映画『杉原千畝』上映

諸国民の中の正義の人、杉原千畝氏

 3月14日と19日の2日間に渡り、ノースヨークにあるシナゴーグ(Congregation Darchei Noam)にて映画「杉原千畝」の上映会が行われた。この上映会は日本総領事館とイスラエル総領事館が共催し、伊藤恭子総領事とイスラエルのガリト・バラム総領事は勿論、アメリカ、フランス、ブルガリア等各国の総領事や領事団の代表、市議会議員も出席した。上映会には約200人が駆け付け、その関心の高さが伺えた。会場では「Righteous Among Nations(諸国民の中の正義の人)」に関する展示も同時に行われていた。この展示会はイスラエル外務省によって行われており、第二次世界大戦中にユダヤ人の命を救うことに貢献した外交官らを称える内容になっている。当日はその中でも杉原氏を含めた9人の展示が行われており、来場者たちは熱心にポスターの内容を読んでいた。

 杉原千畝氏は「東洋のシンドラー」とも呼ばれ、第二次世界大戦中、日本領事館領事代理として赴任していたリトアニアのカウナスにてナチス・ドイツによって迫害されていた多くのユダヤ人にビザを発給し、彼らの亡命を手助けしたことで知られている。杉原氏が救った命は6千人にも及ぶとされており、これは世界で2番目に多くナチス・ドイツから助けられたユダヤ人の人数になっている。映画では杉原氏が満州外交部の一員として働いていた場面から始まる。その後彼はモスクワへの赴任を命じられるものの、満州で起きた事件が原因でソ連から「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましがらざる人物)」を発動され、入国を拒否されてしまう。それをきっかけに、杉原氏は新設されたリトアニア・カウナス領事館への赴任が決定した。映画では杉原千畝を唐沢寿明が、そしてその妻幸子は小雪が演じた。

悲劇から目を逸らすのではなく、向き合うことが大切

 上映会に先立ち、Congregation Darchei Noamのラビであるティナ・グリムバーグ氏から挨拶があり、その中で氏は、杉原氏を始めとする第二次世界大戦中の外交官が見せた勇気は多くの人を救い、それと同時に人道的な見地からその役目を果たす大切さについて語った。

左:伊藤総領事による挨拶
右:挨拶を行うイスラエルのバラム総領事


 続くイスラエルのバラム総領事は第二次世界大戦は多くの悲劇を生み、その中でもホロコーストはユダヤ人に対して言葉では表せない衝撃だったとした。同じ悲劇を繰り返さないためにもホロコーストの歴史を受け継ぐ重要性を説くと同時に、今でも世界中で起きている問題から目を逸らすのではなく、杉原氏のように向き合っていくことを一人一人がしてほしいと述べた。

 伊藤総領事は杉原氏がユダヤ人対してビザを発給したことは今でも日本人にとって誇りに思える出来事であり、映画を通してそれが随所に見られると語った。また、2015年に安倍首相がイスラエルやリトアニアの杉原邸を訪問した際のエピソードについても語った。カナダでは大戦中に収容された日系カナダ人が生活拠点に戻ることを許されなかったとき、トロントのユダヤ系コミュニティーが支援を行ったことに触れ、これからも日本がカナダ、イスラエルとの交流を深めていくことへ期待を寄せた。

 映画の上映後には来場者から拍手が湧き、とても和やかな空気の中、上映会は幕を閉じた。

 今後もこのような日本や世界の過去を振り返るイベントや映画を通じ、参加者の知見が深まることに期待したい。