第35回 オンタリオ州日本語弁論大会

オンタリオ在住の日本語学習者30名が出場。歴史ある弁論大会で日頃の学びの成果を力一杯発表。

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3月4日、トロント大学メディカル・サイエンスビルディングにて第35回目となるオンタリオ州日本語弁論大会が開催された。1983年より開催されている歴史あるこの日本語弁論大会は、オンタリオ州に住む日本語学習者が出場でき、初級、中級、上級、オープンの4つのカテゴリーに分かれて、それぞれの日本とカナダに対する思いなどを日本語でスピーチし披露する。今回審査員長を務めたのはトロント大学マンク国際問題研究所ロバート・ハーニー大学院エスニシティ研究課程事務局長の嘉納もも・ポドルスキー氏。審査員としてはトロント大学東アジア研究学科非常勤講師Caitlin Griffiths氏、トロント総領事館広報・文化担当の松井美保子領事、カナダ三井物産株式会社・Corporate Dept. General Managerの坂口薫氏、そして弊誌より塩原修編集長の4名が審査に当たった。

開幕の挨拶には大会実行委員会の有森丈太郎実行委員長が登壇し、出場者らに激励の言葉を送った。次にトロント総領事館広報・文化担当の松井美保子領事より自身が学生時代に行ったスピーチの経験談などを織り交ぜ、ぜひ友人に話しかけるかのようにリラックスして本番に臨んでほしいと挨拶を述べた。

今回の出場者は初級9名、中級10名、上級9名、オープン2名による計30名。まずは初級カテゴリーから始まった今大会であるが、最初から最後まで出場者の非常に高い日本語のレベルに関心させられるだけではなく、それぞれのスピーチに込められた想いが観客一人一人の心へとしっかり届くのが感じられた。日常感じたことをユーモアたっぷりに語ったスピーチや、日本の音楽や料理といった文化をテーマにしたもの、現代社会に転がる問題を取り上げたものなど、テーマは多岐に渡り非常に個性豊かで観客をまったく飽きさせることのないまま聴衆している全員を魅了した。

スピーチ発表の後は日本文化紹介が設けられ、トップバッターはトロント紅白歌合戦の出場メンバーで結成されたというコーラスグループFuu-WaによるJ-POPなど日本音楽が披露された。美しい歌声に続いてオンタリオ大学にて自身の技術研究所を持つJean-Paul Desaulniers氏によりジブリの名曲がバイオリンで繊細に演奏され、最後は正弓会による迫力ある弓道の実演が行われた。

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最後に審査員長の嘉納もも・ポドルスキー氏から特別賞、努力賞、ユーモア賞の表彰が行われ、それぞれ賞状と後援企業から副賞が贈られた。

オープンの部では、日本の深刻な少子高齢化にスポットライトを当てた「日本の未来」を発表したトリシャ・ハミルトンさんに賞状とノリタケカナダ社よりペアティーカップセットが贈られた。

中級部門では、アイドルからもらったパワーをどのように活かしていくかが重要ではないかと日本のアイドル文化に問題提起した「かなわない夢はないんだ」を発表したユグ・ジョウさんが、上級部門では日本でのインターンシップ経験より日本人の相手を理解しようとする心の大切さを説いた「「和」の心」を発表したダ・ウェイさんがそれぞれ一位を受賞し、賞状と奨学金が贈られた。

中級一位のユグ・ジョウさんは「とても楽しかったです。名前を呼ばれた時は夢じゃないかと思ったくらい、受賞の実感が湧いてこなかったです。」と語り、また上級一位のダ・ウェイさんは「今回で大会出場は3度目。これが私にとって最後の大会だったのですが上級一位が取れて本当に嬉しいです。ありがとうございました。」と嬉しさを滲ませた。

初級一位を受賞し、見事に今大会最優秀賞に輝いたのは、音楽+オタク=オンタクという独自の発想で会場を沸かせ「オ(ン)タク」というタイトルのスピーチを発表したゼチュアン・リさん。人と話したりすることが苦手だった幼少期から自分を支え続けてくれた音楽。そしてその後興味を持つようになった日本の音楽を通じて親友ができたり、病にかかった家族の心を癒すことができたストーリーを堂々とした面持ちで語り、言語を超える音楽の素晴らしさ、そして家族や友人との絆の大切さを唱えたスピーチは多くの観客や審査員の心を掴んだに違いない。受賞のコメントとして、「ここまで支えてくれた友人や先生に感謝したいです。このまま自分らしく、一生懸命に頑張っていればきっと全国大会にも行けると信じています。」と述べ、最優秀賞として三井カナダ・ファウンデーションより贈られた日本往復航空券と奨学金を手に喜びを語ってくれた。

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この日来賓として弁論大会に来場していた、キャノンカナダ社の江川泰三郎社長は「毎年来たいと願っていて、ようやく今回初めての参加が叶いました。母国語ではない第二言語、もしくは第三言語として日本語を操る皆さんの想い・熱いエネルギーが胸に届き、本当に感動しました。スピーチにも日本が世界に与えている印象や影響がよく反映されており、非常に面白かったです。参加者の皆さんに心より敬意を示したいと思います。」と感想を語ってくれた。またエイチ・アイ・エスの佐々木健一郎支店長は、「このような貴重な大会に参加させていただけて光栄です。日本人が忘れかけている言葉の大切さを改めて感じさせられる良い機会となり、とても励みになりました。」と気持ちを伝えてくれた。

なお、各部門の優勝者は、ブリティッシュ・コロンビア大学にて行われる全国大会に出場する予定となっている。

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