第6回 Kampai Toronto @ディスティラリー・ディストリクト

多くの日本酒ファンの舌を今年も唸らせた
毎年恒例!カナダ最大の日本酒の祭典

瓶の形、色、装飾といったディテールにもこだわる日本酒

一般オープンに先駆けたメディア向け日本酒試飲会


6月1日ディスティラリー・ディストリクトの一角で日本酒フェスティバルKampai Torontoが行われた。同フェスティバルはSake Institute of Ontario(SIO)が主催するイベントで、カナダ最大の日本酒フェスティバルである。Kampai Torontoは毎年人気を増して、今年は日本や北米を拠点とする50を超える酒蔵から150以上の銘柄が集まり史上最大規模での開催となった。

会場となったファーメンティング・セラーは、日本やカナダから集まった酒蔵の紹介ブースで埋め尽くされ、日本酒の世界的な人気と関心を肌で実感することができた。イベント開催にあたり、在トロント日本国総領事中山泰則氏は「6年前に始まってから、Kampai Torontoへの注目度は非常に早いスピードで高まっており、特にビジネスやメディアにおける関心の高まりは目を離せないものがあります。



日本の酒の輸出は増加しており、日本政府も現在それを推進しています。カナダにおける日本文化が盛り上がり、二国間の関係がより強くなってほしいです。」と祝辞を述べた。日本全国の日本酒を国内外へ流通させるため尽力している日本名門酒会の金子尚恭氏によると、アメリカで一番売れている純米大吟醸は若竹の鬼ころしで発売する際は、海外の人にも分かりやすいようDemon Slayerという名前も添える工夫をしているとのこと。

やはり、日本酒への馴染みのない場所で新たに酒を手にとってもらうためには、ただそのまま持っていくだけではなく、様々な工夫や努力が欠かせないようだ。日本酒の人気が世界中で高まっていることを直に感じることができたKampai Toronto。世界中の人が日本酒を楽しむ時代もそう遠くないかもしれない。

日本から参加した酒蔵家のみなさん

浦霞醸造元 船生通代氏

「浦霞の看板商品の一つである禅は吟醸酒がポピュラーではなかった頃から発売を続けており、香りと味のバランスがとてもよいです。また、酒蔵のある塩釜は人口当たりの寿司屋の数が日本一の寿司の街でもあるので、魚介類との相性もバッチリ。まだ、カナダでは日本酒が発売されている場所が限られているので、これから日本酒の専門店が増えれば嬉しいです。」

男山株式会社 山崎五良氏

「日本と海外の方はテイスティングの方法も異なります。海外では食事とセットでの提案が基本なので、食事を想像できるように日本酒を紹介することを心がけています。やはり、日本酒への馴染みのない場所で日本酒を手にとってもらうためには様々な工夫や努力が欠かせません。」

熊澤酒造 五十嵐哲郎氏

「輸出を始めて4年が経ちましたが、ただ輸出するのではなく管理方法や酒の魅力もしっかり伝えていきたいです。海外の方は酒の作られている地域に興味を持つ方が多いので、酒と酒蔵の印象がマッチするように心がけ、将来的には酒を日本人が自信を持って紹介できる、誇れる存在にしたいですね。」

日本酒マスタークラスセミナー開催

イベントに先立ち、同じくディスティラリー・ディストリクト内にあるBOKU SUSHIにて日本酒セミナーが今年も開催。SIO代表小澤彰太郎氏が開会の言葉を述べた後、JETRO酒井拓司所長はKamapai Toronroに祝辞を送り「現在日本酒のマーケットはカナダで広がっており、2015年から2016年にかけて、日本からの酒の輸出量は20%増加しました。

LCBOも東アジアにフューチャーした店舗をスカボローにオープンし、これからさらに日本酒はカナダに広がって行くと思います。今回のセミナーで日本酒の楽しみ方を学び、ぜひその知識を家族や友人に広めてください。」と語った。その後、SIO・VP Knowledge & Educationの田尻真利子氏の進行で、世界中から集まった5人の酒サムライがそれぞれ酒のテイスティングの仕方や、可能性について講演した。

今回用意されたのは「浦霞 生一本(宮城)」、「高天神(静岡)」、「五凛(石川)」、「南部美人(岩手)」、「泉 荒走り(トロント)」の5種。訪れた人々は酒サムライによる解説をもとに、それぞれ異なる特徴を持つ日本酒たちを飲み比べながら、その香りや味の違いを確かめつつ、日本酒の奥深さを楽しんでいるようだった。

五人の酒サムライに聞く!!
日本酒の魅力と現在の市場状況

「酒サムライ」とは日本酒青年議会によって叙任された酒のスペシャリスト。世界中での日本酒の文化や知識を発信している。

Yardbird レストラングループ 飲料部門部長
NPO法人国際食農・酒文化普及使節団 理事

エリオット・フェイバー氏

「多くの尊敬している人と一緒にセミナーに参加することができて本当に嬉しかったです。酒はエレガントであると同時にパワフルで、旨味も多く、肌にもいい。沢山の魅力があります。これから酒を広めて行くにあたって、日本酒をカジュアルで誰でも楽しめるものにしたいですね。」

日本酒輸出協会理事・日本酒ソムリエ
新川智慈子ヘルトン氏

「今まではBtoC(企業と顧客間)の盛り上がりが凄かったのですが、今年はBtoB(企業間)の方も盛況でいよいよマーケットも温まってきたのかなと思います。特に、日本食にたずさわっているいる方以外の方も興味を持ってきてもらえている感じがします。普段ワインを飲んでいる方がLCBOで普通に日本酒を手に取るような状況になれば、もっと日本酒に理解を示すカナディアンの方達も増えてくるのかなと思いますね。」

日本酒輸出協会(SEA)理事
ジョン・ゴントナー氏

「日本酒の人気は世界中で高まっていて、輸出量も年々増加していますがまだまだ伸びしろはありますね。日本酒についての知識がないと、売り手も売ろうとはしないので、私の活動としては日本酒について知ってもらうことで、日本酒の敷居を低くしようと尽力しています。日本酒の魅力はその奥深さ。香りや味だけでなく、歴史、文化、技術全て奥が深い。でもそれと同時に、知識なしにでもその美味しさが分かる、そこも魅力だと思いますね。」

Wine & Spirit Education Trust(WEST) 戦略計画課 取締役
アントニー・モス氏

「かつて私は日本で酒の管理方法を学びました。まだイギリスでの日本酒市場は小さく、多くの人々は酒に興味を持ってもどの酒を買っていいのかわかりません。なので、もっと酒について知ってもらえれば、これから市場は拡大して行くと思います。」

駐カナダ特命全権大使
門司健次郎氏

「アルコール規制の厳しいカナダでもようやく日本酒に関心が向いて来ていると思います。なぜなら、今の一番の問題は日本酒に関心がない、日本酒売り場がない、もしくはとても小さいという点だからです。次回は機会があれば、食とのマッチングを含めたセミナーを行いたいですね。日本酒は和食だけでなく、本当に色々な料理と合う。チーズとの相性なんて抜群です。和食ではなく、普段の食事にも合うという点をこれからさらに広めていきたいです。」