賛否両論が巻き起こる「仮想通貨」そのメリット・ デメリットから見えてくるカナダの今後|特集「カナダの社会ニュース・時事問題を深読み解説!」

 近年世界中で急速に仮想通貨への注目が高まり、それらに関するニュースもよく目にするようになった。セキュリティーリスクのニュースや、仮想通貨で財を成した人、プラスとマイナスの両極端な話を聞くことが多いと思う。そんな仮想通貨、耳にしたことはあるけれども実際のところは何なのかがいまいちわからない。実はそんな方が多いのではないだろうか?そこで今回はTORJAと一緒に仮想通貨の基礎知識からメリット・デメリット、そしてカナダ国内での動き等を見ていってみよう。

そもそも仮想通貨とは?

 仮想通貨いうとまず最初に浮かんでくるのはきっと「ビットコイン」。でもそれは数ある仮想通貨のほんの1種類でしかないのだ。そんな仮想通貨は簡単にいうと、「インターネットを通じて使用できる通貨」のことである。そして先ほども挙げたビットコインが元祖仮想通貨と言われている。これ以外にも、イーサリアムやリップル、ゼンコインと言った仮想通貨が様々な名前で存在しており、その数は現在では1500を超えるとも言われている。これらの仮想通貨は円やドルといった法定通貨とは異なり、その大きな特徴として中央管理者がいない、発行上限がある、そして換金が可能であるという3つの点だ。

 例えば日本円は国が通貨発行の管理をしており、この管理者の意思によって通貨の流通量を操作することが出来るようになっている。しかしながら、仮想通貨には中央管理者がいないため、みんなで監視しあうようなシステムになっているのだ。そのため仮想通貨は分散型の通貨とも呼ばれているのだ。日本やカナダのように国が信用されていて、法定通貨に対する価値が安定していると、分散型の通貨におけるメリットというものは浮かびにくいが、政府が安定しておらず、いつその国の法定通貨が暴落するか分からないような国では、みんなから監視されている仮想通貨の方が安定しているとも考えられるのである。

 そして、実際に仮想通貨の導入が急激に高まっている国があるのも事実である。また、法定通貨と違い発行上限があり、換金が可能なのも仮想通貨の大きな特徴である。

仮想通貨を支えている技術とは?

 仮想通貨が「インターネットを通じて使用できる通貨」とわかったところで気になるのは、その通貨をやり取りするためにはどのような技術が使われているのか、ということではないだろうか。 

 ビットコインを始めとした仮想通貨の根幹となっている技術をブロックチェーン技術と呼んでいる。仮想通貨が分散型通貨と言われる一方で、分散型台帳、分散型ネットワークと呼ばれているのがブロックチェーンである。この分散型台帳技術とは取引履歴を分散し、共有することでお互いがお互いを監視し合い、取引の正当性を担保出来る仕組みとなってるのだ。例えば、「何月何日に誰が誰にいくら送金した」などの取引履歴は内容がデータとして登録され、ブロックとなる。そして、このブロックは過去のブロックと連結されたり、過去のブロックの一部となり連結されるのだ。そのため、これらの技術がブロックチェーンと名付けられたのである。また、この取引履歴はオープン化されているため、誰でも確認することが出来るのが大きな特徴である。そして、これらのデータは時系列で確認することが出来るようになっているのだ。もちろん具体的な内容については暗号化され、読むことができないようになっており、これによりデータの改ざんを防げるようになっている。

 以上のことを踏まえるとブロックチェーン技術は仮想通貨にとって銀行の役割を果たしていると言えるだろう。とは言え、ブロックチェーンは、あくまで活用されはじめたばかりの新しい技術であり、技術面の課題もあるのが実情である。それはクレジットカードやデビットカードと比べた場合の取引の際の処理速度の遅さにあり、そのため、実店舗で使用するには更なる処理速度の向上が必要と考えられている。つまり、まだ仮想通貨は完璧ではないという話もあるのだ。

仮想通貨のメリット

 仮想通貨の仕組みが分かったところで、そのメリットについて触れてみたい。広く知られているメリットとしては、投資によって資産が大きく増える可能性がある、送金が高速、送金時の手数料が安い、そして海外でも両替せずに使える、という4点だ。

 良くも悪くも仮想通貨は値動きが激しく、それにより資産が何倍にもなり、大儲けをすることが出来る可能性がある。このことから投資目的で仮想通貨を購入している人が多くいるのも事実。そして、既に述べた通り中央管理団体がいないため、送金手数料が格安、もしくは無料であるのも仮想通貨の魅力的な点だ。また、インターネット上の通貨のため送金は安いだけでなく、高速で行うことが出来るのだ。つまり、将来的には海外旅行などで支払いの必要が生じたとき、現地の通貨への両替をしなくても仮想通貨で支払えるようになるかもしれないのだ。実際にカナダでコンドミニアムの販売をビットコインで行なっている人もおり、これは海外からの購入者にも対応するためであるとされている。

仮想通貨のリスクとデメリット

 これまでの説明を考えると一見メリットの多そうな仮想通貨。だが新しい技術ということもあり、仮想通貨を使うことによるリスクやデメリットも存在している。それらは主にセキュリティ面、ネットが無いと使えない、投資で大損する可能性、そして詐欺通貨が多いという点だ。

 現在、仮想通貨の課題の一つとしてセキュリティ面の向上が挙げられている。日本の仮想通貨取引所、coincheckがハッキングされ、580億円相当の仮想通貨NEMが不正に送金されたことは記憶に新しい。このように、まだ技術が新しい上に注目されている分野であるため、ハッキングや盗難がしばしば起こっているのも現実だ。法整備にも時間がかかっているため、残念ながらこれらのリスク自己責任となる部分も少なからずあるだろう。

 そのため、仮想通貨を使用する際にはセキュリティへの細心の注意が必要となる。そして、仮想通貨はその値動きが激しく、とても不安定であることから大損をすることも十分に考えられるが、その逆を言えば先ほども挙げたように大儲けにつながる可能性があり、ハイリスク・ハイリターンという言葉がふさわしい。

カナダにおける仮想通貨の立ち位置

 メリットデメリットがそれぞれ存在する仮想通貨。カナダではどういった扱いを受けているのだろうか?まだごく一部ではあるが、カナダでも仮想通貨を積極的に取り入れる動きが見られており、家賃の支払いがビットコインでできたり、Neweggという通販サイトでも買い物がビットコインでできたりしている。また、カナダの証券取引所を運営するTMXグループは、子会社であるショーカンDCNがペイケース・フィナンシャルと提携し、仮想通貨仲買サービスを立ち上げると発表するなど仮想通貨の盛り上がりが伺える。


 しかし、その一方でカナダの銀行等はこの仮想通貨の将来性に半信半疑の姿勢を見せているのも事実である。これまでにカナダ大手銀行であるトロント・ドミニオン銀行(TD)は顧客と銀行自身を守り、サービス提供を続けるためにクレジットカードによる仮想通貨の購入を禁止することを発表した。また、モントリオール銀行(BMO)の社員と名乗る者がBMOは顧客が同行の口座を通じて仮想通貨を購入することを禁止するという旨の社内公文書をインターネット上で公開し、その後、同行は仮想通貨の相場のボラタリティの高さ及び顧客と銀行自身を安全に守るために、顧客が同行の口座を通じて仮想通貨を購入するのを禁止することを認め、正式に発表した。カナダ国内だけでなくバンク・オブ・アメリカでもクレジットカードによる仮想通貨の購入を禁止することを発表しており、今後他の銀行も同様の声明を発表することを予想できる。

 仮想通貨のリスクやデメリットを気にしているのは投資を考えている一個人だけでなく、銀行や政府までもが頭を抱えている問題だ。カナダ国内だけでなく世界中で銀行が顧客と銀行自身の安全を考慮し、購入を禁止している動きもある。しかしその一方でこの革新的な技術は今後間違いなく拡大していくという見方をする人が増えているようだ。

 仮想通貨への理解がもっとされるようになり、世界中で仮想通貨が使われるようになったら日々の生活が便利になるのは間違いないだろう。仮想通貨は少ない金額から購入することが可能であるため、知識を身につけながら少しずつ始めてみるのも良いのではないだろうか。