留学カウンセラーが説く留学の心得 Vol.16
学校が始まって少し経ち、現地の生活や学校生活にも段々と慣れてきた頃、日本人留学生が必ず経験するのが、先生やクラスのみんなの言っていることは分かるのだけれど自分は思うように上手く話せず会話に入れていない、という状況です。中にはこの同じ悩みを 何ヶ月もずっと引きずっている方も多いのではないでしょうか。学校に限らず、ステイ先やその他の場所でも、人が言っていることなどは分かるのに、その会話に自分が入っていけない、スラスラ言葉が出てこないという非常にもどかしい状況です。ではこの悩みを早めに解決するためにはどうしたらよいのでしょう?それは、実は無理やりのようにとことん発言して練習することよりも大事なステップがあります。
学校生活編1:まずはじっくりと“観察や洞察”をしてマネしてみることから始めましょう。
前回にも少し触れた通り、日本では普段英語を使うことなど殆どなく日本人はそもそも英語で会話をすることに慣れていないのですから、最初は上手く話せないのは当たり前なのです。会話の相手や周りの人が何を言っているのかは分かっても自分からは上手く言葉が出なくて会話に入れない感覚に陥るのは最初は仕方のないことです。ただ、それは時間が経って慣れてくるのを待っていれば話が出来るようになる、と言うわけでもありません。逆に積極的にガンガン発言をしていくように試みたとしても自然な会話にはなりません。それよりも最初の段階で癖をつけて行きたい事としては、「とにかく何でも良いから話してみる」ということよりも、「まずは話している人や状況をとことん観察、洞察してみる」ということなのです。
上手く会話をしている友達や、ネイティブスピーカーが会話をしているのをじっくり観察しながら、彼らはどういった言葉をどのようなタイミングでどう表現しているのか、イントネーションや顔の表情はどんなか、相槌はどういった風にしているか、などを読み取るわけです。これを今度は自分の中で自分なりに消化し、家でシュミレーションやイメージトレーニングをしてマネしてみるのです。その日に観察をしたものと全く同じ会話をもしも自分が行う状況になったら、という仮定で鏡の前などでマネをして、何度も何度も繰り返してみましょう。そうしているうちに、段々とそのマネしている話しかたなどが少しずつ体に染みつき、覚えていくようになると思います(そこまで何度も繰り返すのがポイントです)。これを毎回実行することにより、体と頭にその感覚が身について行きます。つまり、会話が上手い人の技を盗み取り、しっかり自分のものにしてしまうと言うわけですね。これを続けると、おのずと観察やマネすることが自然の行為になりますので、より上手い表現や良い会話の運び方などが身につけられていくと思います。そして、気がつけば自分も自然と会話の中に入って行き易くなっていきます。
よくよく考えてみれば、赤ちゃんが言葉を覚えて発する時も、こうやってお母さんやお父さんをまずはじっと観察してからマネをしてしゃべり出しますね。これと同じで、理想的な会話術を身につけるためには、頭で考えたりむやみに発言を繰り返したりするよりも、まずはお手本をしっかり観察し、真似をして、体の感覚で覚え、自分のものにしていく、ということが最も効果的でより良いものが身につく方法といえるわけです。最初はおとなしくて何もしゃべらない人だと思われても良いので、大事な時にちゃんと表現できるようにしっかり鍛えておきましょう。
East-Westカナダ留学センタートロントオフィス日本マーケットマネジャー。 静岡県出身。2001年語学留学でトロントに渡来。語学留学とビジネススクール、ワーホリなどを経たのち、ジョージブラウンカレッジに入学。貿易とビジネスマネージメントを学び成績上位者Dean’ s Honour のタイトルを得てPost-Graduate Diplomaを取得。カレッジ卒業後、現職に就き就労ビザを経て永住権に至る。