日本を楽しむ

日本を楽しむ

冒頭から私事で恐縮だが、近いうちに日本へ一時帰国することが決まった。前回が2013年であったから、実に3年振りの日本である。この間に消費税は5%から8%に上がり、北陸新幹線や北海道新幹線が開業した。東京のように常に変化している街では、3年の間に街の様子は変わり、以前には無かったビルがあちこちに出来ていたりする。そうした変化を見ることも、日本に帰る楽しみの一つではあるが、やはり変わらないものに心惹かれる。例えば食、温泉、そして桜だ。今回は時期的に桜が見れる季節に帰れることが何よりも嬉しい。南北に長い日本列島では桜の花見を異なった場所で楽しむことが可能であるとは言え、それでも春の僅かな期間に限られる。


日本で最後に桜を見たのは2010年なので、もう6年前になる。もちろん、北米でも桜を見ることは出来るし、毎年のようにどこかで見ている。しかし、やはり日本人にとって桜と言えばソメイヨシノを連想するし、この花を見ないと桜を見た感じにはなかなかなれない。では、こちらでソメイヨシノを見ればどう感じるのであろうか。日本で見る時と同じような感覚になるのか、或いは異なった感情が去来するのか。何とも言えないところではあるが、数十年日本で見てきたソメイヨシノを6年ぶりに日本で見ることが出来ると考えただけで、感慨深いものがある。時期的に首都圏では既に見頃を過ぎていると思われるので、東北か北陸、或いは信州辺りに足を延ばすことになりそうである。しかし、こうした地方に行って桜を観賞することが出来る点も日本の素晴らしさだと改めて感じる。日本に住んでいれば、桜前線の北上と共に日本各地で桜が見れることに対して特別に何も思わないが、こうして離れて住んでみると改めて日本各地の名所をバックに桜を愛でることが贅沢であると感じるのだ。
そして、日本に帰る楽しみの一つに温泉が挙げられる。もちろん、こちらにも温泉はあるので、行こうと思えば行ける。しかし、あの熱めのお湯と自然に抱かれた景観と解放感は日本の温泉でしか味わうことが出来ないのではないかと思っている。桜と同様、温泉も日本各地で楽しめる点が嬉しい。それも、山の中にあったり海沿いにあったりと様々な場所にあるので様々な景色を楽しむことが出来る点も格別である。そして、わざわざ地方に行かずとも都会にはスーパー銭湯がある。露天風呂に蒸し風呂、打たせ湯など様々な浴室があったり、温泉に入った後は休憩所でマッサージチェアに身を任せるも良し、近頃は食事が充実しているところもあるので、さっぱりした後に食欲を満たすも良し、と色々な楽しみ方が出来る。温泉好きにとっては、これだけ至れり尽くせりの施設は無いし、ここで一日遊べてしまうなどと考えると、本当に凄い一大アミューズメントであると個人的には考える。そして、こうした施設を作ってしまう日本人のアイデアを感嘆せずにはいられない。
最後に、これが最も楽しみであるかもしれないが、食である。言うまでも無く、日本で育った筆者にとっては日本食が最も美味しい食事であるし、それは北米で食べるよりも日本で食べる方が格段に上である。従って、一時帰国する度に行きたいお店と食べたい料理があり過ぎて、その選定をすることが一苦労である。そして何よりも安い。デフレ下の影響もあるし、こちらの日本食が並べて日本より高いこともあるが、あのクオリティをあの値段で提供されることに驚く。そう考えると、食事が美味しく尚且つ安くてサービスも良い日本のレストランに外国人観光客が驚愕することも納得である。ちなみに、筆者が食べたい料理は寿司、焼き肉、お好み焼きにたこ焼き、そしてうな重などである。しかし、こうした料理も少し前までは北米でも一部の大都市でしか味わうことが出来なかった。そう考えると、今ではあちこちで口にすることが出来るし、日本食の普及が進んでいることを非常に嬉しく思う。
何はともあれ、日本に帰る日が待ち遠しく指折り数える心境である。例えて言うなら、小学生の遠足であろうか。ただ、遠足と違う点は、既に知っている場所であり、その良さも知り尽くしている点ではあるが。何にせよ、離れて暮らしていると日本の素晴らしさを改めて知ることになる。そして、その気持ちは年々強くなっているように感じる。



井原 隆
某日系企業に勤務する会社員。バンクーバーで単身赴任中。趣味は旅行、スポーツ観戦、芸術鑑賞(絵画、バレエ、音楽)。身の回りや世の中で起きる事象について、考察します。