ジビエ」の解禁をレポート。

野生のリス、野うさぎ、 ビーバーなどを食す。

世界の美食家も注目するケベック州の新たな試み、「ジビエ」の解禁をレポート。

リス料理?

gibier-01リスを使った料理をメニューで見たら、あなたなら頼んでみますか?そんなものどこで食べれるのか、そもそもリスを使った料理など存在するのかと疑問に思われるかもしれません。ところがこの秋から、ケベック州の限られたレストランでそれが実現することとなるのです。日本ではあまり馴染はありませんが、狩猟で捕れた野生動物の食肉はジビエと呼ばれ、狩猟によって食糧を確保してきたヨーロッパにおいては、古くから伝わる家庭料理の一つでもあります。カナダでは野生動物の数が多いため、家庭料理としてもカナダ全土で古くから馴染みがあり、数十年前は、狩猟で捕れた野生動物の肉はカナダ人の食事の大部分を占めていました。ところが人々が田舎から都市に移動することによって、より飼育された肉に頼るようになったといいます。しかしこの秋からケベック州の限られた10件のレストランで、狩猟のシーズンのみという短い期間で、リスや野うさぎなどのジビエ料理を食べることができるようになるのです。

ジビエとは

ジビエ(gibier)とは、食用としてハンターが捕獲した野生の鳥獣のことを指し、農場で育てられていないことが前提です。主にフランス料理での用語として用いられ、本来は全く人間の手が加えられていない、野生のものを指します。捕獲する際、銃弾によって可食部分が大きく損傷してしまったり、また内臓が飛び散って味が悪くなってしまってはいけないのでハンターの腕が問われるところです。また捕獲した後の処理を適切に行うことが、味を左右するポイントとなり、また数日かけて成熟させてから調理するのが普通です。ジビエの旬の季節はというと、野生の鳥獣が体に栄養を蓄える秋が旬となるため、ジビエは季節限定のご馳走と言えるでしょう。北米でよくあるものとしては、鹿、ウサギ、アヒルなど挙げられます。

カナダにおけるジビエのあり方

狩猟で捕れた野生動物の肉の取り扱いは、ニューファンドランド州とノバ・スコシア州ではレストランでの販売が許可されており、ヌナブト州ではスーパーマーケットでの販売が許可されています。オンタリオ州においては、レストランはそれを購入して提供することは許可されていません。

ケベック州の新しい試み・許可された動物

gibier-02長い間カナダのほとんどの州で、野生動物の狩猟で捕れた肉の販売が禁じられていたように、ケベック州でもその販売は禁じられていました。今までその販売が違法であったのには理由があり、長い歴史の中で狩猟で動物を殺しすぎてしまったという過去があるためです。今回ケベック州政府が、狩猟でとれた野生動物の肉を使った料理を限定された10店のレストランで提供することを許可し、狩猟シーズンのみ解禁されます。これは美食的な冒険であり、ケベック市民のみならず、世界中の美食家たちの注目を集めることで、観光産業の起爆剤となることを期待していると言われています。今までは、ジビエの販売や、レストランで提供することも違法だったため、唯一の方法は自分自身で狩りをして捕獲するか、もしくはそれをシェアしてくれるハンターと知り合いになるしかありませんでしたが、今回この新しい試みを導入するにあたり、どのように購入販売を限定するかがカギとなってくるといいます。どの種類を許可するかの審査もとても慎重で、絶滅に瀕していないこと、そして人間にとって食べても安全であることが大前提となっています。今回許可された動物は、リス、ビーバー、鹿、マスクラット、野ウサギの5種類です。毎日のように公園や庭で見かけるリスを食べることに違和感を感じる方も多いかと思います。肝心の味はというと、リスの肉はうさぎに似ていて、マスクラットはターキーのような味で、ビーバーはかなり脂っぽい子羊のようだといいます。

gibier-03ジビエ料理を新たに提供する代表的レストラン

Restaurants Joe Beef & Liverpool housejoebeef.ca
Au Pied de Cochonwww.restaurantaupieddecochon.ca
Toqué!restaurant-toque.com/en


シェフたちの反応・どんな料理を振舞うのか

CBCニュースによると、野生動物を使った料理をレストランで提供することは、シェフたちにとって大きな夢だったといいます。ジョー・ビーフのシェフ、デービッド・マクミラン氏は「私たちは料理に地元産チーズや野菜、魚などを使おうと必死になるのですが、肉製品となると、一般的にその全 てが農場で育てられたものを使っているのです」と話し、マクミラン氏は、この春から野生動物の肉を使った料理を少しずつメニューに載せていくつもりだといいます。この試みは、野生動物を大量乱獲するということではなく、ゆっくりと適性の範囲内で行うことで自然のバランスをコントロールするということなのです。また、マクミラン氏はリスの肉の味に対して、「野ウサギとウズラの中間のような味」と表現しています。

さらに、オーピエドコションのシェフ、マーティン・ピカードさんは「自分が現役のうちに野生動物の肉を使った料理が提供できるようになるとは思わなかった」と話し、いつの日か今回許可された10件のレストランだけでなく、ケベックのシェフの誰もが野生動物の肉を使った料理を提供することができる日がくることを願っているとの思いを語った。

今回の件のレストランでのジビエ解禁は、限定的なものではありますが、シェフたちにとってケベック州のユニークな美食と新たな歴史の始まりとなることだろう。また観光産業にも大きく寄与することになるとも言われている。

ジビエを楽しもう

ジビエ料理は単なるグルメな食べ物というだけではなく、狩猟で捕れた野生動物の肉は伝統的な赤い肉よりも健康にいい重要な要素を含んでいます。牛肉や豚肉よりもはるかに脂肪分やカロリー、コレステロールが少なく、場合によっては白身の鶏肉よりも少ない場合もあるそうで、健康にもいいということが証明されています。野山を走り回った野生の肉は、脂肪分が少なく引き締まっていて、赤ワインにもよく合うとのことです。きっと野生動物の肉は、活力に溢れ、私たちにパワーを与えてくれることでしょう。みなさんもこの秋、是非ジビエ料理に挑戦してみてはいかがでしょうか?


Translator and Article : Kanako Sato