銀杏・木村オーナーシェフのカナダストーリー Vol.5 ~ トロントに寿司ブームを起こした店『笹屋』

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紆余曲折がありながら、木村さんの燻っていた大志がようやく実り始めた。そんな心意気が形となった『笹屋』。1980年代のトロントの地にはわずか5件ほどしかなかった日本食レストラン、その知名度を上げる火付け役ともなった、木村オーナーシェフ初の店をご紹介しよう。

Vol. 5 トロントに寿司ブームを起こした店『笹屋』

1978年、木村さんはEglintonに『笹屋』をパートナーと一緒にオープンした。当時、剣道を共に励んでいた仲間から声をかけられたことがきっかけとなったそうだ。

「我々は英語も技術もなくて、残っているのはやる気とガッツだけでした。剣道仲間と、自分で何か営業を始めたいと話していたのです。」と、木村さんは語った。

1970〜80年代は、“団塊の世代”と呼ばれている時代で、日本で戦後もっとも出生率が多かった。学校のクラスも、今では考えられない程多く、1クラス50〜60人で構成された学級が3〜4組に分かれていたという。

木村さんは、「みんな、どこかで生き道を探さないと生きられなかった。だから、カナダに来たら何かできるのではないか、という大志はみんな抱いていました。戦後少しずつ良くなってきている時代だったので、若い世代の活気ややる気で満ち溢れていましたね。」と、当時を振り返ってくれた。

そんなエネルギーが木村さんや仲間を結びつかせ、レストラン経営というアイデアを生み出した。その前段階では、焼き鳥をメインとしたレストランとなる予定だったそうだ。その構想の最中、流行発信地であったニューヨークで、寿司が人気ということを耳にしたのだという。

「とにかくやる気だけはあったので、私の仲間が(ニューヨークに)飛び、寿司を教えて貰いに行ったのです。それから焼き鳥屋を変更して寿司屋になりました。本当に無計画でしたが、そこが良かったと思います。」そう木村さんは笑って話してくれた。

仲間とアイデアを出し合い、寿司屋をオープンするにあたり、その日の新鮮なネタを客に提示できるショーケースを置き、本格的な寿司バーを完成させた。

「当時、寿司をやっているお店はありましたが、そこまで本格的ではなかったのです。トロントに本格的な寿司屋を出したのは、我々が初めてだったと思います。」と木村さんは話した。

そうしてようやくオープンに至った『笹屋』は、木村さんの予想を大きく上回る大盛況を見せた。僅か40席の小さなレストランへ寿司を食べに来た人々は2時間待ちという行列を毎日作った。

次回は、寿司ブームを巻き起こした『笹屋』をさらに詳しくみていこう。

笹屋の前にて

笹屋の前にて

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