グルメの王様のおしゃれ美食道 第34回

「バッフェの面白文化」

トロント最新バッフェ

トロント最新バッフェ

ハイテクバッフェ?

ハイテクバッフェ?

料理の選択が楽しみ

料理の選択が楽しみ

クイーンズのグルメビル

クイーンズのグルメビル

陳列は綺麗

陳列は綺麗

大盛りの醍醐味

大盛りの醍醐味


今は食べ放題という料理の形態を知らない人はいませんが、昔は珍しい料理として見られていました。私のバッフェ入門は、意外にも皇居前のパレスホテルで本当によく通いましたね。パレスホテルは、オークラやプリンスに比べるとあまり親しみのないホテルでしたが、料理に関してはある大御所が控えており、それが父の選択の理由になったのかも知れません。何を幾ら食べても同じ値段。当時大食漢の皆さんにとっては、正に夢のような食事でしたね。

バッフェは日本では近年の言葉で、昔は何故かヴァイキング。時々スモーガスボードという名称を売り物にするお店もありました。

トロントのバッフェの主流は間違いなく香港・中国系でしょう。これに時折イベントで行われるホテルが加わります。トロントに来た当時はもの珍しさから開店直後のお店をよく訪れましたが、その頃から不思議に思っているのが、わが国日本料理が中心ということです。それはそれで本家本元人としては嬉しく思うのですが、同時に本物を良く知る者から見ると、首を傾げたくなるニホンリョウリやオスシが殆どで、何度も足を運ぶことはありませんでした。もう一つ不思議なのは豪華な料理が一堂に並ぶのがバッフェの醍醐味なのに、何故か注文形式のバッフェが幅を利かしているということです。

今回好奇心シリーズよろしく、最新のバッフェ日本料理店を訪れてみました。名前は魚四季(うおしき)で、Finch北 / Midland西 にある比較的新しいプラザに開店しました。所変われば、というか時代の流れというか、注文がメニューではなく、タブレットを見て自分で選ぶ方式にびっくり。でもこれもまた楽しからずやで、色々選んでいざテーブルに並べてもらうと、ちょっと会席料亭の世界ですね。近年の香港・中国系バッフェの特徴は全てミニサイズ、ということで、容器の特注や小分け調理が大変なのでは、と余計な心配をしてしまいますが、注意しないと何度も注文し直さなければならないので、お刺身など一度に大量にオーダーすると、一緒盛りで出してくれます。

海外のバッフェで感心したのは,美食の街ニューヨークのクィーンズ・フラッシングにあるEASTです。初めて夕食に招待された時、折りしも昼間グランドセントラル駅の名所オイスターバーで牡蠣を楽しんだのですが、皮肉にもEASTの牡蠣の方が印象に残ったことをよく覚えています。最近は移転してしまい寂しい限りですが、その代わりにユニークなバッフェレストランが同じくフラッシングに登場しました。その名もNORI NORI。何だかワクワクさせるネーミングですね。ここでは南米のスタッフが大勢おり、同じ日本料理スタイルでも、トロントとはまた違った風情があります。

バッフェスタイルのレストランのもう一つの楽しみ方は、いわゆる割り勘で集まる場合には格好の場所ということです。また料理を取りに行く時は、一方通行かどうか確かめる等、周りの人に気を配り、フルコースの順序を参考に、お皿に適量盛って席に戻ると、また一段と株が上がります。


gourmet-king-profile辻下忠雄
エッセイスト・生活礼儀情趣導師(生活開発プロデューサー)
1947年東京大田区に生まれる。成城学園出身。フランス料理界、ナイトクラブ界、中国料理界の大御所として多くの逸材を育てた父と、料亭経営の傍ら歌舞伎の舞台にも立った祖父の下で育つ。美食歴59年究極の美食家。紳士の中の紳士。ベストドレッサー。生活信条は「明るく・楽しく・仲良く」超楽天主義者。トロント在住。