トロントの居酒屋風雲児 #16「日本とカナダの酒事情」
「日本とカナダの酒事情」
夏時間が始まり少しずつ日が長くなってきて、春ももうすぐかなと思うとまた雪が降ったりとトロントの冬はもう少し続きそうです。日本ではそろそろ桜も咲きそうですがトロントの桜はいつ見られるのでしょうか。
先月は日本の飲食店での店内禁煙等に関して書きましたが、厳しくなりつつあるものの日本はまだまだタバコには寛容な国です。またカナダと比べると日本はお酒に関してもとても寛容な国です。逆にカナダが厳し過ぎるのかなと思うことも多々あります。やはり大きな違いとしては屋外で飲酒が出来るというのは日本の良いところなのかなとも思いますし、どこでも何時でも酒類を購入する事が出来るのもとても便利で素晴らしい点です。
逆にカナダは飲酒する時間が昼11時から夜2時までと限られていたりお酒を買う場所も限られているなど本当に厳しいなと思います。また酒税が高いので輸入するお酒などはとても高くなってしまうのは消費者からするととても嫌な点です。ビールの価格などは日本と比べてもさほど変わらないかなと思いますが、輸入されているリキュールまた日本酒等に関しては日本の数倍の価格になる物もあります。そのため私たちのような日本酒を扱う飲食店でのお酒の販売価格は日本と比べるとびっくりするほどの価格の違いです。
例えば日本では千円ほどで店頭で購入できる焼酎もカナダの飲食店では100ドルほどで販売している物もあります。ただ飲食店側が法外な値段を付けているのではなく、ここには酒税の問題が大きく関わっています。もちろんこの酒税はアルコールの度数や容量等によって変わってきますが、この酒税の高さのせいで消費者の購入を抑えているのは事実かと思います。カナダは医療が基本無料なのでアルコール中毒やアルコールによる疾患の医療費を抑えるために酒税を高くし、少しでも酒類の購入を抑えようという理由もあるようです。
世界の中でもカナダの酒税はやはり高くカナダの酒税による年間収入はイギリス、アメリカに続いて世界第3位となっています。それに比べ日本は世界17位と意外と低いランキングになっています。金額でいうとカナダは日本の4倍以上にもなる酒税による収入があると思うとかなりの税金を私たちはカナダに納めているのだなと実感します。
カナダに比べるとまだまだ低い日本の酒税率ですが、実は日本ではビールにかかる酒税が他の酒類と比べるとびっくりするほど高いのをご存知でしょうか?アルコール度数1度、1リットルあたりで計算すると、ビールは日本酒と比べると5.5倍も高く、購入価格の約40%が税金となっています。海外と比較するとアメリカの約12倍、ビール大国のドイツと比べるとなんと20倍にもなります。消費者の私たちが直接払うわけではないのであまり実感がないですが、税率で考えるとかなりの高級酒となります。
なので日本では発泡酒や第三のビールといわれる麦芽以外を原料としたビールを作り、少しでも税金を抑え、販売価格を抑えようとしていましたが、今後はビール、発泡酒、第三のビールの税率が一律になる動きがあるようです。しかしそうなったらみんなビール飲みますよね。私もビール党なので、少しでも安く美味しいビールが飲めると嬉しく思います。あとはカナダでも美味しい焼酎が手頃な値段で飲めると嬉しいのですが…
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。