美容対談 新屋克彦さん x Hiroさん

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日本で美容室専売品を取り扱っているフォーフルール。salon bespokeでは同社の縮毛矯正剤やパーマ液を使用している。ディーラーを通して出会い、初めて対面したのが2013年8月。それ以来、帰国毎に時間を作って会うようになった2人がそれぞれの拠点から日本とカナダの多様性について美容という観点から切り込んだ。意識の違いや変化、美容業界の今後について語ってもらった。

日本とカナダで美容に対する投資に差はありますか?

Hiro:カナダでは、美容やファッションに時間やお金を費やす方もいれば、アウトドアや旅行に費やす方もいらっしゃいます。元々来店サイクルが日本よりも長い傾向にありますし、何にお金と時間を使うのかという価値観の違いもあるのかもしれないです。それでもお客様によって、特に男性の方は10日に1回いらっしゃる方や、ランチタイムやブレイクタイムを利用して気軽にいらっしゃる方もいますね。

新屋:日本人については、以前の方が美容に対する投資が高かったように感じます。日本人の美容に対する意識が低くなったとは感じないですが、時代の流れで価値観が多様化し、どちらかといえば、娘の発表会だから、友人の結婚式があるから、仕方ないから美容室に行こうというような美容室が特に行きたい場所ではなくなってきているのではないかと感じます。そしてこれが、日本の美容室の現状だと思います。

インターネットなどの普及に伴い消費者の美容に対する知識に変化はありますか?

新屋:現在は様々なところから情報を得ることができるので、お客様の知識も大きく増えてきています。それに伴い美容師の方も休日を使って講習に参加し、より詳しい知識を、という形になっています。また少し前に日本のメディアを通して多くの方が影響を受けた情報があるのですが、美容業界では数十年前から当たり前のことだったので本当に新しく、正しい情報を入手することが大切だと思います。

Hiro:カナダでも正しい知識を持っている方だけではないですし、偏った知識を信じきっているお客様の場合などはどのように正しい情報を伝えるべきか迷うこともありますね。なので我々美容のプロがどれだけ正しい知識を発信できるか、ということも大切です。またカナダの方が気候柄、長い冬の間は無頓着になってしまう人も少なくないので日本よりは知識のムラがあると思います。

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今から50年後の美容室はどうなっていると思いますか?

新屋:日本では今、20数万件の美容室がありますが、日本人の人口減少によって、その数も減っていくのは明らかだと思います。20数年前に美容室向けのオートシャンプーという自動でシャンプーをしてくれる機械が誕生しています。最近では介護向けに普及が進んでいるようです。それが、美容業会に再進出してくる可能性もあります。極端な話ですが、僕はオートカッターという機械が出来る可能性も決して低くはないと思います。例えば、日本では美容学校に入学する生徒や美容師になりたいと思っている美容師人口が減ってきています。それでは美容室が求人をしてもなかなか人材が集まらず、その代わりにオートカッターのようなロボットが生まれ、ロボットがカットする時代がくることもない話ではないと思います。

これからの日本の美容室、美容業界において必要なことは何だと思いますか?

新屋:美容業界の人間が進化していかないといけないと思います。上手だからといってお客様に満足してもらえるわけではないので、+αをこれからどこまで伸ばしていけるか、掘り下げていけるかという点が重要になってくると思います。従来のカット、カラー、パーマだけではなく、これからはヘッドスパの様に新しい価値を創造していく必要があると思います。いつまでも若々しく健康的に過ごすことを意識してビューティー&ヘルスコンシャスというキーワードがあるのですが、そのキーワードの中でお客さまが求めているものをもっと増やしていかないと、これからの美容業界が厳しくなっていくと思います。極論をいうと、僕は世界中の人の髪の毛が一本もなくなったとしても、美容室に生き残ってほしいと思います。そのためには美容室は決して作業だけの場所ではないです。そこに行くと落ち着く、すごく元気をもらうなど、メンタルビューティーという心の中から元気に、綺麗になれる場所である必要があります。価値観が多様化している現代ではしっかりターゲットを定めた特色あるサービスを提供していくことが大切だと思います。

これからの日本の美容業界を担う皆さんに伝えたいことは何ですか?

Hiro: 10年、20年、30年と、先を見据えることが大切だと思います。美容師一人一人が美容に打ち込むのは最重要ですが、美容業界から1歩引いて、社会、世間・世界、そして時代の流れをみることが美容業界の発展にも繋がると思うので、視野を広く持って欲しいですね。他には、自分のカラーを出すことです。例えば、僕の話を聞いて喜んでくださるお客様がいらっしゃいます。もちろん、技術やテイストなどにもこだわりますが、それに+αも必要だと思います。美容師一人一人が個人をしっかりブランディングしていかないといけないと思います。また海外で通用するためにはコンサルテーション技術が重視されると思います。これはどの業種でも必要なスキルですが、しっかりしたコミュニケーション能力でお客様が何を求めているかを引き出さなければならないです。外に出て、趣味やサークルに打ち込んだり、同窓会などに出席したり、様々な人たちと出会うことで見識は広がるし、コミュニケーション能力やコンサルテーション能力も上がると思います。大切なのは仕事とのバランスで、1割2割は美容から離れることを意識することでもっといい美容師になれると思います。

新屋:自分はこんな人間で、うちのお店にはこんなスタイルの人間が集まっていて、こういう人たちに来てほしいと思っている、という点を明確に打ち出していかないと今はお客様から選ばれないですね。それが僕たちが支援しているサロンブランディングです。さらに今は美容師さん一人一人のパーソナルブランディングも意識していかないといけません。日本では、技術があればお客様がついてくるという考えがまだ残っていますが、それを変えていく必要があります。休みの日に講習会に行くだけではなく、他業種の方との交流を行い、環境や行動を変えていかないとお客様との会話に困ったり個性のない美容師になってしまいます。いろいろな世界を見ることや遊びからも学ぶことはたくさんあると思います。


Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ 就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor
salonbespoke.ca


新屋克彦さん
株式会社フォーフルール、代表取締役。1967年大阪府に生まれる。子供のころは野球少年でリトルリーガーとしてグランドを走り回る。その後音楽に傾倒し、都内・関東周辺のライブハウスやホコ天で活動。音楽活動の傍らデザイン事務所で働きAppleのMacintoshと出会い、以後PCはMac以外使ったことがないAppleUser。1995年にフォーフルールの前身となる会社に入社。1997年にフォーフルール創業。後に代表に就く。趣味はランニング、旅行、音楽、映画。
www.fleur.co.jp