メジャーリーグで青木宣親選手の通訳として6年間支え続けたプロフェッショナル|トロントのカリスマ美容師 Hiroさん×稲治コウスケさん | 対談【前編】

日本から海外に渡るプロスポーツ選手が現地で結果を出すためには本人の力だけでなく様々なサポートが必要となってくる。稲治さんは幼少期にアメリカへ渡り、学生生活を現地で過ごし、大学卒業後、斎藤隆選手をはじめ、青木宣親選手といった一流メジャーリーグ選手を通訳としてだけでなく秘書のような役割を通して公私共に支えてきた。

今月から3回に渡り、友人であるヒロさんが稲治さんを迎え、お互いの出会いからプロとしての仕事、そして今後のことについて語り合っていただいた。

Hiro:今回登場いただくコウスケさんとは昨年、出会ってからすぐに飲み仲間になりましたが、実は改めてお互いの深い話まではできてなかったような?(笑)。

稲治:僕は覚えてないですね(笑)。なので、今日のこの感じはちょっと新鮮ですね。

Hiro:昨年は、7月にアストロズとして出会った後、ジェイズ移籍&退団そして9月2日にはメッツ入団と、コウスケさんとの出会い、再会、お別れ、全てが突然過ぎて気付いたら、写真でさえ一枚も一緒に撮ってない!(笑)。

稲治:確かにそうですよね(笑)。飲食だけでなく、青木さんも僕らもヘアカットしにヒロさんのサロンにも行ったのに。

Hiro:はい(笑)。たぶん、青木さんに紹介していただいた最初の日から、皆さんがとても優しかったので、気付いたら僕が勝手に〝チーム青木さん〟に馴染んでる感覚でいたのか、改めて〝写真でも?〟ってタイミングの前に突然、 皆いなくなっちゃったみたいな(苦笑)。

稲治:それは、言えてますね(笑)。昨年は、本当に全てが突然でビックリでした。

Hiro:それでは、そろそろ本題に(笑)。まずは、メジャーリーグで通訳として働き始めるまでのことを教えてください。

稲治:3歳でアメリカに来て、大学までカリフォルニアで勉強しました。大学では遺伝子工学部で勉強していたので、卒業後はキャンベルスープという会社の研究所で半年程働いていたのですが、別の大学へ行った高校の同級生が教わっている教授の紹介で、メジャーリーガーの通訳という世界に入りました。その教授は、大学の野球部で監督をしていたこともあったのでメジャーリーグともコネクションがありました。

2010年に斉藤隆選手の通訳としてキャリアをスタートし、2012年からはブルワーズに入団した青木宣親選手の通訳を担当しました。青木選手とはこの6年間ずっと一緒にお仕事させていただきました。

Hiro:元々メジャーでの通訳に興味はあったのですか?

稲治:そうですね。通訳という仕事自体が面白そうだと思っていました。メジャー観戦も好きでした。実は最初ブレーブスの面接を2009年に受けたのですが、落ちてしまったのですが…。

Hiro:それでも2010年からは通訳者として働き始めてますよね。1度目はうまくいかなかったとしても、再度チャレンジすることがポイントですよね。

稲治:メジャーでの通訳の仕事というのは、なりたくてなれるような仕事ではないようにも思います。もしメジャーの通訳や仕事を目指すとしたら、コネというか誰かを通して紹介してもらうことがとても大切になってきます。僕の場合も、紹介してくれた教授のクラスに友達がいなければ、メジャーの世界での通訳という仕事には縁がなかったと思います。

Hiro:信頼・信用できる人からの紹介という形は本当に海外では重要ですよね。そういう意味では、僕とコウスケさんが出会ったきっかけも形が似ていますね。

稲治:確かに(笑)。僕は青木選手を通じてヒロさんと知り合いましたが、川崎選手がブルージェイズにいた時にヒロさんと友人だったということ、そして川崎選手と青木選手が仲良かったということがつながって、僕とヒロさんが知り合うという縁が生まれました。

Hiro:実は本当のところを言うともっとストーリーがあるんですよ(笑)。もともと僕と青木選手の出会いは、彼がうちのサロンの前を歩いていて、それを見かけた僕が興奮して声を掛けたのです。おっ!青木選手だと思って…(笑)。

稲治:そうでしたね(笑)。その話は、その時、僕は一緒じゃなかったんですが、あとからヒロさんの話を聞いて、チームメイトの皆で盛り上がりましたよ。

Hiro:以前から、川崎選手や他の関係者の方々から青木選手のお名前だけは伺っていましたので、勝手に僕から親近感を持たせていただいてまして、その矢先に青木選手ご本人がうちのサロンの目の前を通ったので、ついつい声を掛けてしまいました(笑)。その後、一緒に食事をしなが色々とお話させていただいて、距離感が縮まったというか、信用していただいた感じはします。

稲治:プロ選手は多くの人が周囲にいますので、信頼・信用ということをとても気遣っています。ヒロさんと青木選手の関係はもちろん、僕との関係も、ある意味、川崎選手と親しい関係を築いて来たヒロさんの姿勢が縁を結んでくれたのかもしれませんね。

Hiro:ちなみにその時の僕の第一印象ってどうでしたか?僕はコウスケさんは周りの年上の方々にとても可愛がられているな、という印象でした。ですが、そういう年下キャラのような立ち位置でも、一番英語ができるし、周囲への気遣いも細かく、みんなから一番頼られているような感じがしました。誰よりも年下だから可愛がられているけど、いざとなるとコウスケさんがいないと困る…みたいな唯一無二の存在に感じました。

稲治:それはそう思われていたら嬉しいですね。僕はヒロさんに対して〝THE日本人の美容師さん〟っていう印象を受けました。やっぱり髪の毛が印象的だったってのもありますが、話がおもしろく、聞き上手!相手が喋りたいことをうまく引き出してくれるような会話を展開して、気遣いはもちろん、老若男女問わず〝懐〟に入るテクニックがすごいなと感心したのがとても印象的でした。 

(聞き手・文章構成 TORJA編集部)


稲治(イナジ)コウスケさん

日本で生まれ、3歳で両親と共にカリフォルニアに渡る。大学を2009年に卒業した後はキャンベルスープにて研究員として勤務。2010年からはアトランタ・ブレーブス、斎藤隆選手の通訳として、そして2012年からは6年間に渡り青木宣親選手の通訳として活躍。


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

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