「常に笑っていられれば一番いいと思う。」|トロントのカリスマ美容師 Hiroさん×相場 義之さん 対談【後編】

カナダのベスト100レストランに選ばれたAncaster Millでイベントシェフを務める相場義之さん


 最終回となる後編では、二人の人生観について語ってもらう。

上手な人たちの中にいると自分も上手くなる

Hiro: 今のお店に移ったきっかけは?

Yoshi: 2015年頃、エグゼクティブシェフとスーシェフがハミルトン周辺のレストラン業界を盛り上げるために転職することになって、声がかかったのがきっかけ。上の二人のシェフから学びたかったし、「Auberge du Pommier」のレストラン自体には未練はなかったね。

 「上手な人たちの中にいると自分も上手くなる」というのが、サッカーを通じて自分の中にあるんだよね。所詮弱いチームでトップになっても、上には上がいるわけで、それなら出来る人たちに囲まれていたい。それが一番成長できる近道だと思う。

人生って常に本番!

Hiro: ヨシ君が以前言っていたチャンスが回ってこないことが怖いっていうのは、サッカーのフォワードみたいな考えだよね(笑)。ゴールを失敗するより、パスが回ってこない方がよっぽど怖いみたいな…。

Yoshi: 本当そう!だって、同じシュートって二本も打てないじゃん?だから、一本のシュートをどれだけ大事に決めるかが勝負といつも思っている。

Hiro: もちろん毎日が本番だけど、日々練習みたいなもので、失敗しないと成功はしないよね。

Yoshiそうそう!人生って常に本番!常にチャンスが回ってきたら本番だと思うし、ミスをしたくないよね。

Hiro: そういうところがリスペクトできるところなんだよね。サッカーは団体競技だからこそ、会社や社会のルールと似てるよね。個人競技とはやっぱり違っていて、みんなで一つのゴールに向かって進むことができるよね。

Yoshi: そう考えると面白いよね。でもチームスポーツは全員が100%の力を出さなくても成り立つでしょ。誰かが80%でも周りがカバーしてくれるから良いけど、それに甘えると自分が弱くなるから、常に自分は100%でいたいと考えているよ。

5年後に何をするかは決めないようにしている

Hiro: 「Ancaster Mill」に異動してもう三年が過ぎたけど、モチベーションはどう?

Yoshi: 今のモチベーションはレベルの高いシェフの中でスキルが磨けることかな。将来、もう少し自由にやるためにはスキルが必要だからね。そのためには、高い評価を得て上のポジションを獲得していくことが必要だと思っている。

 今この瞬間というより将来を見据えてというモチベーションで、料理の世界に入った時からいつも5年後10年後を見据えてきたけど、あえて5年後に何をするかは決めないようにしてきたんだよね。5年前の自分が今のポジションなんて想像できなかったように、5年後の自分のことも分からないからね。だから、将来のことは決めずに今出来ることにベストを尽くしながら将来図を描いて、その中で一番いい選択ができるようしたいよね。

Hiro: 共感できるところが多々あるなぁ。自分自身のことを振り返っても昔はニューヨークで働きたいと思っていたけど、結局、気持ちが変わって行かなかったしね。住むならトロントが一番、自分にとって幸せになれる街だと今は、確信している!

Yoshi: そういうもんだよね。常に笑っていられれば一番いいと思う。俺、将来ずっと笑っていたいもん。

Hiro: ラテンの影響を受けた俺らには、それが一番だよね(笑)。

Yoshi: ヒロさんのワークスタイルはこれからのモデルケースだよね。今やトロントだけじゃなく、日本でも活動の幅を広げているし。やっぱり自分のやりたいことをやっている人ってお手本になるよね。人と違うことをしないと新しいことは生まれないし、人と同じことばかりしている人は同じにしかならないから。

Hiro: 〝ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン♪〟ってことだよね(笑)。

Yoshi: そうそうそう! 一番になりたいわけじゃなくて自由にやりたいんだよね。

Hiro: 一番とかってそれは人の基準だよね。俺がもうコンテストに出ないのも、コンテストの結果は、審査員の人たちの評価だからね。それよりも自分を支持してくれるお客様だったり、家族、友人、そして美容業界の仲間がいることが大切だと思う。そういう考えがあれば、その分の時間、パッション、お金とかを別のことに費やすことができる。その結果、自分に素直なままで成長できるはずだよね。

 この連載もその一環で、このページを読んで、特に若者とか、読者たちがなにかに感化されて創造性が豊かになったり、発想力が広がったりしてくれれば嬉しいよね。

Yoshi: 理想の人が全てではないよね。結局、俺がヒロさんに憧れたところでヒロさんにはなれないしね。だから俺は俺でしかないし、ヒロさんはヒロさんでしかない。

Hiro: ヨシ君は、日本でシェフではなかったのに、自分でゼロからの道を作ってきたのは本当凄いと思う。やっぱりこの男は予想どおり上がって来たなって感心と、また共感もしてるよ。お互いに海外で、若いうちに名が知れたブランド店の門を叩いたところも一緒だしね。

Yoshi: もう家族みたいだもんね。カナダには血のつながった家族もいなかったから本当に親族みたいな関係だね。ホッとできるし、色んな面で背中を押されて刺激が貰えるような唯一無二の存在だよ。俺がヒロさんに見守ってきてもらったように、俺もチャレンジして上がってくる若手を応援したいなぁ。

Hiro: ちょっと前から言ってるよね、それ。心強いね。じゃあ最後に、海外で頑張りたい若者にメッセージをよろしく。

Yoshi: やっぱり自分が外国人であることをまずは自覚することが大事。その中で自分のカラーを出して、いかにアピールできるかというのが海外で勝負する武器になると思う。自分を見失わずに、目標にチャレンジし続けて欲しいよね。

(聞き手・文章構成 TORJA編集部)


相場義之さん

 学生時代にブラジルにサッカー留学。その際に海外での生活に憧れ、2008年にワーホリでカナダへ。2009年にFin Izakayaで料理を始める。その後高級フランス料理店Auberge du Pommierで働き、1年弱でマネージャーポジションに昇進。2015年に現在のAncaster Millで働き始める。2016・2017年、【15 of the best restaurants outside the GTA】【100 best restaurants in Canada】に選ばれる。
ANCASTER MILL 548 Old Dundas Rd, Ancaster, ON L9G 3J4
HP:ancastermill.ca


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke

WEB: salonbespoke.ca
TEL: 647-346-8468
130 Cumberland St, Toronto, ON M5R 1A6
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