まだ見ぬ音を創り出すトロント出身新進気鋭のエレクトロニックミュージシャン I Am Robot And Proud インタビュー|カナダの時の人に迫る


I Am Robot And Proudの名前でも知られるショー・ハン・リエムさんはトロント出身のエレクトロニックミュージシャン。幼い頃からトロント王立音楽院でピアノを学び、のちに電子音楽へと転向。サウンドソフトウェアを駆使し作られた彼の音楽は、近代的な音色でありながら聴きやすいのが特徴。最近ではプレイステーションの「サウンドシェイプ」というゲームの作曲も担当した。2015年にはアルバムをリリースするとともに日本国内でツアーを行い数多くの日本人アーティストとコラボするなど、日本との関わりも深く、今大注目のミュージシャン。

音楽は仕事ではなく自己表現の場

ー音楽を始めることになったきっかけは?

 十代の頃、友達とバンドを結成したのが私が音楽を始めたことがきっかけです。プログラマーとして15年間仕事をしていた間も、夜や週末になると音楽づくりに没頭する生活を送っていましたね。また、トロント王立音楽院でピアノを勉強していたこともあり、その中でコンピューターを使った音楽に惹かれるようになっていきました。コンピューターはいわば、幅広い音色を奏でられるピアノのようなものです。人間の手では演奏出来ないような旋律や和音などを奏でられるのも魅力です。そんなコンピューターの可能性に惹かれて電子音楽を選んだのかもしれません。ラッキーなことに、今では音楽を仕事にすることが出来たのですが、これを「仕事」と思ったことはありません。今でも変わらず音楽は私にとって創作と自己表現の場です。

ーその自己表現の場では本名ではなく“I Am Robot And Proud”という名前で活躍されていますが、その由来を教えてください。

 元々は手塚治虫の『鉄腕アトム』から来ています。英語では鉄腕アトムを“Astro Boy”というのですが、私はそのフレーズの響きが好きでした。それともう一つ、鉄腕アトムは人間とテクノロジーの中間地点のような存在であり、私自身もそのような立場にいると考えています。その共通点もあり、この名前を選びました。

ートロント王立音楽院ではクラシックを勉強されていたそうですが、そこで学んだことは現在の音楽制作ではどのように活かされているのでしょうか?

 トロント王立音楽院ではクラシック音楽も勉強していたのですが、電子音楽とクラシック音楽には共通点がたくさんあります。その中でも、クラシック音楽を学ぶ際に誰もが勉強する楽典はどのジャンルの音楽にも活用することが出来ると思います。クラシック音楽を学ぶということは、ある言語の語彙を学ぶようなものです。その言葉を使ってどのように物語を作っていくのかはその人次第です。結果として私の物語は電子音楽だったということです。

「くるり」や「水曜日のカンパネラ」なども出演した京都ボロフェスタでのライブ

誰も知らない音を創り出せることが電子音楽の魅力

ー音楽の基礎にはクラシックが大切なんですね!では、電子音楽の魅力を教えてください。

 電子音楽の大きな利点は、曲と楽器の両方を作ることが出来る、ということです。例えばあるギター奏者が「このギターにあと40本弦があって、その内の10本がチューバの音だったらな」と思っても、ギターそのものでそれを実現することは不可能です。ですが、電子音楽では自分の楽器を作り、プログラムすることにより理想の音を奏でさせることが出来るのです。そうすると音楽の可能性は無限に広がります。私の他にも電子音楽を手がけるミュージシャンはたくさんいて、誰も見たことのないような楽器や聞いたことのないような音色を作り出しています。

ーこれまでに何度か日本をコンサートで訪れていますが、その感想はいかがですか?

 私が初めて日本でツアーを実施したのは2006年でした。日本のどこを訪れても、とても熱く、フレンドリーなお客様ばかりで、本当に素晴らしい経験をさせていただきました。おそらく世界各地を訪れるミュージシャンに「どこで演奏するのが好き?」と聞くと、必ずと言っていいほど日本が上位に入ると思います。

 ツアーの中では日本とカナダの違いを感じることもできましたね。北米ではコンサートが深夜0時に始まり、午前1時に終わることがよくあります。ですが日本では早い時間から始まり、早く終わってくれたのでとても助かりました。私たちミュージシャンにも睡眠は必要ですからね(笑)。

ーツアーで日本に足を運ぶだけでなく、数々の日本人アーティストとコラボをされていますが、その中で最も印象深かったのはどのアーティストですか?

 ここ数年は数々のプロジェクトに参加させていただきました。実はついこの前も、オオルタイチさんという関西出身のエレクトロニックミュージシャンとコラボレーションをさせていただきました。

 今まで参加したコラボレーションの中で一番印象深かったミュージシャンは真鍋大度さんです。彼は、日本でも有名なPerfumeやNosaj Thingさんなど、数多くのミュージシャンとお仕事をされています。東京で彼と行なったイベントでは、彼のプロジェクト“Face Visualizer”を使いました。その仕組みなのですが、アダプタを人の顔につなげ、私がピアノのキーを押すたびにセンサーが反応し、小さな電流が筋肉に送られることによってその人の表情が少しずつ変わるという、とても面白いものです。他では無いようなとても貴重な体験をさせていただきました。

ーI Am Robot And Proudさんにとって「」とは?

 音楽は、私たち人間が言葉で表現出来ないことを表現することが出来る言語の一つだと思っています。


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