園長先生!気付けば息子も大きくなりました…第46回

「Happy Mother’s Day!」

21年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在23歳で大学在住中の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。

5月第2日曜日は母の日ですね!健人が生まれたのは1992年。この年、初めて私は母になりました。母になるのって、その過程だけでも大変なものなのでしょうが、若かった私たち夫婦はそれほど深刻に考えてはいませんでしたので、子供がやって来た日からはとにかく、ただハッピーな毎日を送れるものだと思っていました。大変なのは出産だけで、あとはかわいい我が子をこの胸に抱き、おっぱいをあげ、子供の成長ぶりをただ見守っていくだけなのだと…。

健人が生まれた後、私は産後ウツに悩まされていました。ただただ幸せいっぱいのイメージを浮かべていた生活は見事に覆され、かわいくてたまらない我が子を前にも、何かに付けて辛くて悲しい感情を拭えないまま日々を送っていたのです。1月も終わろうとしている大雪の中生まれて来た健人。レストラン関係で働いていたマークは朝出て行ったきり、夜中過ぎまで帰って来ない毎日でしたし、当時はコンピューターなるものもなく、日本にいる家族や友人との繋がりもなく、カナダでの友人と呼べる関係の人もなく、車もない生活でしたので、完全に社会から閉ざされた環境で朝から晩まで健人と2人きりで過ごしていた私は、ホームシックでいつも日本に帰りたいと思っていました。

産後はホルモンの関係で、母の気持ちはジェットコースターのように浮き沈みするのです。私自身、産婦人科で働いていましたから、状況はよく分かっているつもりでしたし、まさか私が産後ウツに陥るなんて、思ってもいなかったのですから。

だからきっと、このコラムを読んで下さっている方の中にも同じ体験をされた方は多い事と思います。特におっぱいの問題は大きく、出なかったり、うまく飲んでくれなかったり、乳腺炎になったり…そして、おっぱいをあげて一日が終わってしまう様な日々が続いたり。私の様に周りに家族や仲の良い友人がいなくてホームシックにかかる事もあるでしょう。また、英語の壁は厚く、言いたい事がドクターや看護師達、ましてや相方にもうまく伝わらなかったり…。日本の育児書に書いてある事とカナダの育児システムが違い過ぎて、困惑する事だって多々あります。

でもそれは本当にごく普通の事なんです!自分だけがこんなに出来ない母親だなんて思わなくて良いんです。子供や旦那さんに申し訳ない…って、思わなくて良いんです。辛い時は辛いんだって、叫んでも良いんです!

1992年。生まれて初めての母の日、コンドミニアムに住んでいた私はマークに「ごめん、金曜日にメールを撮りに行くの忘れたから一緒に取りにいこう」と言われました。メールボックスを開けるとそこには『Happy Mother’s Day… you got a gift!!』と言うメモが入っており、?と訳が分からずフロントにギフトを取りにいくと…花束とチョコレートと大きな大きなカードが預けてありました。カードを開けてみると、本当に下手な字で読むのも一苦労だったのですが、それはマークが書いた健人からのメッセージでした。
「毎日、いっぱい話しかけてくれてありがとう。いっぱい笑顔をくれてありがとう。おいしいおっぱいをありがとう。夜中も僕が泣いたら起きてくれてありがとう。お散歩つれていってくれてありがとう。気持ちのいいお風呂に入れてくれてありがとう。本を読んでくれてありがとう。いつもいろんな歌を歌ってくれてありがとう。とっても忙しいのに、お父さんの面倒まで見てくれてありがとう。そして、何より、僕とお父さんのためにカナダに残ってくれてありがとう。お母さんの笑顔がある限り、僕とお父さんはいつもいつもハッピーでいられるんだよ。大好きなお母さん。We love you so much…Happy Mother’s day!」
涙が溢れて来て、止まりませんでした。健人とマークからの初めての母の日の言葉。一生忘れる事はありませんし、全てが報われる思いでした。

過去を振り返り、今だからこそ伝えられる私の思いです。世のお父さん、お母さんにねぎらいの言葉をかけてあげて下さい。1日中、お父さんもお仕事で大変だと思います。でも、お母さんは違う意味で大変な思いをしています。赤ちゃんを面倒見る上でお母さんにしか出来ない事はたくさんあります。お父さんが出来る事は、優しい愛情でお母さんを包んであげる事です。辛いね、よく頑張ってくれてるね、って、労ってあげる事です。

そしてお母さん、考えてみて下さい。長い人生の間でここまであなたの事を必要としてくれ、慕ってくれた人が他にいたでしょうか。子供(赤ちゃん)にとって、お母さんは本当に掛け替えのない存在なんです。そして、辛い時はまるで永遠に続き、終わりのないトンネルに入ったかの様に感じますが、必ず、絶対に終わりが来ます。そして、それ以上の夢と希望、掛け替えのない幸せを運んで来てくれます。約束します。
そんな多くのお母さん達の幸せを心から願って…HAPPY MOTHER’S DAY!


池端友佳理ー 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。