3月からついにトロント公演!サーカス・アーティスト浦和 新さん インタビュー

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サーカスの技術に舞台やダンスの要素が取り込まれたパフォーマンスは圧巻!!

モントリオールに拠点を置くシルク・エロワーズに所属している浦和新さん。3月1日からソニーセンターで開演するトロント公演“Cirkopolis”に出演している新さんにディアボロやシルク・エロワーズの魅力、モントリオールでの学生時代の思い出や英語学習についてなど幅広くお話を伺った。

■ ジャグリング及びディアボロにのめり込んでいったきっかけやその魅力を教えてください。

昔のことなのであまり覚えていませんが、一人で練習をしていた頃は単純にその行為そのものが楽しかったですし、成長することが楽しかったのだと思います。 そのうち、人とあったりする度に自分の実力がはっきりしてきて、友人ができ、自分が一番存在しているような気がする場所だと感じ、のめり込んでいきました。

ディアボロ独特の魅力としては「不自然な中にある自然」だと思っています。シンプルではない形状のものを利用しているのに身体の一部のような感覚があるためです。
 

■ ディアボロを中心に新しい技の習得や開発はどのように行っているのですか?

自分から好んで技の開発はしていませんが、必要性がでたり、単純に自分の新しい可能性を探っていると新しい技ができたりします。練習時間は限られているので練習の前にはしっかりイメージをしますし、自分を撮影してあとで研究したりもします。昔と異なり動画ストリーミングサービスでかんたんに情報収集ができるのでそれらを利用しています。

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■ 諦めずに挑戦し続けるモチベーションはなんですか?

なんとなくやっているだけでそのようなかっこいい意気込みをもっていないのですが、強いていうならば「かっこいいジジイ」という自分のなりたい人に向かっているだけです。僕は弱い人間なので生きる希望が必要で、人間の可能性をみせられると「こんな世界があるんだ、自分もこんなふうになれるかな」と未来が楽しみになります。自分もそういう存在になりたいので、自分のなりたい素敵な自分はその状況で何をするのか。それを考えて行動すると周りの方にはそう見えるのかもしれません。
 

■ 大会優勝後には大学の勉強と同時に海外のフェスティバルにも積極的に参加されていたそうですが、その二つを両立するに当たって意識したことや大変だったことなど聞かせてください。また、この時点でディアボロで食べていこうという考えがあったのでしょうか?

特に問題ありませんでした。そもそも両立できていたのかは甚だ疑問ですが、大学は苦痛でもなかったですし、研究もやりたいことをやらせてもらっていました。勉強もしていなかったわけではないので、長期で海外に行く際も教授に直接頼み込みに行って交渉すれば難なくOKをもらえました。東京理科大学というかたそうな名前とはうらはらに、私のそのような課外活動を学長賞として二度表彰していただいたりしましたので、結果として大学の方針と遠く離れていなかったこともあるのだと思います。

当時プロになるなどと微塵も考えてもいませんでしたが、サーカスフェスティバルに出演していく中で、ショーの後の観客の反応や話しを通して、さきほどの人間の可能性を見せる希望の象徴のような、自分のなりたい人にほんのちょっとなることが出来ている、そう感じたのがサーカスの道を考えたひとつのきっかけです。

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■ 大学卒業後にはモントリオールのサーカス学校に入学されていますが、なぜモントリオールだったのでしょうか?また、サーカススクールへの進学、留学に対してご家族の反応はいかがでしたか?

海外のサーカスフェスティバルに出演すると僕だけがアマチュアでした。そこでサーカス学校で色々学ばなければダメだと感じたので大学卒業後にサーカス学校を受験しました。

ケベック付近のサーカス文化はヨーロッパやアメリカのサーカス文化より自分に向いていると感じましたし、周りのアドバイスを通してもそう思いましたので、モントリオールとケベックのサーカス学校を二校受験しました。実はダメ元での受験でした。モントリオールのサーカス学校はエリート集団ですし、そもそもバックグラウンドのない私が両校ともに受かるはずもないと思っていましたが、実際受かることができて、喜んで入学しました。

両親の個人的な立場としては反対でしたが、あくまで他人、「自分のことは自分で決めろ」というスタンスもありました。サーカスや僕のやってることにはあまり興味はないようです。
 

■ サーカススクールでの思い出についてお聞かせください。講義はフランス語なのでしょうか?英語とフランス語学習について何かコツはありますか?

講義は英仏両方で行われました。フランス語しか話さない先生もいるのでその場合はフランス語のみです。エリート集団の中に放り込まれたので毎日必死で学ぼうとしました。日本での学生生活よりも皆クセが強かったので新しい経験が多くておもしろかったです。ただ、僕は1人が好きな人間なので皆の中になじむということはありませんでした。

英語とフランス語については日本の大学生時代はTOEICでも300点程度でしたが、いざ必要になるとある程度できるようになりました。また「この人すごいな。何を考えているんだろう。知りたいな」という思いがきっかけでその人の母国語を勉強するようになりました。ネイティブレベルではないので言えることは特にありませんが、独り言を全部英仏で言ったりすること、他には母国語では考えもしない形容詞・副詞などについては文法の基礎を理解し始めてから成長した実感があります。

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■ モントリオールの生活で感じたカルチャーショックや苦労、またそれらの克服の仕方をお聞かせください。

生活は寮で、学校は様々な国の生徒でいっぱいでしたので特にモントリオールを感じたようなこともなく、カルチャーショック等も覚えがないです。僕は一つの人生の目標に向かっているだけなので苦労という感覚もないですし、結果的に変わっていることはあると思いますが、自分自身で自分を変えて周りに合わせたり克服していくつもりもありません。 

■ シルク・エロワーズ“Cirkopolis”に入団後、カナダ人を始め様々なバックグラウンドの方々とお仕事をされていると思うのですが、多文化社会でうまく活動されるために意識されていることはなんですか?

自分と違う考えを知ることができ、知らない文化を知れることがとてもおもしろいので多文化社会でうまく活動しているつもりも意識していることもありません。「こういう人もいるのか」、「こんな考え方もあるのか」という考え方だと自然に楽しくなってくると思います。
 

■ 3月トロント公演を控えるシルク・エロワーズ“Cirkopolis”の魅力・見どころを教えてください。

見どころはそれぞれ解釈をしていただいてこそ価値があると思うので僕自身からあまり言いたくはないのですが、少ない人数で90分のショーをしているので1人あたりの出演時間が長いこともあり、アーティストを知ることができ、彼らについてもっと知りたいと感じることができる魅力がショーに、そしてアーティストにあると思います。そしてみなさんが感じたことがみなさんの何か経験になっていだければ幸いです。

たくさんの知識を得て広い世界を知り、多くの人と出会うことで周りの環境を正しく把握できます。そしていろいろなことに挑戦することで自分の能力を正しく把握できます。その与えられた環境、そして自分の能力の両方を正しく把握することができれば、自分のいるべき場所、やりたいこと、可能性、活躍できることなどがおのずと見えてくると思います。僕自身は「人間の可能性・未来への希望を見せてくれる人になる」という一つの目標がありますが、この目標を見つけることができたのは、いろいろなことや様々な人を知ることが出来たからです。この先もきっと知らないことを知り、自分のことや世界のことを知って行くことができるのが楽しみです。

日本は島国ですし、歴史的・社会背景的にも異文化への許容が未だ乏しい気がします。海外に住むということは、日本という国に住む日本人よりも容易にいろいろなことを知ることができ、いろいろなことに挑戦できる立場にあるので、それを活かして積極的に物事に取り組み、自分のこと、世界のことを知ってほしいと思います。

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All Photos ©PATRICK LAZIC


Cirque Éloize トロント公演“Cirkopolis”

3月1日〜18日
@Sony Center

cirque-eloize.com/en
Metropolisというクラシック映画の世界を表現する“Cirkopolis”ではサーカスの技術に舞台やダンスの要素を取り込み、思わず息を飲んでしまうパフォーマンスが繰り広げられる。独創的なステージデザインにオリジナルの音楽と映像効果を組み合わせ、視覚的にも新しいショーは観る人全てを魅了するだろう。



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浦和 新

arataurawa.com
1991年、静岡県静岡市生まれ。11歳の頃からディアボロを始め、中学卒業後にはディアボロ競技にのめり込み、19歳の時にジャグリングの全国大会(JJFチャンピオンシップ)個人部門で優勝。大学在学中から世界各地のサーカスフェスティバルやイベントに招待されるようになる。大学卒業後、カナダ・モントリオールナショナルサーカススクールに入学し、現在はシルク・エロワーズ“Cirkopolis”在団。