美容対談 長谷川高志さん × Hiroさん

株式会社セイファート 代表取締役社長CEO 長谷川高志さん × salon bespokeオーナー Hiroさんの特集インタビュー

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1991年に創業し、美容業界における採用、教育、集客など多角的事業の展開、特に美容業界では唯一無二の存在となっている「リクエストQJナビ」を手がける株式会社セイファート。今回は、創業者であり代表取締役を務める長谷川高志さんに、これまでの美容業界の変化や今後の展望など、美容業界全体を支える立場の視点からたっぷりお話を伺った。

美容業界との出会い、そして美容業界において起業されるまでの経緯を教えてください。

長谷川:大学を卒業してから最初に就職をしたのが、基礎化粧品を美容室に卸し、美容室からお客様に販売してもらう、という販売会社でした。私は営業として4年間勤めたのですが、その間に何千人もの美容室経営者と話をする機会があり、ある経営者からこんなことを言われました。「美容師という職業の社会的地位を上げたい。」美容師という仕事は人の人生を変えられる、とても価値のある仕事であるのに、日本では中々社会的に認められていない、そんな悩みを打ち明けられたのです。

この言葉から、いつか美容師や美容室経営者を支える仕事がしたい、と考えるようになり、4年間の営業経験後、独立するチャンスを得たのです。では、どうすれば美容室経営のお手伝いをすることができるのか。その際に浮かんだのは、営業時代に多くの経営者から必ずと言っていいほど言われた「人を紹介して欲しい。」という言葉でした。当時、美容業界は市場の拡大時期にありましたが、美容師数は圧倒的に足りていませんでした。美容師というと、給料は安いし拘束時間も長い、ということで社会的に人気のない職業だったんですね。それに加えて当時は美容師の求人情報は限られていて、不正確なものが多く見受けられました。そこで、正確な情報をより多く届けられるよう、美容師の求人に関する専門誌を始めることにしたのです。

Hiro:創業時、美容業界に対してどんなことを感じられていましたか?
長谷川:とにかく美容師を目指す人を増やすことができないか、と考えていました。業界が繁栄するためには人の問題を解決するしかない、人の問題に尽きる、と感じていましたね。

Hiro:お話を伺っていると、長谷川社長そして御社がいかに美容業界の縁の下の力持ちであるか、ということを実感致します。初めてお会いした際、「美容業界において美容師が主役なら、セイファート社はその美容師が輝くためのステージを創る。」そんな風に仰って下さいました。その言葉を胸に、僕ら美容師一人ひとりがしっかりしなくてはいけない、と改めて感じさせられます。

今年で創業から25年を迎えられましたが、創業時と比較して、現在の業界にはどのような違いを感じますか?
長谷川:圧倒的に、美容室経営の質が上がったと言えます。市場が拡大し、競争が激しくなっていく中でいい加減な経営をしていれば、スタッフも辞めていきますし、お店の繁栄はありません。市場環境の後押しもあり、特に適切な初任給の設定、社会保険の完備など、スタッフの待遇を充実させた美容室が増えました。もちろん要因は市場環境だけではなく、美容業界を良くしていこう、という心ある経営者たちの努力の結果だと思います。

創業から現在に至るまで、特に印象的だった出来事を教えてください。

長谷川:リクエストQJそのものです。リクエストQJは美容業界に対する、「人の問題を解決したい」という想いから美容業界専門の月刊就職情報誌としてスタートしましたが、発行した当初はあからさまな不買運動が起こりました。つまり、当時は美容業界で「人」に触れるのがタブーだったということです。タブーだった要因には様々なものがありますが、美容業界の就労環境に関する情報がオープンになっていくことが、あまり喜ばしいことではなかったというわけです。

不買運動もあり、発行からおよそ6年間は本当に苦しい時期が続きました。苦しい状況から年上の方に相談をしても、全員から「お前には経営者の資格がない」と判を押したように言われ、「事業がうまくいかなければ撤退する勇気も必要なのが経営者、その勇気すらないお前には経営者の資格はない。」とさえ言われました。それでも私は、美容師が知りたい情報を美容師だけに届けられるリクエストQJが、美容業界でいつかは必ず支持されるはずだ、という信念を持ち続け、絶対に諦めることはありませんでした。

そうして発行から6年ほど経ったある日、地下鉄に乗っていた時のことです。目の前に座っていた女性2人が、膝の上にリクエストQJを広げて、「こんなお店あるよ。」「こういうお店もあるみたい。」と話していたんです。その瞬間に涙が溢れました。すぐに会社に帰って社員に報告しましたよ。その頃から読者が増え始め、それに伴い広告が増え、情報が増えることでさらに読者が増え…と好循環に入って行きました。信念を曲げず、諦めずにやってきた結果が出た瞬間です。

もし途中で諦めていれば、現在の社員もおりませんでしょうし、美容業界に対して一定の役割も果たせなかったはずです。良い経営をしようとする美容室経営者が、公正な競争の中で人材を確保できる状況は、リクエストQJが無ければ生まれなかったと思います。ですから私にとって印象に残っている出来事、それは、美容業界の抱える問題に立ち向かってきたリクエストQJそのものです。

Hiro:一人の美容師として、本当に、本当に感謝の思いでいっぱいですね。そして、リクエストQJが美容業界で大きな役割を果たされてきた、という点は美容業界の諸先輩方も皆さんひしひし感じている部分だと思います。健全な美容室経営をする上での人材確保という点で、リクエストQJの存在に救われた美容室経営者は多いと思いますし、リクエストQJの存在によって業界に向かって流れてくる人の流れが良いものになり、結果的に後の美容師ブームにも繋がっていったのだと思います。

美容室と美容師の出会いの場として毎年各地で就職イベントも開催

美容室と美容師の出会いの場として毎年各地で就職イベントも開催

さて、創業から現在までについて伺ってきましたが、先日、英国のCity and Guildsと契約を結ばれたと伺ったのですが、少し詳しく教えていただけますか?

長谷川:はい。日本企業として初めて、英国のCity and Guildsと契約を結びました。City and Guildsとは、実に137年の歴史を持つ英国の王立財団です。28の産業、500種類以上の職業能力に関する資格認定を行っている世界の職業能力開発の権威で、相互認証をしている国は世界80ヶ国に及びます。現在、City and Guildsではまだオリエンタルスタンダード、いわゆるアジア人の黒髪をどう扱うか、という技術的な基準を持っていません。

つまり、今回の契約で、世界一の水準である日本の美容の技術・サービス、つまりジャパニーズスタンダードをオリエンタルスタンダードとして、City and Guildsを通して世界中に普及していくことが可能になりました。今はその準備を着々と進めています。
Hiro:本当に「素晴らしい」の一言と言いますか、先ほどお話いただいた御社の歴史も併せて考えると、ここまで来られた経緯からどんどん次のステップへ進まれているんですね。

長谷川:私たちが目指すものとして、「美容立国日本」というキーワードがあります。日本の美容の技術、サービスは間違いなく世界一の水準です。富士山や桜の花と並んで、世界に自慢が出来る宝物です。その素晴らしさを世界に向かって発信し、アジアを中心とした世界中の美容師が日本に美容を学びに来る、そんな時代を作りたいと思います。

さらに、世界中の観光客が来日した際に、「せっかく日本に来たのだから美容室に寄っていこう。」そんな風に言い始める。もっと言えば、美容室に行くために日本に来る、そんな未来が我々のイメージする美容立国日本です。今回のCity and Guildsとの契約は、美容立国日本を実現する上でのマスターキーである、そんな想いでおります。

今後、美容業界はどのように変化していくと予想されますか?

長谷川:美容師は今後、第6のメディアになり得ると考えています。テクノロジーの進化は今後もとどまることを知らないと思います。並行してインターネットもますます発展していくはずで、それはバーチャルなコミュニケーションが広がるということも意味します。その中で、美容師とお客様の関係は絶対にバーチャルな関係には収まりません。

髪を切るには必ずご来店いただく必要があり、Face to Faceの温もりのあるコミュニケーションの価値は今後相対的に上がってくるはずです。そこで我々は、美容師がお客様と築きあげた信頼関係を元に、あらゆる消費の起点に美容師が立つことによって、信頼関係を経済的価値に置き換えることが可能になっていくと考えています。その可能性を、4大メディアに続く第5のメディアがインターネットであるとするならば、美容師が第6のメディアになり得る、と表現しています。

もう1点のキーワードはグローバル化です。私は、美容師という職業に最も大切な資質は、間違いなくホスピタリティーだと思っています。そのホスピタリティーを一番豊かに湛えている民族といえば、日本人だと思うんです。美容師に最も重要な資質に最も親和性のある民族が日本人だとすれば、日本人の美容師こそが世界に出て行って世界中の人たちをきれいにしていく。今後グローバル化していく世の中でその重要性もニーズもどんどん高まってくると思います。

Hiro:多くの美容師は、長谷川社長のように視野を広く持てていないかもしれません。美容業界に身を置いていると、現場や技術に集中してしまうが故、視野が狭くなってしまうこともあります。ですが今、長谷川社長が仰って下さった言葉に導かれるようにして、僕ら美容師が第6のメディアとして存在し、世界でも活躍していきたいですね。

今後、一人でも多くの美容師が、御社が手がける留学の機会などを通じて力強く世界へ出て行くことによって、「美容立国日本」の実現も着々と近づいてくると思います。僕自身、一人の美容師として今後進んで行く道が改めて見えた気がします。非常に嬉しい、本当に感慨深い気持ちです。

長谷川:ヒロさんはじめ美容師の皆さんはステージの上でスポットライトを浴びてお客様を感動させるのが役割で、それをお支えするのが我々の役割です。一緒に頑張りましょう!

トロントで様々な挑戦を続ける読者へメッセージをお願いします。

長谷川:大きな夢や目標を持ってトロントでチャレンジされている方はたくさんいることと思います。私のささやかな体験からお話しすれば、夢、目標を持って絶対に諦めずに信念を貫くこと、これが大事です。成功の秘訣は「成功するまでやめないこと」という言葉がありますが、その通りだと思います。成功するまでやめなければ、最後は成功します。信念を貫くというチャレンジを続けてもらいたいと思います。

左/今年25周年を迎えた美容師のための総合情報誌「re-quest/QJ」 右/美容業界最大級の求人情報サイト「re-quest/QJ navi」 https://www.qjnavi.jp

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長谷川 高志(はせがわ たかし)さん

大学卒業後、美容室専門の化粧品メーカーに入社。91年、株式会社セイファートを設立。美容室経営者の経営課題の一つである「人材採用」のソリューション事業として、美容業界に特化した総合情報誌「re-quest/QJ」を創刊。美容室の人材採用事業(ウェブ媒体「re-quest/QJ navi」、紹介・派遣事業)をはじめ、販促・教育サポートなどへと事業を展開。美容師および美容室経営者のための各種ソリューション事業に取組んでいる。


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor / salonbespoke.ca
PV: “Hiro salon bespoke”と動画検索

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