シルクドゥソレイユ、日本人アーティストBlack

今年30周年を迎えるモントリオール発のサーカス、シルクドゥソレイユ第35作品目「KURIOS」に出演する日本人アーティスト Black。ヨーヨーを使った新しいパフォーマンを披露する彼これまでとシルクドゥソレイユの裏側を聞いてきました!

シルクドゥソレイユ、初のヨーヨーパフォーマーにしてKURIOS唯一の日本人アーティストBlackインタビュー!

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ヨーヨーを始めたきっかけは?

僕が14歳の時にハイパーヨーヨーというものが大流行していて、子供の趣味として手にとったのがきっかけです。でも僕は手先がすごく不器用で運動も苦手なタイプなのでハイパーヨーヨー基礎の基礎といわれる「空回り」という技ですら出来るようになるまで1週間以上かかりました。ですが、この時ヨーヨーだったら頑張って努力をすればちょっとぐらいうまくなれるかもしれないな、というかすかな希望が見えてのめり込んでいきました。

シルクドゥソレイユに入ろうと思った経緯は?

大学生の時に世界大会で優勝をしましたが、周りの反応が大きく変わることはなくヨーヨーに対するモチベーションは一度少し下がっていました。その後、大学を卒業して一般企業に就職したのですが、やはりヨーヨーのことが忘れられず世界チャンピオンになっても日の目を見ないヨーヨープレーヤーの環境を変えたい、と思い始めました。その時もし僕がシルクドゥソレイユのような舞台に立てばヨーヨーというもの自体がもっと社会的に見直されて後輩の選手たちもより良い環境で活動できるのではないかと思ったことがきっかけです。2007年に会社を辞めてプロパフォーマーになり、2009年にシルクドゥソレイユのオーディションを受けました。無事合格できたのですが、ヨーヨーで受かった人は僕が初めてでそれまでの公演でヨーヨーアーティストの出演枠というのがなかったので、「待ち」という状態でした。

「待ち」の時はどういった活動をしていたのですか?

本来公演中の代役や新しいショーを作る時に呼ばれ舞台に立つのですが、それまでの「待ち」の状態というのは本当に何もない状態でした。わかりやすい目標がなくなり困惑しましたが、ただ待っているだけでは意味がないので、自分なりに目標を立てようと思いヨーロッパで行われているサーカスフェスティバルへの出演を目指しました。それに出演する前に縁あってTEDカンファレンスに出演することになり、そこで披露した映像をシルクドゥソレイユ本部に送ったところスペシャルイベントに呼ばれました。そしてKURIOSも始めはヨーヨーの演目は入っていなかったのですが、最終チェックで変更され出演依頼を頂きました。もし映像を送ってなかったら今ここにも居られなかったと思うと自分からアクションを起こすことはとても大事だと思いました。

KURIOS巡業の生活はどのようなものですか?

ヨーヨーでの出演枠は僕のために作られていてバックアップがいないので体調管理にはすごく気を使っています。実はモントリオール初演前に胃潰瘍になってしまい、デビューが3ヶ月ほど遅れてしまったこともあって今はより一層体調管理に気をつけています。食事はもちろんのこと運動、睡眠環境にも気を使っています。
滞在する場所は公演都市によっても違いますが、トロントではレジデンスで共同生活をしています。基本的には部屋は2人か1人部屋になっていて僕は1人部屋に住んでいます。食事はスタッフ用テントのうちの1つがカフェテリアになっているので、そこで食べています。今でも手先が不器用で料理も全然できないのでオフの日は外食をしています。それかほとんど寝てますね。疲れているのでお昼くらいに起きて、日本からのインタビュー取材や、公演箇所の移動の間に日本に戻って行う講演会の資料の準備などをやっています。このトロント公演の後も日本に戻る予定です。

どうやって英語を上達させたのですか?

中高生の頃は英語が苦手で、世界大会で優勝した時も英語はそんなに上手くなく、世界中のヨーヨープレーヤーが話しかけてくれたり、質問してくれるのですが、うまく応えることができない、というもどかしさがありました。それで世界大会後に今でいうSkypeやLINEのようなメッセンジャーソフトを自分のパソコンにインストールして自分のIDをヨーヨーの掲示板に公開したのです。そうしたら24時間世界中からメッセージが来るようになって、そのテキストの会話を通して英語を覚えていきました。今は他のスタッフと会話はできますが、文法をきちんと押さえてるわけではないのでTOEICやTOEFLのテストを受けてもあまりスコアは良くないと思います(笑)

今後の目標は?

black-04プロパフォーマーになった頃の目標はヨーヨー業界をもっと活性化しようと思っていましたが、今はそれが変わりつつあります。昨年TEDカンファレンスでパフォーマンスだけではなく、情熱というキーワードで教育分野にふれたスピーチも行いました。聴いている人たちは自分個人の利益ではなく地球規模で社会をよくしていくことに興味がある人が多かったです。彼ら曰く、「未来に世界を作っていく子供達にとって彼らの成長過程での教育は社会を良くする上でとても重要である。変化のめまぐるしい今、子供達が、もし若いうちに自分が何が好きで何がやりたいかを見つけることができるならば、それは彼らが生きていく上で糧になるだろうからぜひ君の話を聞かせてあげて欲しい」と言われました。もし教育という分野に貢献することができたら、いい影響を与えられる範囲が一気に広がると思い、すごく興味が湧きました。なので今は教育関連の講演をしたり、プレゼンテーションについての講演会を行っています。プレゼンに対して苦手意識のある日本人に向けて技術面ではなく気持ちの部分が大切ということを主に講演では話しています。

TORJA読者へのメッセージ

僕が一番伝えたいのは、自分がその他大勢だと思わないでほしい、ということです。僕もはじめの頃はいじめられっ子であったり、運動も苦手、英語も苦手で自分には何の才能もないと思ってたのですが、自分なりに努力をすれば夢をつかむことができる、ということがわかりました。そして自分の人生の主役は自分自身。その主人公が幸せになれるように、ハッピーエンドを目指してシナリオを描いてほしいと思います。

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© Martin Girard shootstudio.ca


Black

東京都出身。青山学院大学卒業。2001年世界大会で優勝。大学卒業後は会社員として一般企業に就職するも、ヨーヨーへの情熱を捨てきれず、2007年、プロパフォーマーとして独立。その後 表現力や身体能力を磨き、2009年、シルクドゥソレイユのオーディションに合格。ヨーヨーパフォーマーとして初の登録アーティストとなる。

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