CHALLENGE – 姜 裕子さん

challenge-yuko-kan-012児の母であり、約1年前に現地の大手企業を退職し、10代の頃に思い描いていた目標の自分に近づくべく起業を決意。新たなチャレンジに立ち向かう姿を追う…姜 裕子さん



姜さんの会社である「WELLNESS KIZUNA」ではトロント市内・近郊に暮らす日本人の方々が安心して生活できるよう、医療通訳の派遣やクリニックの紹介、海外旅行保険にご加入の方は保険金申請の代行など、トロントでも日本語で医療機関を受診できるサポートをしている。利用者の多くは学生やワーキングホリデーの方々で、慣れない海外生活で体調が優れない・ケガをしてしまったなど、どこにどうやって行けば良いかわからないという人の為に、主に提携先のクリニックにて予約から診察、薬局まで、すべて日本語で対応している。オンタリオ州健康保険(OHIP)ご加入の方でファミリードクターがいないという方や、急に受診が必要な方など、主に日系企業駐在員の方々やそのご家族も利用しているという。総合病院や専門医受診の際の通訳派遣も行っており、スタッフは全員日本人で看護師経験者が揃い、様々なサポートや情報を提供している。

■ カナダの名門マギル大学で学んだ看護教育を活かした起業から1年が過ぎました。起業する決意はどこからうまれたのですか?

「起業」する目的は人さまざまかと思います。自分らしい仕事がしたい、夢を叶えたい、家族との時間を大切にしたいなど、ここカナダでも多くの日本人の方が「自営業」を選択されています。日本では「プチ起業」という言葉もあるようで、子育てと仕事を両立させ、「自分らしく輝いて生きる!」という人も多いようです。

私の場合、カナダに移住後すぐに現地の大手企業に就職することができました。その会社では多くの女性また新移住者も活躍しており、入社直後から様々な部署や仕事に関わることができました。上司や同僚にも恵まれ、2回の産休・育休を経て、6年間お世話になりました。会社勤めに不満や何か他の強い希望があって退職した訳ではありませんが、子ども達が保育園生活に慣れてきた頃、1人の社会人としてこれからどう生きたいのか考えた時、17〜18代の頃に思い描いていた私が目標とする「人のためになる仕事」とは、やはり大学で学び資格まで取った看護教育・経験を活かした医療関連のお仕事だと思い、起業を決意しました。

企業を退社・起業時

企業を退社・起業時

家族写真

家族写真


■ どのくらいの準備と時間を要しましたか?心得はありますか?

起業までの準備期間は半年ほど。直属の上司には事前に退職の意思を伝え、離職から起業までは2カ月ほどでした。「医療関連で人のためになる仕事」とザックリ言っても、需要がなくてはただの自己満足。また、ビジネスとして成り立たせなければ存続することはできません。準備期間には多くの方に意見を伺い、沢山のアドバイスを頂きました。ビジネスプランを何度も練り直し、事業の軸を決めてからは、あとは思い切りです。

今月で本格的な始動から1年ほどですが、この1年は周りの人に支えられた年でした。私の起業が妄想だった時から一緒に頑張ってくれているビジネスパートナー、事業が軌道に乗るまでは無収入という状況でも起業に賛成してくれ資金までサポートしてくれた主人、急な依頼の対応の為に家を飛び出しても「お仕事がんばって~!」と見送ってくれる家族、様々なアドバイスをしてくれた知人・友人、起業直後で実績も浅いのに快く取引していただいている各企業の皆さま、毎月記事を掲載してくれているTORJAさん…私のわがままな「人のためになる仕事」の実現のために、本当に多くの人に支えられていることを実感した1年でした。

■ 常に走っているイメージの姜さんですが、ビジネスを通してどんな存在になっていきたいですか?今年のチャレンジを教えてください。

今後の目標は、医療に関して「気軽に相談できる場所」を確立することです。そのためにも、常に需要には敏感でありたいと考えています。前述にもあるように、独りよがりで自己満足な会社にはなりたくないと考えています。トロントの日系コミュニティも、日々形を変えていくと思います。そんな皆さんの声を聞き取り、「人のためになる仕事」を模索していきたいと考えています。その実現のために、多くの人に支えられていることを忘れずに。

私は好奇心旺盛派なのかもしれません。あまり物事を深く考えずに先走るタイプ。そんな私の2016年の抱負は「慎重」になること。具体的にやってみたいこと・チャレンジしたいことはあれもこれもありますが、まずは来院される方1人1人とじっくり向き合える環境を提供すること。お客様は医療機関を受診される訳ですから、皆さま多くの不安を抱えていらっしゃいます。企業を成長させることを考えるのは楽しくやりがいを感じる部分ではありますが、基本中の基本であるクライアントとのコミュニケーションは「とことん慎重」に!をあえて今年のチャレンジとしたいと思います。そして、そんな想いが5年後10年後に多くの方に理解され、「あっ、相談してみよう!」と気軽に連絡して頂けるようになれば良いなと願っています。


姜 裕子(かん ゆうこ)
大阪出身。日本で高校卒業後、モントリオールにあるマギル大学に入学。4年後同校看護学科を卒業。日本で大学院や製薬会社での勤務を経て、2007年にトロントに移住。現地会計事務所に6年間勤務後2014年末に退職。WELLNESS KIZUNAを起業。「医療に関して安心して相談できる場所」を目指し、日々奮闘中。プライベートでは2児の母。

チャレンジし続ける日本人たち
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