山本栄二 トロント総領事 帰任インタビュー

トロントの地から、経済交流、広報発信、人的交流、観光振興を通じて 日本の活性化に努めた2年9ヶ月間を振り返る。
山本栄二 トロント総領事 帰任インタビュー

eiji-yamamoto-012011年9月末にトロント総領事に着任された山本栄二トロント総領事が約2年9ヶ月の職務を終え、日本に帰国された。総領事として在住邦人や駐在日系企業のサポート、またオンタリオ州14ある姉妹都市との地域交流、JETプログラムなどを始めとする人的交流や訪日観光客増加を目指した観光プロモーションを通して日加の関係をより深いものとすべく、各事業に取り組まれた。

TORJAでは帰国前のお忙しい中、約2年9ヶ月間の在任期間を振り返りながら、トロント生活を通して感じたことなどを語って頂いた。

在任期間を通して掲げてきた目標を教えてください。

まずトロント総領事に着任した時に私なりに4つの目標を立てました。東北大震災後の当時の日本の状況から、まず日本を元気にしていくために、この地で色々な支援をしていかなければいけないと考えました。

1つ目は日本の経済の再生を助けるため、日系企業のビジネスを支援すること。2つ目は総領事館の基本業務なのですが、在住している邦人の方々のサポート。3つ目はオンタリオ州の姉妹都市に代表されるような地域交流を始めとする日加の各種交流の発展。そして四つ目は私どもにしかできない仕事なのでしょうけれど、しっかりとした日本の広報をしていくこと。私はこの四つを目標として掲げ、スタッフとともにチームとして尽力してまいりました。

思い入れのある事業がたくさんあると思いますが、そのうちの一つ、姉妹都市交流についてお聞かせください。
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東日本大震災被災地の高校生とカナダの高校生の交流を目的とした KIZUNAプロジェクトのレセプション

総領事室にオンタリオ州の地図を掲げているのですが、その地図上の14の姉妹都市に赤いピンを刺しています。私はこの姉妹都市のすべてに足を運びました。 歴任の総領事も数多くの地に足を運んだのでしょうが、特に印象深かったのは、トロントから一番遠い、マニトバにも近いケローナという地を訪問した時のことです。そこでは、市長さんをはじめと多くの方々に盛大に出迎えていただき、初めて日本の外交官がケローナの地を訪れてくれたと地元紙の一面でも取り上げてくれ、大変喜んでもらえました。ケローナは日本人の高校生が留学をしていたり、各本面で日本と交流あるのですが、記録に残る限り、総領事として視察に訪れたのは私が初めてだったようです。

非常に驚いたことは、日本に対する印象がとても良く、関心が高いということです。歴史や日本の伝統・文化はもちろん、最近トロントの地で非常に増えた居酒屋やラーメンといった比較的新しい食文化やスタイル、またオタクやアニメなどに代表されるKawaii文化など最新のトレンドなどに興味をもつ若者にもたくさん出会いました。トロントはバンクーバーと比べて日本と地理的に遠い影響から、日本との関係はバンクーバーほど強くはないにもかかわらず、これほど関心が高いというのはとても嬉しいことです。

さらに日本のことを良く知ってもらうためには、日本に行ってもらうことが一番良いと思い、訪日観光を促進するプロモーションに、JNTOさんと とともに力をいれて取り組みました。またカナダの新聞・雑誌記者の方々にも日本に行ってもらい、文化や歴史など日本の風情を体験してもらったり、JETプロジェクトなどを通じてカナダの若い方々に日本の地方都市に行ってもらうということも積極的に行いました。今日本に行かれる人はカナダ全体でおよそ15万人ぐらいと言われていますが、この数がもっと増えていけば良いと思いますし、それが日加の交流をさらに深めていく一歩だと感じています。

数多くの日系人・新移住者の方々との交流を通じて、日系コミュニティへの想いを教えてください。

私は外務省に入省してだいぶ経ちますが、日系人の方達と一緒に働いたり、何かに取り組んだりしたのはこのトロントの地が初めてでした。その中で私もたくさんのことを学ばせていただきました。歴史的にみると、ご自身なり、ご家族の方なり、相当な苦労をされてきた中でここまでのコミュニティを築き上げてこられてきたことを素晴らしく思います。日系人の数自体は他の国に比べると決して多くないと思うのですが、日系人の方々がビジネスの分野やスポーツの分野など多方面でカナダを代表する立場で活躍しているということに感服しますし、とても誇らしく思います。

新移住者の方々も本当に皆さん良くしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。様々な世代の日系人や移住者の方々がコミュニティを支え、盛り上げてくれていると実感しました。

ご自身の趣味を通したトロント生活はいかがでしたか?
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カナダ最大のアウトドア博にて、日本の釣りの魅力をプロモーションした。 ルアー職人の西根さんとミシサガ市会議員のロン・スターさんとともに。

私の趣味のひとつは“釣り”なのですが、ここトロントの釣り仲間のおかげで、とても楽しく過ごすことができました。この地で釣りができる喜びは、世界的にみてもとても有名な大自然の釣場が豊富ということです。五大湖のオンタリオ湖、スペリアル湖をはじめ、北の方に行けばジョージアン・ベイなど素晴らしいエリアがたくさん存在しますし、巨大なサーモン釣りは有名です。また、ニジマスが海や湖に下って、大きくなって上ってくるので、いずれも1メートル近くの大物が狙えます。さらにサーモンは秋だけですが、ニジマスは春と秋にシーズンがあるなど、日本ではなかなかできない経験が、車で1、2時間のところで満喫できるというのは、とても貴重な思い出となりました。

領事館として参加したカナダ最大のアウトドアショーでは、日本の観光に絡めて日本の釣りをプロモートすべく、海、川、湖ととても素晴らしい特徴をもっていることをイベントに来ていた何千人という多くの方々に伝えることができました。

また私は鉄道も大好きなのですが、トロントの近郊に短い路線で蒸気機関車が走るところがあるなど、観光を兼ねて訪れるところがたくさんありました。ひとつ心残りがあるとすれば、それは、 トロントからバンクーバーまでをVIA鉄道で4泊5日かけて行く鉄道の旅ができなかったことです。将来これを実現するために是非またトロントの地を訪れたいと思っています。

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奥田駐カナダ大使がトロントを訪問、 Kathleen Wynneオンタリオ州首相 を表敬訪問

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毎年恒例の天皇陛下誕生日祝賀会 で祝辞を述べる総領事。

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35年以上ミシサガの市長を務める Hazel McCallionさんの「旭日小 綬章」受賞の叙勲伝達式。

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