トロントシンフォニーオーケストラで活動している日本人バイオリニスト高坂絵里さん インタビュー

言わずと知れた狭き門音楽業界!

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約130人のオーディションの中から選ばれた高坂絵里さん。2012年からトロントシンフォニーオーケストラ(TSO)の日本人バイオリニストとして活躍している。音楽を始めたきっかけや海外で活躍すること、TSOの魅力などについて語ってもらった。

海外でご活躍するにあたってやはり英語の勉強などは大変でしたか?

日本を離れたのは大学卒業後2003年にアメリカへ音楽留学をした時です。ですが、もともと私が小学校の時に、父がアメリカで駐在員をしており、カリフォルニアに住んでいました。

日本に帰ってからは義務教育でしか英語は学んでいないですが、カルフォルニア生活で育んできた英語が備わっていたこともあり、英語環境に対して困ることはあまりありませんでした。また私の最初の仕事がアメリカで、そこからTSOのオーディション合格をきっかけにトロントへ来ました。

どのようにしてオーケストラに参加するのでしょうか?

オーケストラというものはメンバーの空きが出き次第はオーディションがあります。私自身もこれまでたくさんのオーディションを受けてきました。オーケストラのオーディションというのは、まず書類審査があります。

私がTSOを受けたときはだいたい130人ほどの応募者がいて、そこから第1ラウンド、第2ラウンド、そしてファイナル審査という3段階の審査があります。そのオーディションを受けたのは2012年で、現在TSOではちょうど5年目になります。

日本のオーケストラと海外のオーケストラに違いはありますか?

私は日本でオーケストラに所属したことがないので的確に違いを述べることはできませんが、オーケストラに限らずどんなお仕事でも海外は日本と比べて自由だと思います。かっちりとした感じではなくリラックスしている環境です。アメリカとカナダのオーケストラに関してはルールや仕事はほとんど同じですね。

TSOはインターナショナルな環境だと思いますが、何かカルチャーショックを受けたりしたことはありますか?

トロントには沢山の人種の方がいますが、私にとって音楽は生活の一部で、音楽そのものが共通言語のようなものなので、大きなカルチャーショックを受けたことはないです。ここが自分の居場所、としっくりくる感じですね。

海外で働くことが決まって、ご両親の反応はどうでしたか?

バイオリンを6歳から始め、ここまでずっと続けてきたからには、何か形になるといいね、と両親はずっと応援をしてきてくれました。日本でも毎年有名な音楽大学から沢山の優秀な学生さんが卒業していますが、得られる仕事は限られているので、まずはきちんと仕事を見つけてほしい、と思っているようでしたね。なので海外どうこうよりも、仕事がきまってよかったと安心してくれていました。

音楽が嫌になることはありますか?

常にあります。でも私は小さい時からバイオリンをやっているので、当時はやっていて当たり前という感覚でしたね。私の母がピアノの先生だったこともあり、4歳の時にピアノを始め、6歳の時にバイオリンを始めました。

小学生くらいまではピアノとバイオリン、どちらもやっていたのでが、時間もなく両立は難しかったです。そこで私ははっきりとピアノは好きじゃない、と感じ、母にバイオリンの方が好きだと伝え、バイオリン1本で続けることにしました。嫌になることもありますが、私は本気で辞めることは一度も考えずに続けてきた方ですね。

プロフィールで旅行好きとありましたが、今一番行きたい国や場所はありますか?

旅行で行ってみたい場所はもちろん沢山あるのですが、私は日本を離れてトロントにいるので、私の家族は日本、旦那の家族はアメリカに住んでいます。なので、今は限られた時間の中でどこかに遊びに行くというよりは家族や友人に会うためにどこか行きたいという気持ちがありますね。もともと1年に2回くらい帰っていたのですが、子供ができてからはなかなか難しいですね。

ソリストとして参加されていた10月のコンサートやTSOの見所を教えてください。

今回は1920年代の音楽を集めたプログラムです。同じ時代に別の場所で作曲された曲が集められており、とてもバラエティに富んでいます。私はその中でデュエットで参加しており、弾く曲は短いのですが凄く面白い曲です。TSOでは他にも聞きやすく、面白いプログラムが沢山あるのでオーケストラ鑑賞が初めての方にもぴったりのコンサートが見つかると思います。

アメリカで音楽留学を経験された絵里さんからトロントに留学に来ている人へ何かアドバイスはありますか?

語学留学という形できている方が多いと思うのですが、日本にいたら当たり前に日本語を話すように、トロントに来たら英語を使うのが当たり前の環境です。そこで語学を学ぶことだけに集中するのではなく、自分の興味があることを見つけてもらいたいです。

私の場合も音楽を学ぶために英語が必要で、英語の勉強をしました。自分の目的、やりたいこをできるようにするために一緒に語学を習得するのが一番の近道だと思います。語学はツールであって海外にくる目的ではないです。夢を持って海外にきて沢山のことを吸収してください。


高坂絵里

tso.ca/performer/eri-kosaka.com

アメリカでの音楽留学を経て、2012年からトロントシンフォニーオーケストラのバイオリニストとして活躍中。世界各国の音楽イベントで活動の場を広げている。