Hiroの部屋 アルバータバレエ団所属 バレエダンサー 櫻井 芳哉さん[前編]

櫻井さん(左)とHiroさん(右)

櫻井さん(左)とHiroさん(右)


ロイヤルバレエスクール(イギリス)、ジョン・クランコバレエスクール(ドイツ)といった世界有数のバレエ学校からスカラシップを受け、14歳からカナダ国立バレエ学校に就学した後、アメリカに渡り各地のバレエ団で実績を積み、現在は数々の公演で主役をこなすという櫻井芳哉さん。異なる業種ではありながら、海外を舞台に独自の表現を磨いてこられた櫻井さんとHiroさん。お二人に熱い胸の内を語っていただいた。

■バレエダンサーになろうと思われた経緯を教えてください

櫻井:母親がバレエ講師で、僕は3歳の時にバレエを始めたのですが、最初は本当に嫌いでした。周りは女の子ばかりで男の子は僕一人だけ。どうしてタイツを穿かなくてはいけないの?という葛藤や、男の子なのになぜ野球やサッカーをしていないの?という周囲の目が気になる時期もありました。それでも一度も辞めなかったのは、踊ることが本当に好きだったからだと思います。中学生になりプロになりたいと母に相談したところ「それならここに居るべきではない。」と言われたのをキッカケに、14歳でカナダ国立バレエ学校に入学しました。

Hiro:先日対談させていただいたトロントFCの遠藤翼選手もそうでしたが、真のプロと呼べるような方々には、早くに親元を離れその道を極められる方もいると思います。四六時中ライバル達と生活を共にして勉強やその道の訓練を受けられる訳ですから、その方が確実に意識が高まりますよね。そのようにして頑張っていた芳哉君との出会いは、彼がまだ17歳の時でした。ルームメイトを通じ、当時は僕の家まで髪を切りに来てくれて、それ以来トロントに帰ってくる度に、いつもサロンにご来店してくれているというのは本当に感慨深いです。そういえばカナダ国立バレエ学校卒業後は、すぐアメリカに渡っていましたね。

櫻井:最初はニュージャージー、次にボストン、カンザスシティ、そして現在はカナダのアルバータと、アメリカ各地のバレエ団で経験を積んだ後、カナダに帰ってきたという経緯です。基本的にバレエ団との契約は一年契約で、入団後程なくして来年時も契約更新されるかどうかが決まるというシビアな世界なので、稽古中であっても舞台の最中であっても常にオーディションのように「見られている」という意識を持っていなくてはなりません。シーズン中に役が変わってしまうなんてことも起こりうるので、一瞬たりとも気が抜けないのが正直なところではあります。

櫻井芳哉さん

櫻井芳哉さん

■14歳にしてカナダにバレエ留学された櫻井さんですが、一番大変だったことは何ですか?

櫻井:カナダに来た当初一番大変だったことは何と言っても英語の習得です。現在カナダ国立バレエ団でプリンシパルを務める江部直哉さんと同時期に学校に入学したのですが、お互いに「英語を学ばなければいけない」という意識が強かったので日本人同士ではあるものの、自然と少し距離をとり、それぞれが外国の友人たちとの中で揉まれるという形をとっていました。依存し頼りあう関係性ではなく、各々で世界を切り開こうという意識を持てていたのが良かったのだと思います。あとは食事面ですね。日本の洋食しか食べたことのなかった僕にとって、こちらの食事は口に合うものが少なかったです。

Hiro:海外に住むアスリートの方にとって食事が合わないとなると、体調管理なども大変だったのではないですか?

櫻井:そうですね。口に合う食事が見つからないため、ドラッグストアでチップスを買って、そればかり口にするというような食生活をしていた時期もあります。その時は短期間で体重が増えてしまうという苦い経験もしました。全寮制で食事付きではあったのですが、それくらい当時は寮の食事を食べたくありませんでした(笑)。

■アメリカやカナダなど、北米で活躍されるアジア人ダンサーはどの位いらっしゃるのですか?

櫻井:こちらでは結構多いです。有名なバレエ学校への長期留学だけでなく、現在は短期留学など様々な形式でバレエを学ぶシステムが用意されていますから、僕がカナダに来た14歳の頃よりも、グローバルに活躍していくための扉というものがより広がっているのだと感じます。特に日本人、中国人、韓国人といった方の比率が多いのですが、アジア人ダンサーはその他外国人の方々が持ち合わせていないような技術を持っていることがあるため、特にアジア出身のダンサーを重宝するというバレエ団もあるほどです。

Hiro:「適材適所」という言葉がありますが、バレエもスポーツや我々のような全然違う他業種と同じように、少し小柄だったり柔軟性や起用さに優れていたりなど、様々なタイプの人材を欲している証拠ではないでしょうか。アジア人ダンサーにしかない特徴というのは、海外に出れば強みにもなるということですね。

■オススメの公演はありますか?

櫻井:4月にはカナダ150周年記念公演として、エンカウンターズという公演をオタワで上演します。カナダ国立バレエ団、BCバレエ団、アルバータバレエ団のカナダを代表する3つのバレエ団が共演し、演出家・振付師・作曲家なども全てカナディアンで構成されるという記念すべき作品になりますので、ぜひ一度この機会に足をお運びください。
HP: https://nac-cna.ca/en/event/13831

Hiro:僕も以前、カナダのバレエ団は世界有数レベルであるとのお話を伺ったことがあります。普段バレエという芸術作品に接する機会のない方も、カナダ150周年であるこのチャンスを活かして是非一度、体験するのもきっと素晴らしい事ですね。


櫻井芳哉さん

3歳から新潟バレエスクールでバレエを始める。14歳からカナダ国立バレエ学校に入学し、卒業。その後ボストンバレエ団に入団。22歳でカンザスシティバレエ団に移籍し在籍6年間で数々の主役、準主役踊る。去年9月よりアルバータバレエ団に入団、主役、準主役を踊る。
HP: albertaballet.com


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor / salonbespoke.ca
PV: “Hiro salon bespoke”と動画検索