Hiroの部屋 アルバータバレエ団所属 バレエダンサー 櫻井 芳哉さん [後編]

hiro-room1704

14歳からカナダ国立バレエ学校で就学、9年間アメリカに渡り各地のバレエ団で実績を積んだ後、現在はアルバータバレエ団にて数々の公演で主役をこなす櫻井芳哉さん。その巧みな表現力と強くしなやかな精神力は日本とは全く異なる環境下だからこそ培われたものだ。ともに海外歴の長いHiroさんと櫻井さんだからこそ互いに頷きあい共感しあえる、ぎゅっと内容の濃くなった対談後編をお楽しみください。

前編はこちら:Hiroの部屋 アルバータバレエ団所属 バレエダンサー 櫻井 芳哉さん [前編]

■バレエ留学をするにあたり数々のスカラシップを受賞されたとのお話がありましたが、そうした積極的な海外のサポート制度に対してどのように思われますか?

櫻井:やはり海外の方はチャリテー心が旺盛と言いますか、本当にあったかいですよね。バレエだけでなくすべての分野において積極的に人を助けよう、支援しようという姿勢が見受けられますし、そこは日本と比べて大きく差があるように感じる部分です。

Hiro:優秀で才能があるにも関わらず、夢を叶えるためのお金がないという方もいると思いますが、特にアメリカやカナダでは将来の自国の繁栄のため、そういった方々へ先行投資をしようという考え方が根付いている気がします。歴史が浅い国であるからこそ、今の内に将来をしっかりと見据えて行動していると感じますし、カナダの移民に対するオープンな環境もそこからきているのだと思います。是非とも、このTORJA読者の中にも、スカラシップ制度等について、自ら情報を集めて、上手く活用される方が増えるといいですよね。

■海外を舞台にバレエを踊る上で、海外ダンサーの肉体差による違いを感じることはありますか?

櫻井:肉体差に関して言えば、何と言っても外国人の方は足が長くスタイルがいいので舞台上ではより綺麗に見えますね。あとは男性側の身長が低いと女性ダンサーとのパ・ド・ドゥ(男女二人によって展開される踊り)が踊れないといったような物理的な問題も生じてしまいます。過去に身長制限が設けられているオーディションに参加した際、僕は少しでも身長を高く見せようと髪を立ててオーディションに臨み、最終選考までは残ったのですが周りのダンサー達は全員驚くほど身長が高かった、というエピソードもあります(笑)。

Hiro:美容業界でも外見というのはかなり重要なので、芳哉君の気持ちには共感できますね。全く同じ技術を持っている美容師が二人いたとしても、欧米人の美容師の方が僕達より年上に見える事が多く、貫禄あるベテランだと思われるかもしれません。新規のお客様が美容師をご指名される際、そういった見た目を頼りにするケースもありますね。

櫻井:だからこそ「自分の個性」を追求し続ける必要があるのだと感じています。自分にしかないモノをいかに出していくかということや、長所や短所を自分で把握し、長所を伸ばすことは勿論の事、短所も伸ばすことが大切です。例えば、どうしたら海外ダンサーに負けないよう自分の体を大きく見せられるか?と研究したりもしました。全ては自分をよく知ることが鍵だと思います。

Hiro:ちなみに芳哉君が思う日本人にしかない表現力というのはどういったところですか?

櫻井:日本人の性質には「優しさ」や「尊敬の心」というものがベースにあり、踊りにはそうした一人一人の持つ性格が顕著に表れます。バレエには言葉がない分、踊りを通して全てのストーリーを伝えなければならないのですが、同時にそのような日本人の心も必ず伝わると思います。

Hiro:凄く興味深い話ですね。

■舞台上で役を表現するにあたり、大切にされていることはありますか?

櫻井:先ほども述べましたが、まずは身体全体でストーリーをお客様一人一人に伝えていくということです。そして、舞台に出た瞬間に会場の空気を変えられるくらいの存在感を出せるようになりたいと心から思います。僕のスタイルでは外国人ダンサーにはどうしても敵わない、ならば僕の持つ表現力のすべてをもってお越しいただいたお客様に現実を忘れられる、バレエの世界へ一瞬にして引き込まれるようなそんな表現が出来るよう常に上を目指しています。

■バレエを続けてこられて、一番幸せだと感じる瞬間はどのような時ですか?

櫻井:踊った後に拍手をいただいたり、お客様が喜んでくださる瞬間ですね。僕は拍手を「お客様とのキャッチボール」のようなものだと捉えていて、舞台に対する反応というのはよくも悪くも拍手を通してダイレクトに伝わってきます。劇中に言葉を発することのないバレエの世界だからこそ、お客様と心が通い合うその瞬間を大切にしていますし、見に来てくださったお客様が少しでも笑顔になっていただけたらそれが一番の幸せです。

Hiro:これまで様々な業種の方々とお話しさせていただきましたが、「お客様が笑顔になる瞬間」にやりがいを感じられるというのは、皆さん通ずるものがあるのだと思います。僕自身も美容師として働かせていただく中で、施術後にお客様の笑顔を見れる時が一番嬉しいですね。

櫻井:そうですね。お客様あっての私達なので、これからも劇場へ足を運んでくださるお客様のために踊り続けたいです。

■櫻井さんの今後の展望を教えてください。

櫻井:まずはダンサーとして舞台に立てる現役期間を全力で踊り抜き、1日1日を大切にすることです。そして、一人でも多くのお客様にバレエの世界を知っていただき、広めていくことです。バレエを見たことのない方々も沢山いらっしゃるかと思うので、バレエそのものを日本に、そして世界中にもっと根付かせていきたいです。

Hiro:カナダという国で、同じ日本人として活躍されている姿を見ていると本当に励みになります。これからもお互いに切磋琢磨していきましょう!


櫻井芳哉さん

3歳から新潟バレエスクールでバレエを始める。14歳からカナダ国立バレエ学校に入学し、卒業。その後ボストンバレエ団に入団。22歳でカンザスシティバレエ団に移籍し在籍6年間で数々の主役、準主役踊る。去年9月よりアルバータバレエ団に入団、主役、準主役を踊る。
HP: albertaballet.com


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor / salonbespoke.ca
PV: “Hiro salon bespoke”と動画検索