カナダで暮らす素敵なヒント 駐在→移住編

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駐在員として訪れたカナダ。
カナダでみつけた憧れのクオリティ・オブ・ライフとは
近畿日本ツーリスト トロント支店長 廣田 久さん


■ カナダに駐在するきっかけと駐在時の業務を教えてください。

1993年に近畿日本ツーリスト(株)に入社しました。海外旅行専門店に配属になり、法人顧客の海外出張・視察のお世話を中心に国内外の団体旅行、個人旅行の企画販売に携わりました。当時は社内研修制度のひとつに海外短期駐在というものがありまして、資格試験に通ったら海外拠点のどこかに研修駐在に出られるというものでした。学生時代から漠然と海外への憧れを持っていた自分にとっては大変魅力的な制度で、迷うことなく応募しました。合格後の赴任先は選べないのですが、会社からの辞令はトロント支店。偶然にも当時自分が担当していた法人顧客がトロントやモントリオールとの業務を頻繁に行っておられ、日常業務でも関わりの深い国への赴任に何か不思議な縁を感じたものでした。トロント赴任後は日本同様、法人顧客の旅行需要のお手伝いを中心に仕事をさせて頂きましたが、日本では自分の専門分野以外は触れる事ができなかったのですが、カナダでは全ての業務に触れる事ができ、毎日がとても刺激的だった事を今でもはっきり覚えています。

■ どうして駐在員からカナダに移民をしようと決めたのですか?

生活の面、仕事の面、両方で人生観というか、モノの見方が大きく変わったからでしょうか。生活の面では何をおいても、暮らしの質を一番大切に考えるカナダ人の価値観を知った事ですね。当時はまだ、商店でも日曜日はお休みだったり、昼から数時間営業するだけの店も沢山あり、なんてズボラなんだろう!(笑)と驚いたものでしたが、カナダ人の仕事に対する感覚は、お金を稼いで金銭的な豊かさを得る事により重きを置いている感のある南の隣国と比べてあまりに大らかで、働く事よりも大切なものがあるのだと教えられた気がしたのです。

仕事の面でも、最初は時間通りに進まないまわりの仕事のペースにイライラしたものでしたが、それでも仕事は流れる(笑)。時計とにらめっこしていつも時間に追われてのこれまでの毎日、かたやゆったりと時間が流れる中でしっかりと業務を全うする毎日。最初は怠けているだけじゃないかと感じたりもしたのですが、そんなに頑張り過ぎなくても周りの期待に応えることはできる。そういう価値観がこの国にはあるという事を知ってしまったのがきっかけですね。日本では仕事が終わったら一杯引っ掛けて帰るだけだけど、この国では仕事の後にも自分の時間が持てる。赴任が終わり一旦帰国した際、友人と「それって人生2倍!」って笑って話したのですが、まさにそんな暮らし方ができるのかな、と思って移住を決めました。
移住してから今に至るまでの思い出などを教えてください。

ゆったりした時間の流れというのは慣れないとなかなか大変なもので、最初の頃は仕事で業者さんとのやりとりについ日本的なミニマムの時間の余裕のみでオーダーしてしまい、期日になっても仕上がらない、上がってみたら使い物にならないって展開に、仕事の期限が迫っている自分はひとりでピリピリ。カナダ時間を加味してない自分がいけないのだよ!と受け止められる様になるのには、移住してからもしばらくかかりました(笑)。郵便物の配達しかり、工事業者の来宅アポイントしかり、この国は時間通りにいかない事がいっぱい!でも病院のアポイント、レストランの予約時間など、多少ずれても問題ない事もいっぱい。かくして、何をするにもかなりの時間的余裕をみる癖と上手くいかなくても「こんなもんだよね~」で不問に付すおおらかなカナダ人感覚が身に付きました。

▲駐在時代。オフィスにて

▲駐在時代。オフィスにて

▲駐在時代。@アルゴンキン

▲駐在時代。@アルゴンキン

■ 移住して良かったと思う点を教えてください。

移住のきっかけにもなったカナダ人の人生観を、いくらかでも自分に取り入れることができていることはやはり良かったと感じるところですね。良い意味で割り切りができるようになったと思いますが、これってとても大切なことじゃないかと。他人の仕事ぶりや感情など自分がコントロールできない事は気にしない。自分とはどうしてもウマの合わない人と波長が合わなくても気にしない。自分でどうする事もできない先々の事も気にしない。日本ではいろいろなしがらみもあり苦労することもありましたが、自分に素直に生きることでストレスはずっと減ったと思いますし、これがカナダに移住して実現したかった事なんでしょうね。あとは、自分の中の日本人を再認識したことでしょうか。日本で生まれ育って暮らしていると当たり前すぎて見えない事が、異文化の外国で暮らす事ではっきり見えてきたというか・・・。これは日本という国に対しても言えることで、良いところ、悪いところ、誇るべきところ、恥ずべきところが感じられるようになったことで、より客観的な尺度で自分に心地よいものを判断できる様になったような気がします。

▲駐在時代。@アルゴンキン

▲駐在時代。@アルゴンキン

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▲2002年 @Quebec

■ ご自身の経験から、〝クオリティ・オブ・ライフ〟についてどのようにお考えですか? 

ひとことで言ってしまうと、いかにストレスのない、頑張り過ぎない日々を送るか、でしょうか(笑)。頑張らない、と言うと誤解されるかもしれませんが、自分を必要以上に追い込みすぎないというのは生活の質を上げる上で欠かせないことだと思います。仕事を満足いくレベルにやりきる努力だとか自分を向上させるための努力は欠かせません。それを怠ると質が下がりますし。ですが自分が納得のいく線引きをどこかでする必要があるのだと思っています。誰しもスーパーマンにはなれませんので(笑)。

▲2005年 @Hawaii

▲2005年 @Hawaii

▲2007年 @Banff

▲2007年 @Banff

■ ご自身にとってトロントやカナダでの生活は人生にとってどのような意味がありますか?

自分が自分らしく精神的に豊かな人生を送れる場所、ですね。価値観は本当にひとそれぞれで、何に重きを置くかにより判断は異なるとは思いますが、私にとっては限られた人生の時間を自分でコントロールできる環境がたいへん心地よかったのでしょう。当地での暮らしも気づけば16年目に突入しました。ゆるやかに流れる時間の中で自分の心と向き合って暮らせる。ありがたいことです。

■ 最後に一言、読者のみなさんへ。

カナダの人生観に惹かれてここで暮らしている訳ですが、どこに住んでもやはり私は日本人。カナダのおおらかさも勿論素晴らしいのですが、自分の中にある日本人の感覚の繊細さや気配りの感覚は、今後もなくしてはいけない大切なものだと思っています。この誇るべき日本感覚と、おおらかなカナダ感覚をバランス良く取り入れられたら、人生はもっと楽しくなるかな!これからものんびり頑張り過ぎないように精進します。

▲2012年 @Ayers Rock

▲2012年 @Ayers Rock

▲2015年 @Paris

▲2015年 @Paris

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