STORY.5 中田由希子さん×福島次郎さん インタビュー [JCCC×TORJA]

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カナダ建国150周年そしてトロント新移住者50周年を迎えた2017年。TORJAでは日系文化会館と協力し、日系カナダ人の歴史とともに日本の文化・伝統などを継承しながら日系コミュニティを築いてきた方々にフォーカスを当て、過去・現在のストーリーと未来への想いを通して、さらなる日系コミュニティの発展に向けた意見を語ってもらう。



福島次郎さん(左)、中田由希子さん(右)

中田由希子さん×福島次郎さん

先代の日系人の方々から日系コミュニティの歴史を学び、その思いや心を次世代の人々へと継承すべく尽力している


まずは、カナダへ来ることになった経緯を教えてください。

中田:もともと日本から出たい気持ちが強かったので、留学の目的でカナダのカレッジに入学し、その後もカナダに残ることを決めて今に至ります。来たばかりの頃はアジア系の人も食べ物もほとんどなかったので、最初生活に慣れるまでは苦労していましたね。

福島:子供の時に見た青空にそびえ立つロッキー山脈の写真がずっと記憶に残っていて、カナダに対する憧れが自然とあったのですが、知り合いにトロントでESLを経営されている方がいて、その方にお会いしたことをきっかけにカナダに行くことを決心しました。カナダのリラックスした自由な空気がとても気に入りました。

冬祭りの実行委員メンバーと一緒に

どのようなきっかけで日系文化会館と出会われたのでしょうか?

中田:カレッジではアートの勉強をしていましたが、仕事がなかなか見つからず苦戦していた時に、日系文化会館の受付の仕事の募集を見つけて応募したのが始まりでした。その頃は日本語を話せるスタッフが私以外に一人しかおらず、日系人の方々は「日本語を話せる人が来てくれた」と喜んでくださり、日系人の歴史などいろいろな昔のお話を聞く機会に恵まれました。現在はコミュニティーリエゾン・ボランティアコーディネーターとして、この日系文化会館をこれからも発展・存続させていけるように、ボランティアさんのアレンジやここを訪れる皆さんが日系社会にすんなりと入っていけるような仲介役として働いています。

福島:日系文化会館には過去にお祭りに参加したり、紅白歌合戦に一度バックダンサーとして出演したことがあったくらいで、仕事なども含めずっと英語環境の中で生活していたのですが、大人になった今、突然日本への想いが芽生えてきて、今の自分に何かが欠けてしまっているようなそんな気持ちになったのです。そんな時に知り合いの紹介で参加した日系文化会館の桜ガラで由希子さんに出会い、ボランティアをやってみないかと言われ現在に至ります。キッチンでのボランティア活動をはじめとし、また7月からは理事会のメンバーとして活動させていいただくことになりました。

日系文化会館で活動を通して、自分の中で感じたことや心境の変化などはありましたか?

中田:これまで日系コミュニティを築かれてきた方々のお話を初めて聞いた時は、ショックと感動が入り混じった不思議な気持ちになりました。自分が全く何も知らないところで、これまで数え切れないほどの苦労があったと思うのですが、皆さんその昔の話を苦労話としてではなく、ポジティブに捉えお話ししてくださり、本当にすごいなと尊敬の念が湧きます。日系文化会館はいろんな方の思い入れと絆があって今に至っているので、その思いを受け継ぎ次世代へ繋げるべく、活動していますね。

福島:トロント、カナダの日系コミュニティの歴史を学べば学ぶほど、今自分がこうして日本人として、トロントで何の不自由もなく生活できるのは、これまでの日系人の皆さんのおかげなのだという感謝の気持ちが強くなっていきました。日系文化会館は皆さんが日本人のプライドを捨てずに守り続けたその象徴だと思うのです。理事会に入らないかと言われた時は、自信の無さから戸惑いも生じましたが、素晴らしいコミュニティのリーダーの方々が集まる場所で自分自身が学び成長し、この日系コミュニティにもっと貢献していきたいという気持ちがあります。

長年使われている手作り神社の組立てを行ったセッティングチームの皆さん

これからの日系コミュニティにどのような発展を期待されますか?

中田:これからはボランティアさんたちの中でも、リーダーシップをとれる方々がキーポイントになっていくと思います。現在はありがたいことに、多くの方が日本の文化に興味を持ってくださっていて、ボランティアの募集をかけると毎回大勢の方に協力していただけるようになりました。次はその方達とどうやって日系文化会館を守り、育てていくかというステップだと感じています。またボランティアをここで継続するだけではなく、ここに来て自ら何か新しいことに挑戦してもらうなど、新たな自分の可能性を見つけてもらえたら嬉しいです。

福島:僕の中には「3 Generation」というビジョンがあり、日本語では3世代という意味ですが、自分自身は真ん中の2世代目にあたります。まずは先代の方々から学ぶことが重要で、そうして学んだことを今度は自分の子供たちの世代に伝えていかなければいけないと考えていますし、先代の方々と今の若い世代を繋げるのは自分の役割だとも感じています。世代によってバラバラに分かれてしまわぬように、3世代が一つに繋がりさらに強固な絆を築き、コミュニティとして大きく発展させていきたいです。

今年のトロント日本映画祭で

最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。

中田:日本の文化をカナダという国から見つめることで考えさせられることは多いですし、ここに来れば、日本に興味を持っている人がこんなに沢山いるんだということにも気付けます。日本人の学生さんやワーホリの方々で「何かを見つけたい」と思っている方は、是非一度日系文化会館へ足を運んで欲しいです。

福島:文化を通しての友達作りをモットーに日系文化会館は人種問わず、いろいろな人々が集まる場所です。人との出会いや夢や目標へのチャンスを自ら掴んでいく機会として日系文化会館を訪れるのも良いのではないでしょうか。皆さん、安心してここへ来てみて欲しいです。


トロント日系文化会館

(JCCC−Japanese Canadian Cultural Centre)
1964年に会館創立以来、お正月会や四季の祭りなどに代表される様々な文化プログラムを通して多くの人々に日本文化を紹介するとともに、日系カナダ人の歴史体験を伝え、学ぶ機会を提供している。
www.jccc.on.ca/jp/