STORY.6 ジャン・ノブトさん インタビュー [JCCC×TORJA]

jccc-torja-story01
カナダ建国150周年そしてトロント新移住者50周年を迎えた2017年。TORJAでは日系文化会館と協力し、日系カナダ人の歴史とともに日本の文化・伝統などを継承しながら日系コミュニティを築いてきた方々にフォーカスを当て、過去・現在のストーリーと未来への想いを通して、さらなる日系コミュニティの発展に向けた意見を語ってもらう。



ジャン・ノブトさん

先代の日系カナダ人の歴史や経験を多くの人々に教え伝え、カナダのみならず世界の日系人と繋がり、日系コミュニティの輪を広げている


日系文化会館でのボランティアを始める経緯はどのようなものでしたか?

私は日系カナダ人三世としてここトロントで生まれました。大学卒業後、教師として13年間働き、その後は教育委員会で教員向けの教育指導やリーダー育成のプログラムに長年従事、アメリカの学校法人で働いたこともありました。退職後、日系文化会館でのボランティアを始めることとなった最初のきっかけは、日系文化会館にてヘリテージ委員会メンバーとして活動していた私の従兄弟より「日本料理の本を作る製作委員会を設けて、執筆や編集作業をしているのだけれども手伝ってくれないか?」と声をかけられたことでした。

私はその話を引き受け、約10ヶ月かけて料理本製作委員会のみんなで“Just Add Shoyu”(2010)という本を完成させ、出版しました。そこで私の役目が一度終わったように見えたのですが、実は料理本製作委員の人々はヘリテージ委員会に所属する人が多かったことから、ヘリテージ委員会でボランティアをやってみないかと誘われたのです。

そうしてボランティアを始め、そのうちにヘリテージ委員会が行う活動などにとても興味が湧いていきました。ボランティアを始めて2年が経った頃には会長に就任、そこから現在に至るまで4年ほど務めています。

森山日系ヘリテージセンターでボランティアの皆さんと

ヘリテージ委員会会長を務めていらっしゃるとのことですが、ヘリテージ委員会の主な活動内容を教えてください。

ヘリテージ委員会が管轄する森山日系ヘリテージセンターは日本人やその他幅広いコミュニティーの人々に日系カナダ人の歴史を語り継ぐ場所であり、また日本とカナダという二国間で混ざり合い、変化を遂げてきた日系人の持つ文化について紹介しています。一世から五世と呼ばれる日系カナダ人の長い歴史を知り、理解を深めていただくため講演やブックトークを開催したり、学生たちを招待し日系カナダ人の歴史に関する教育プログラムなども行っています。

そして50年に渡り、会館に寄付されたり収集してきた大量の写真や資料、本、着物などを大切に保管することも我々の役目です。現在も引き続き日系カナダ人や移住者の方々の歴史を記録、収集しています。またアートギャラリーではその時期によって様々な芸術作品の展示をご覧いただけますが、日本や日本とカナダの要素が融合したアート作品などを展示することもあります。昨年は日本の着物に関する展示を行い、我々が保管する古くの伝統的な着物のその柄が持つ様々な意味合いなどを紹介しました。

第二次世界大戦時の日系カナダ人の写真も展示されている

これまでノブトさんがこの活動を続けていく中での想いやその原動力とは、一体何だったのでしょうか?

一口に戦争経験やその歴史と言っても、その時代に生きた人々は、二世である私の両親もそうであったようにそれぞれが全く異なる経験をしてきています。強制収容所に連れて行かれる人もいれば農場で契約労働を選んだ人々もいましたし、戦後カナダに残った人もいれば日本へ渡った人もいます。そういった貴重なお話を色々な世代の方から聞けたことは私自身にとって非常に意味のあることで、自分のルーツを探ることにも繋がりました。またここで行われるイベントや教育プログラムなどを通して様々な年代の方に日系カナダ人の歴史を教え、実際に戦争の時代を生き抜いた日系カナダ人二世の方々とお話ししていただく機会を設ける中で、もっと多くの方に我々日系カナダ人のストーリーを伝えたいという思いが湧いてきたのです。

日系カナダ人一世からの歴史を学べる場所

これまでもカナダを始め、日本からも多くの方々が訪れている森山日系ヘリテージセンターですが、今後どのように発展されていくのでしょうか?

森山日系ヘリテージセンターはカナダだけに限らず、これまで海外に渡ってきた日本人の歴史について知る重要な拠点であってほしいと思います。現在、我々はアメリカ、ブラジルやペルーなど世界中の様々な日系文化会館と繋がり、世界で日本人がどのような歴史を紡いできたかを学び、お互いに情報共有しています。それらを活かした新たな計画の一つとして、日本人の海外移住の歴史についての展示を製作しようとしています。

カナダだけでなく、世界中に移住した先代の日本人たちの歴史を互いに知ることができるようにするためです。国境を越えて、様々な経験をしてきた日本人について、思いを共有し学びを深めることはとても重要です。ヘリテージセンターに少しずつ変化を加えることで人々に関心を持っていただき、より多くの方に訪れていただけるようにしたいです。

Heritage Seniors’ Supper Clubでは日本料理を教えている

最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。

私たちはここ日系文化会館がみんなにとって心地よいと感じられる場所であってほしいと願い、活動しています。日系文化会館では日系カナダ人だけではなく、日本からの移住者の方々や留学している学生の皆さんにも日系カナダ人について学んでいただいたり、お祭りのような日本を感じ楽しんでいただけるイベントをたくさん用意しているので是非参加していただきたいです。

また、ご希望の方には日系文化会館のガイドツアーも行っています。そうやって日系カナダ人の歴史に触れ、学ぶことでこれから私達日本人がどのように生きていき、歴史を紡いでいくかを見出すためのきっかけにしてほしいと思います。


トロント日系文化会館

(JCCC−Japanese Canadian Cultural Centre)
1964年に会館創立以来、お正月会や四季の祭りなどに代表される様々な文化プログラムを通して多くの人々に日本文化を紹介するとともに、日系カナダ人の歴史体験を伝え、学ぶ機会を提供している。
www.jccc.on.ca/jp/