【食材を探る・味噌】 Jerry Lewyckyさんインタビュー

味噌の魅力に魅せられた トロントオーガニック食品第一人者

40年前に味噌の味に一目惚れして以来、さまざまな形で味噌に関わり続けてきたJerry Lewyckyさん。現在はTradition Misoのオーナーとしてこだわりの手法で高品質な味噌を作り続け、需要の増え続けるカナダ市場で高品質な味噌を提供し続けている。そんなJerryさんに味噌の魅力やカナダ市場にみる味噌の歴史、今後の展開などについて語ってもらった。

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日本の食材である味噌に興味を持ったのはなぜですか?

約40年前に味噌を初めて食べたのですが、今まで食べたことのない味がとても印象に残り、それ以来もっと味噌について学びたいと思いました。当時の私は食品販売店で働いており、職場で見つけた味噌を購入し、いろいろ試してみましがそれらは初めて試したものとは全く味が味が違い驚いたのもよく覚えています。

それから食品の買い付けを担当するようになり、様々な食品を試す機会を経て、大きな工場で大量に作られた味噌と昔ながらの製法で作られた味噌の違いを学び、さらに興味を持つようになりました。

味噌作りに関する知識はどのように習得されたのですか?

買い付けを担当していた頃、日本からも輸入していましたし、バンクーバーに移民した日本の方が作っている高品質な味噌も仕入れていました。ただ、その味噌の需要が生産を上回ったことでバンクーバー近郊のみでの販売にすると言われた時に、トロントでも高品質な味噌を提供したいと思い、味噌作りの勉強を初めました。

まずはバンクーバーで学び、次にアメリカ、最終的に日本にも勉強に行きました。日本では量産化された大型工場から手作りでこだわりの味噌を作り続ける小さな工場まで見学させていただく機会が得られたのはとてもいい経験になりました。

味噌作りについて学んだ後、現在の味噌レシピにたどり着くまでどれぐらいかかりましたか?

数年はかかりました。既存のレシピを改造したわけではなく、初めから自分の配合で味噌を作り始めたので、何度も何度も微調整を繰り返し、自分の納得のいく味にたどり着くまで最低5年近い時間がかかっていると思います。

味噌作りのこだわりや楽しいこと、また反対に難しいことについて教えてください。

うちの味噌は全てオーガニックで作られています。一つ一つの作業が手作業で行われており、発酵期間は短いものでも1年、長いものでは7年掛けるものもあります。手間も時間もかかりますが、やはり味噌作りをしている時が一番楽しいですね。麹を作る作業はとても難しいですが、同時にやりがいのある作業です。

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カナダで日本食材である味噌を売る難しさはなんですか?顧客層についても教えてください。

日本食の知名度の上昇とともに特別難しさは感じないようになってきましたが、アジア系のお客様の間ではあまり売れ行きが良くありません。オーガニックで高品質にこだわっているため、通常の味噌より値が張り、日常的に味噌を使う家庭からすると高すぎると敬遠されたり、既に使い慣れたブランドがあり、変えたくないという人が多いからです。

私の顧客層は主に健康志向な現地カナダ人やベジタリアン、ビーガンの人が多いです。卸先の店舗もアジア系や通常のスーパーよりもオーガニック専門店や健康志向な食材を置いている場所ばかりですね。

主に現地の方が顧客ということですが、カナダ市場で味噌のイメージに変化は見られますか?

私はもう20年ほど味噌を作り販売していますが、作り始めた頃はお客様から「味噌って何?」と聞かれることばかりでが、現在は日本食がカナダに広まってきていることもあり、ほとんどの人が味噌についての最低限の知識を持っているように思います。ただ、認知度は大きく広まりましたが、私のお客様が持っている味噌のイメージは昔から大きく変わった印象はないです。

味噌はベジタリアンにとってとても大切なタンパク質の摂取源ですし、栄養価も高く、消化を助けたり、最近では放射線除去効果もあると話題になり、とても健康にいい食材です。日本ではあまりにも当たり前に摂取しているせいで注目されていないように感じますが、日本が世界一長寿国である要因の一つは味噌ですよ。

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それだけ味噌の認知度が上がってきた現在、Jerryさんの味噌を購入する方はどんな料理に使用しているのでしょうか?

やはりスープに使うのが一番簡単なようですが、味噌はドレッシングにしても美味しいですし、魚を漬けたり、ソースにしたりと様々な料理に合う万能な調味料です。私のウェブサイトでも複数のレシピを紹介していますし、私の味噌を買う人は健康志向な人が多く、皆さん色々調べて様々なレシピを試しているようですよ。

カナダや北米での今後の味噌の可能性やこれから挑戦したいことはありますか?

日本では味噌の売り上げは年々減少傾向にありますが、カナダでは特にここ数年毎年25%ずつ売り上げが増加するなど、味噌に対する注目はより高まってきています。日本食が世界遺産に登録されたことだけでなく、健康志向な人が増加し、オーガニックかつビーガン食品な味噌は今後もっと市場を拡大させていくと思います。現在の工場ではもう生産が追いつかないので、できるだけ早くもっと広い場所に大きな工場を建て、娘にビジネスを引き継いでもらうのが私の最後の目標ですね。

TORJA読者に一言メッセージをお願いします。

特に日本の方は頻繁に味噌を食べているからこそ、高品質なものを選んでもらいたいと思っています。私の味噌は保存料が一切入っていないので、取り扱いも難しく一般のスーパーでは手に入りにくいですが、是非一度試してみてもらいたいです。特に赤味噌や八丁味噌のようなしっかりした味わいの味噌が好きな方には満足してもらえると思います。



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Tradition Organic Miso

トロント初のオーガニック食品専門店Big Carrot創始者の一人Jerry Lewyckyさんが始めた味噌製造業社。昔ながらの手作業で生産される全ての味噌がオーガニック認定を受けており、トロント・GTAを中心に健康志向食品を取り扱うスーパーで販売されている。通常の味噌、麦味噌に加え、ひよこ豆を使った味噌の販売も開始している。
traditionmiso.com

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