オンタリオ州政府首相キャサリン・ウィン 新年特別号スペシャルインタビュー

2016年11月28日から12月2日にオンタリオ州の企業首脳や教育関係者など約45名で構成する代表団を率いて、経済ミッションとして日韓両国を訪問したウィン州首相。オンタリオ州にとって世界第5位、 アジアでは中国に次いで第2位の重要な貿易相手国である日本訪問を控え、州議会内にある執務室で「TORJA」の単独インタビューに応じた。

執務室内の州旗の前で撮影に応じるウィン州首相

執務室内の州旗の前で撮影に応じるウィン州首相

■これまで日本を訪れたことはありますか?

いえ、今回が初めてです。医者だった父の同僚で、日系カナダ人の知り合いに連れられて、小さい頃、1963年に建てられた最初の日系文化会館を訪れました。当時のことは今でも鮮明に覚えており、日本についてもっと知りたいという気持ちを常に持っていました。訪日を心から楽しみにしています。

■訪日の目的や注目点について教えてください。

まずビジネス面では、トヨタ、スバル(富士重工業)、ホンダ各社を訪問することを楽しみしています。とりわけトヨタとホンダとは極めて強固な関係を構築しており、今後どのように関係を拡大、そして深化できるかを模索しているところです。今回の訪問では教育関係者、そして自動車関連を中心としたテクノロジー関連の業界関係者も同行します。

人口知能(AI)など最先端分野で日本とオンタリオ州が協力できることは多々あり、今回の訪日は新たな機会への種まきとも考えています。

また文化面では高円宮妃殿下にお会いできることを非常に光栄に感じており、楽しみにしています。

■自動車業界は自動運転車やライドシェア(相乗り)サービスなど、IT(情報技術)業界からの新たな挑戦に直面しています。とりわけオンタリオ州と関係の深い日本の自動車業界に何を期待しますか?

われわれが共に取り組むべきは「先手を打つ」ということです。オンタリオ州は日本と同様、教育水準の高い労働力、そして優れたイノベーションを有しています。双方はイノベーターとして、自動車業界にとどまらず多方面で共に活躍できる素地を整えていると考えています。伝統的な製造業は変化の時代を迎えており、ロボティクスや人工知能(AI)など最先端分野において情報を共有することが可能であり、またこれがわれわれの関係の強みでもあります。

■投資先としてのオンタリオ州の魅力は何でしょうか?

オンタリオ州は北米大陸の中心を占め、輸送網も発達しており、多くの人口を抱える米国北部に近いという地の利があります。それに教育水準が高く、最先端分野で働く能力を備えた若い労働力を豊富に有しています。高齢化が進む日本にとって、オンタリオ州は補完的な関係を築ける相手だと思います。

■米大統領選で過激発言が目立ったドナルド・トランプ氏が当選し、就任初日に環太平洋連携協定(TPP)を離脱すると表明しました。オンタリオ州にどのような影響が及ぶと思いますか?

われわれの国境は開かれており、貿易に背を向けることはありません。今回の訪日で話したい議題の1つが、米国の存在がない状況がわれわれにとって何を意味するのか、そしてどのような機会が存在し、オンタリオ州と日本、またカナダと日本の間で何ができるかという点です。米国の政局変化を受けて、われわれも断念すべきという状況ではなく、まさに関係を強化し関与を強めるべき時だと思います。

■つまり反グローバル化や保護主義には走らないということですか?

もちろんそうです。われわれはこうした市場や関係強化を必要としており、世界経済の一部であることを認識しています。これを最も端的に表しているのは気候変動の問題でしょう。地球を守るためには共に取り組む必要があり、技術の進歩を通じて低炭素社会への移行を実現する必要があります。トランプ氏については、TPP以外の政策について多くを明らかにしておらず、不透明感を生んでいます。ですが、これがわれわれの優先順位を変えることはありません。パートナーと提携し、輸出国として生き残る必要があります。

■移民に対しても国境を開く、寛容な政策を維持するということでもありますか?

 移民というのは、カナダという国の定義の一部です。先住民を除く誰もが、カナダ以外の土地からやって来ました。カナダ人とは何者なのかという問いに対する重要な答えです。国を二分する米大統領選を目の当たりにし、置き去りにされたと感じる人々の声に耳を傾けることが重要だと思います。米国と同様、カナダでもそう感じる人々を包摂することが求められます。そのためには強い経済が必要であり、世界における競争力を高めなければなりません。

■来年はカナダ建国150周年ですが、何か特別な計画はありますか?

祝賀行事のための資金を確保しており、例えばオタワにはインフラ整備のために900万ドルを振り向けます。私も一部行事に参加する予定です。多様性を祝うイベントになるでしょう。スピーチで常に申し上げるのですが、6世代前にカナダに来た人も、6カ月前、または6日前にカナダに来た人も、誰もが新たな人生を求めてここに来ました。これがカナダという国の在り方であり、こうして多様な社会が形成されました。完璧ではありませんが、世界を見回すと、かなり住み良い場所だと思います。

■訪日が目前ですが、日本食はお好きですか?

ええ、大好きです。特に寿司が大好きで、先日もツナ丼を食べました。オンタリオ州で食べる日本食と、本場で食べる日本食に違いがあるか、実際に食べて感じたいですね。それからプレゼンテーションも興味があります。北米はガサツなところがありますが、日本はきっと対照的でしょうね。日本の「おもてなし」の精神も肌で実感したいです。日本は狭い国土で多くの人口を抱えていますが、カナダは広大な国土を有しますが人口は多くありません。こうした相違はパーソナルスペースなど、異なる社会規範を生むでしょうから、そういった観点からも日本の文化に触れることを楽しみにしています。

■プライベートでリラックスするお気に入りの場所などがあれば教えてください。

カヌーが好きでオンタリオ州中を回ります。直近では、夏にパートナーのジェーンとともに、ユーコン川をカヌーで渡りました。非常に美しかったです。走ることも好きなのですが、カヌーは私にとって心を静かに落ち着かせてくれる大切な場所です。