Marc Lepineさんインタビュー

カナダ人トップの料理人を決めるCanadian Culinary Championにて2度のゴールドメダルを取得した
Marc Lepineさんインタビュー

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オタワで1、2を争う高級レストランAtelierでオーナーシェフを務めるMarc Lepineさん。日々新しい食材の発掘や技術の開発に努め、今年の2月に行われたCanadian Culinary Championでは2度目のゴールドメダルを受賞した。そんなMarcさんが食の世界を目指したきっかけや料理のアイディアの源、難しい局面の乗り越え方などについて語ってもらった。

■ シェフを目指したきっかけはなんですか?

実は特別な理由はないです。高校生の時にホテルでアルバイトをしていたのですが、その時の同僚から向いていると思うからそのまま続けた方が良いと勧められ調理学校に入りました。今思い返せば、とても良い選択をしたと思っていますし、私がシェフになるということは決められていた運命じゃないかと思うほどです。この仕事は学ぶことがたくさんあり、技術の向上や食材についての知識などの勉強にも終わりがありません。日々新しい発見があるとても素敵でやりがいのある仕事です。

Summertime Tomato and Beet

Summertime Tomato and Beet

■ 近年、シェフだけではなく多くの才能あるカナダ人がアメリカへ働きに行く印象がありますが、シカゴにあるミシュラン三つ星レストランAlineaでも活躍されていたのにカナダへ戻ってきた特別な理由はありますか?

家族です。オタワは私が生まれ育った街ですので、私の家族や友人がいます。それにAlineaへ働きに出た時はオタワで自分のレストランAtelierを出すと決めた時で、その準備期間中だけと決めていました。その時にもし私がまだ子供もいない、独身だったら、と考えるとわからないですけどね。実際にニューヨークは食文化の最先端でとても興味深い街だと思います。

■ Atelierでは12品もあるコースメニューを季節ごとに変えながら提供していますが、料理のアイディアはどこからくるのですか?

Atelierにはとても優れた仲間がいるので、彼らと一日中仕事をしながらお互いのアイディアをぶつけ合います。どんな食材を使ったら面白いだろうか?今が旬の食材を普通と違う方法で調理できないのか?視覚的に新しい表現をするためにどんな技術を使って調理ができるだろうか?など毎日新しいことを探して挑戦し続ける中からアイディアを得ています。私は料理を作るということと同じぐらい、一日中料理について考えることもシェフの仕事だと思っていますし、コミュニケーションが非常に大切だと思っています。もちろん中にはボツになるアイディアもたくさんあります。ですが、そんな方法ダメだよ、というアイディアでも違う人がそのアイディアを元に工夫することでとても良い物に変わることもあります。なので何でも意見しあって、アイディアを出し尽くしあうことが大切ですね。

Mossy Trunk アスパラガスやワイルドガーリックなどの春野菜が詰まった一皿

Mossy Trunk アスパラガスやワイルドガーリックなどの春野菜が詰まった一皿

シェフ Marc Lepin

シェフ Marc Lepin


■ ソムリエの資格もお持ちですが、コースメニューを考える上で役に立っていますか?

とても役立っていると思います。いつも新しいコースメニューが決まると、ソムリエやフロントマネージャーも入れてチームで試食します。ワインの知識があるのでどのワインがオススメなのか、それぞれ別のワインと合わせた時にどのように味わいが良くなるか、というディスカッションに参加することもできます。
やはりワインと食事は合わせた方が良いのでしょうか?
ワインと食事を合わせなければいけない、というわけではありませんが、食を楽しむという意味ではペアリングはとても重要です。食事自体はワインなしでも完成していて、それだけで楽しむことができますし、ワインはワインだけでも楽しむことができます。ただ食事とワインがお互いの味を尊重しあい、新しい味や発見があるのがペアリングだと思います。ペアリングの際にはシーフードは白、ステーキは重たい赤、などの基本ルールもありますが、自分の好きなワインがあるならそのワインと食事がどう合うか試してみるのも良いと思います。食事を楽しむことが大切ですのであまり難しく考えずに、ソムリエにアドバイスを聞いたり、自分が飲みたいワインを合わせて飲むのが一番です。

■ 最近のフードトレンドについてはどう思われますか?

難しい質問ですね。飲食業界では常に何かしらの流行りが作られ、すぐに廃れてしまうのもや地域的に流行ってあまり他地域に広がらないものなど様々だと思います。Atelierではトレンドを気に掛け過ぎてしまうと、逆に視野が狭まってしまうので、いつでもなんでも受け入れられるようなつもりで食材や技術に関して学んでいます。ただ、Atelierでは視覚的なプレゼンテーションにこだわりを持っています。常にそれぞれの食材を新しい形や食感で提供できないか模索しています。

■ 個人的に何かお気に入りの食材や料理はありますか?

チーズです。特にブルーチーズにはまっていて、ここ最近は毎日食べています。特別にワインを合わせるわけでも、他の食材を合わせるわけでもなく、いろいろなブランドやタイプのブルーチーズを食べています。好きなものはシンプルに自分の好きなように食べるのが一番です。

■ Canadian Culinary Championで2度のゴールドメダルを受賞されていますが、感想を教えてください。

ナショナルの最終戦では2日間の間に3種類の試合が行われ、とてもタフな大会だと思います。2012年に初めてゴールドメダルを受賞した時の方が全体的に楽しむことができました。今回は当日試合の時に明かされる特別な材料がとても扱いにくかったですし、指定されたワインも特徴的で料理に合わせるとなるととても苦労しました。

Salsify 特別な食材サルシファイを美しく食べやすく仕上げた一皿

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Carrot Hoop リンゴやココナッツにレモングラスなどの香草を使った 爽やかな一皿

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■ 難しい食材など、困難な局面に面した時、どのようにして乗り越えるのですか?

繰り返し食べ続けることです。迷っていても何も進まないので、とりあえず最適だと思う方法で調理し、食べてみることです。その時に気に入らなかった、上手くいかなかった部分を持てる知識と経験を活かして、もう少し酸味を加えた方がいいかな、食感を生かすために火を入れすぎないようにしようなど微調整していきます。

■ TORJA読者へメッセージをお願いします。

Atelierでは旬な食材を使ったコースメニューを提供しています。何も考えずにご来店していただければ、こちらが料理の順番や種類を考えてお出しします。目で見ても美味しいユニークな料理を提供していますので、オタワへ来た時には是非立ち寄ってください。


Marc Lepine
atelierrestaurant.ca

調理学校を卒業して、トロント、フランス、イタリアでさらに料理の腕を磨き、1998年にヘッドシェフとしてアルゴンキンパークにあるBartlett Lodgeで働き始める。その後ソムリエとしての資格を取得し、オタワで自身のレストランAtelierの出店を決める。準備期間中にシカゴにあるミシュラン三つ星レストランAlineaでさらに腕を磨く。一年に一度、州毎の予選を勝ち抜いた料理人がカナダ人のNo.1を決めるために行われるCanadian Culinary Championで2012年と2016年の2度一位のゴールドメダルを受賞している。