芸術家 宮城光男さん インタビュー

『魔(マジムン)を浄化する沖縄の神様シーサー、カナダに堂々上陸!』

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沖縄の伝統工芸品やお土産物として有名なシーサー。魔を祓うのではなく、魔を浄化させる力を持つシーサーを、陶芸だけではなく絵画・版画でその魅力を伝える芸術家、宮城光男さん。拠点である沖縄を軸にフランス・パリでも個展を開くなど、世界でも活動をしている。

その活動は芸術分野にのみ止まらず、環境問題に焦点を当てた“ACOプロジェクト”を長年展開している。昨年はその功績が認められ、アーティストとして初めて第29回人間力対象、環境大臣激励賞を受賞している。

そして、3年前からカナダでの活動も開始し、今回10月1〜2日にTrinity Bellwoods Parkにて開催された野外アートイベント“Queen West Art Crawl(QWAC)”に初参加した宮城さんに、今後の展望などのお話を伺う機会を得た。

■この野外イベントに参加されるきっかけは何だったのでしょうか?

今回は、沖縄ではあまり取り組んだことがないことに挑戦したいと思っていました。そこで以前に野外イベントがある、と知ったことがきっかけです。

審査を経て、イベントに出店させてもらったのですが、他の参加者の皆さんは地元では名のある方々ですし、日本だったら、なかなか出来ないことですよね。ですが、そこがカナダの面白いところだと思います。地元の人と一緒にイベントに参加できたことが、仲間入りした感があり嬉しいですね。

そして、僕がカナダでやりたかったことは、獅子文化、ライオンロードと呼ばれるシーサーの旅。もともとシーサーは、古代オリエントであるエジプトのスフィンクスが発祥で、それからヨーロッパ・アジアに渡り、沖縄に渡ってきました。しかしこの何百年間ストップしているのです。その第一歩としてカナダで再開させたかったことが展開の一つです。

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■フランス・パリでの出展と比べてトロントでの反応はいかがですか?

トロントの方が明るくて気さくな感じがしますね。フランスだと言葉の壁を感じるのですが、トロントは移民の国なので、英語下手でもお互い気にしないで、みんな何とかしてコミュニケーションを取ろうとしてくれるのが助かりますし、周りの人の優しさを肌で感じます。新しいものが入ってもそんなに浮くことが無く、みんな楽しんでくれています。

でもやっぱり課題は残りますね。今後は、沖縄っぽいシンプルで元気なものを足掛けに、日本の伝統であるわびさびといった渋めのものを取り入れたり、Canadianizeしたものを受け入れてもらえるようになれば、という感じです。

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■インスピレーションはどのように生まれてくるのでしょうか?

様々な場所に行って生まれる感動を自分だったらどうやって人に伝えるだろうかと考えていくところにあります。

アイディアが降りてくるというよりも、自分の持っているもの一つずつの点と点が繋がって、積み重なって出来上がっていく感じです。

例えば、今回初めてナイアガラの滝を訪れた時に、龍神という水の神様が日本にいて、自分が辰年で、瀧は“龍”という文字が入っている、それらをモチーフにしたら面白いのではないか、というように合致したりします。ですので、バーチャルだけで見るのでは、音や迫力は全然違うので、実際に見て味わう、ということは大切だと思います。

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■カナダでの今後の活動を聞かせてください。

今までは、人と自然の調和を考えて活動していたのですが、カナダは移民の国なので、人と人の調和をテーマにできたら良いなと思っています。トロントは世界中から人々が集まって来ていて、これは今後素敵なことを予感させるものなので、それを表現していきたいです。

ニューヨークでも個展を開きたいと考えていますが、生活は安心・安全のカナダの方が楽しいのでここを拠点にするつもりです。平和でのんびりしていて、都会もあって自然もある、どことなく沖縄に似ているところが凄く好きなのです。

将来的には、カナダでアトリエやギャラリーなどを作って、若い作家さんたちを少しずつ呼んで、北米で日本の芸術家の発信源になる場所を作りたいですね。

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■日本で展開されていた環境活動を、カナダではどのようにしていきたいとお考えでしょうか?

僕が行っていた環境活動は、ゴミから生まれたシーサーという神様を現代にフィードバックさせたらどうなるか、ということから来ています。

シーサーはもともと、屋根瓦職人が余った漆喰と瓦を使って作ったシーサーを家主に贈ったことが始まりと言われています。つまりゴミとなる廃材から作ることが伝統的な方法です。

今の芸術はコンセプトが必要で、社会に与える影響や歴史的に必要なことを組み合わせていくと、今問題になっているゴミを使って、みんなが幸せになるものを作っていきたいと思ったのです。シーサーが作品というよりも、その活動全体がシーサーに基づくプロジェクトである、という感じですね。その方向性はカナダにいても変えないつもりです。

■TORJA読者へコメントをお願いします。

魔(マジムン)を浄化する沖縄の神様シーサーがカナダに上陸いたしましたので、仲良くしてください。きっとみなさんに幸運をプレゼントできると思います。


宮城光男さん

シーサーアーティストとして活動中。その独自性と日本・沖縄文化を凝縮したアート性の高さを評価され海外での個展活動や有名企業とのコラボレーションも少なくない。築30年を越えるビルを丸ごと改装したシーサー美術館を運営。(Official Websiteより一部抜粋)