日本とカナダの就活の違いについて理解しよう! [PASONA CANADA × TORJA 集中特別企画]
日本人がカナダで就職活動をする上で日本とカナダの就活の違いについて理解する必要があると思います。日本と同じようなやり方をしていたのではせっかくの機会を見逃してしまうかもしれませんし、納得のいく就活が出来ないと思います。就職先が非日系、日系企業に関わらず、下記の要点を念頭において頑張ってみましょう!
1. 経験重視のカナダ
カナダでは日系、非日系に関わらず、多くの企業が即戦力を求めます。日本のように入社後に伸びる可能性(将来性)を見越した採用が無いため、カナダでは一時期に新卒者を大量採用するという文化がありません。企業が求人募集を出す時期が決まっているわけではなく、ポジションが空けば募集するため、一年中募集があり、就活ができます。
また、新卒者を採用する場合でも専門的な知識と実務経験が採用の判断材料となるため、カナダの大学生は勉強をしながらパートやインターンシップで働いて経験を積むというのが一般的です。中には1年大学を休学してまで実務経験を身に付けてから卒業する学生も居ます。学生だけでなく、カナダに移民してきた新移民も海外での実務経験はあってもカナダでの経験を得るためにインターンシップやボランティア活動を行います。インターンシップをし、インターン先の企業から有能と認められれば正規雇用される可能性もありますし、実践的な経験を積むことで企業での即戦力となる準備をします。
2.学歴も重要
日本ほど、どの大学を卒業したのかは重要ではありませんが、学歴の高さはカナダでも重要です。
・High School Diploma (高校卒)
・Diploma (2年のカレッジ卒業)
・Bachelor Degree (学士号)
・Master Degree (修士号)
・PhD Degree (博士号)
多くの企業で各ポジションの最低学歴条件が明確になっており、募集事項にBachelor Degree Requiredと書かれていれば、それ以下の学歴(高卒、短大卒)の候補者がいくら応募しても「学歴を満たしていない」という理由で不採用になります。また逆に学士号が条件のポジションに博士号を持っている候補者が応募すると、Overqualifiedと言う理由で不採用になる場合も非常に多いです。在加日系企業の間では最低学士号を条件とするポジションが多くなってきており、更に修士号の中のMBAを重要視する企業が増えてきています。
3. 大学での専攻内容と成績も大切
前述通り、新卒者を採用して育てるという文化が無いため、単に最低学歴だけでなく、学校での専攻科目が応募条件に記されている場合が多くあります。例えば、金融機関でのエントリーレベルのポジションであるCredit Analystのポジションの場合、下記のように実務経験年数と学校での専攻科目、また成績が良いことが条件として挙げられているものをよく見かけます。
・3-5 years related experience
・An undergraduate* or graduate degree** in Business, Economics or Finance with outstanding academic achievement
*undergraduate degreeはbachelor degreeの意味。**graduate degreeはmaster degreeの意味。
日本のように文学部だろうと、理工学部だろうと総合職として金融機関に就職し、Credit Analystのポジションに就くことはまず無く、専攻に準じたポジションに就くのが普通です。Commerce、Finance、Economics、Statistics等以外を専攻した人がCredit Analystのポジションに応募することはほとんどありません。学生の場合は、GPA(成績)が良くないとインターンシップ先を見つけることも難しく、卒業後の就活でもGPAを聞かれます。カナダの大学は卒業することが難しいので、「GPAが高い生徒=優秀」と考えられるからでしょう。しかし在加日系企業の場合、日本の大学での専攻がポジションの業務内容と異なっていてもそれを補うだけの過去の実務経験があれば、それほど専攻内容は採用の合否に影響しないケースも見受けられます。例えば、日本の大学での専攻が何であろうと、日本で銀行勤務経験があると在加日系の金融機関での就職が大変有利になります。
4. ResumeとCover Letterの大切さ
レジュメは日本の履歴書に相当するものですが、形式が違います。カナダのレジュメは通常1〜2ページに自分の連絡先、学歴、職務経歴を記載したもので、募集されているポジションにマッチするスキルや経験があるかどうかはレジュメで決められます。書類専攻を通過し次のステップである面接に進めるかどうかはレジュメで8割方決められるといっても過言ではなく、企業人事が候補者のレジュメに目を通す時間は30秒もかからないと言われています。レジュメと同様に大切なものがカバーレターと呼ばれるもので、カナダで仕事に応募する際、レジュメとカバーレターの提出が求められる場合が多いです。カバーレターとは、レジュメでは詳しく触れなかった経験やスキル、志望理由等を説明したもので、レターの内容自体も大切ですが、人事はカバーレターの書き方で候補者の文章力を見ています。
5. 日本人だから日系企業での就職の方が簡単という勘違い
在加日系企業数と非日系企業数を比べてみただけでも分かるように、応募するポジションを日系企業だけに限定してしまうと就職は遠のくばかりです。日本人を必要とするポジションの数は確かに日系企業のほうが多いですが、現地化が進む今、日系企業内に占める日本語を必要とするポジションの数は減少傾向にあり、求人が出てきてもかなりの競争率になります。また、オンタリオ州を例に挙げてみると、日系企業の多くが郊外(トロント市内から車で1時間以上の町)に存在しているため、引越しや車の購入を要するケースが多く、応募したくても出来ないポジションも多くなります。日本語が有利とされる日系企業での求人を見たら必ず応募する!同時に自分の実務経験を活かせる現地非日系企業でのポジションへもどんどんチャレンジしていく!この精神が就職への近道だと思います。