LCBOの日本酒担当部署に聞いてみた!カナダの日本酒市場と今話題の東アジアブティック店
今年4月に日本酒を豊富に取り扱う東アジアブティックがオープンし、さらなる注目を集めている日本酒。オンタリオ州のアルコール規制・販売を行っているLCBO担当部署の方に協力してもらい、カナダ市場での日本酒やブティックの魅力について聞きました。
LCBOにおける日本酒の簡単な歴史について教えてください。
近年注目が高まっている日本酒は、LCBOにとって新しいカテゴリーではなく、1984年から取り扱いが始まっています。ただ、数年前に通常のカテゴリーからビンテージカテゴリーへと移ったことで、より多くの人に注目されるようになった為、新しいお酒だというイメージを持つ人が多いです。
LCBOではどのように取り扱う日本酒を決めるのですか?
取り扱うお酒の決め方は日本酒もそれ以外のお酒も全て同じです。ビンテージカテゴリーでは日本酒を取り扱っているサプライヤーがまず”Product Needs Letter”を提出する必要があります。これは年に2、3回受付をしており、提出されたお酒は全てLCBOの品質保証・批評チームによって試飲され、その点数とLCBOの売上の傾向を参考に決められます。また、通常カテゴリーで継続的に輸入を続けているお酒でも年に一度商品レビューを行い、LCBOでの売上や品質を確かめ、場合によっては翌年取り扱わないこともあります。
トロントとオンタリオ州内の他のエリアとで日本酒の売上やイメージに違いはあると思いますか?
やはりマークハム、リッチモンドヒル、トロントの3エリアの売上が飛び抜けていいですね。このエリアに住んでいる人たちが文化的にも日本酒に馴染みがある人が多いからだと思います。また、これまでの”日本酒=熱燗”というイメージは年々減少傾向にあり、白ワインのように冷やして日本酒を楽しむこともできる、という知識が広まっています。それと同時に日本食以外と日本酒をペアリングする人も増えているようですね。
カナダ市場における今後の日本酒の可能性はいかがですか?
LCBOとしては今後もよりバラエティに富んだ日本酒を提供していけるように、常に新しい商品を探しています。現在日本酒のデマンドは非常に高く、今後もそのデマンドに応えられるようにしていきたいと思っています。
マークハムに日本酒の品揃えが非常に良い店舗があると聞いたのですが、通常のLCBOとの違いはなんですか?
LCBOでは昨年5月から特別なエリアのお酒に注目した店舗“ディスティネーションブティック”を展開しています。ギリシャやポルトガル、スペインなどに続いて、マークハムに今年の4月にオープンしたのが日本、韓国、中国のお酒に注目した東アジアブティックです。ここでは通常のLCBOで購入できる日本酒以外に、これまでレストランのみに販売されていた日本酒も取り扱っており、ほかでは購入できないユニークな品揃えになっています。
スタッフも特別に日本酒に関する知識を持った人材を配置していますので、お酒選びでわからないことがあれば気軽に相談してください。
東アジアブティックの手応えはいかがですか?
今年の4月にオープンしてから常に私たちの予想を超えた売上を記録しています。数字でいうと2.7倍で、大成功を収めた店舗の一つです。通常LCBOでは最大約22種類の日本酒しか取り扱っておりませんが、東アジアブティックでは100種類以上の日本酒を取り扱っています。
今後東アジアブティックを増やす予定はありますか?
LCBOとしては今後も様々なデスティネーションに注目したブティックストアを展開していく予定なので今の段階では東アジアブティックを増やす予定はありません。ただ、遠くて直接東アジアブティックに行けない人向けに全てではありませんが、LCBOのオンラインショッピングでも通常のLCBOでは販売していない日本酒を購入していただくことができます。最寄りのLCBOに無料でお届けできますし、必要な手数料を払っていただければ直接自宅へ配達することも可能です。
LCBO(Liquor Control Board of Ontario)
オンタリオ政府が管理する企業で、世界最大のアルコール飲料の買付・販売を行っている卸売業者。世界80カ国から年間2万4千種類以上の商品を取り扱っている。
東アジアブティック
3075 Hwy 7 E, Markham / lcbo.com