株式会社 良品計画 松﨑 曉代表取締役社長インタビュー

株式会社 良品計画
松﨑 曉代表取締役社長インタビュー

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中国の次にこれから注目し期待しているのはアメリカ・カナダ市場
「生活に必要なものを必要な形で作る」という変わることないMUJIのものづくりのコンセプトが
カナダでも多くの支持を集める

1980年西友のプライベートブランドとしてスタートした無印良品。デビュー当時の40品目に始まり、現在では約7000品目もの幅広い商品を取り揃え、日本のみならず海外でも高い支持を得る人気ブランドへと成長している。カナダでは昨年初出店となるAtrium店オープンに続き、今年11月に待望の2号店をカナダ最大級のリテールショッピングモールSquare One Shopping Centreにオープンさせた。今回TORJAでは今年5月に代表取締役社長に就任し、国際経験も豊富な株式会社良品計画の松﨑曉社長にカナダでの展開や今後も加速していく海外事業の更なる展開について伺った。

先ほどオープニングレセプションを終えられましたが、この2号店にかける意気込みを教えて下さい。

昨年11月29日に1号店をオープンした時には開店前から200人もの人が待ってくださっていて急遽開店を早めることになりました。オープンしてからも絶えず人がやってきて多い時には600人を超え、開店から閉店までずっと入場制限が必要なほどでした。Square One店でも再びそうなると期待しています。この2号店は1号店よりも大きく、子供服や食品など新たな商品も取り揃えていますのでよりお客様に便利さを提供できるのではないかと私としても非常に楽しみにしています。

海外事業のために年間200日程は海外を回られていると伺いました。本日も今日カナダに着いて明日日本に帰国するというアグレッシブな松﨑社長ですが、世界各店のオープニングに足を運んでいらっしゃるのでしょうか?

いえ、そんなことはありません。私達は年間海外へ50店舗ほど出しています。もちろんそれらすべてに参列していると社長の仕事ができませんので、出席できるのは限られています。今年は47店舗出店して参加できたのは5店舗程です。カナダは大変重要で去年私が専務の時にオープンした1号店も非常に大成功を収めています。このSquare Oneはカナダ最大のリテールモールですし、今回のオープニングではミシサガ市長もいらっしゃってくださいました。相手国の市長がレセプションに参列してくれるというのは私の経験上初めてのことです。それだけMUJIに対する期待も大きく、支持していただいていることを嬉しく思います。

北米市場の中でもカナダというのはアジア圏からの移民が非常に多く、アメリカ市場などともまた少し反応も違うのではないかなと個人的に思うのですが、松﨑社長にとってカナダ市場はどのようにとらえていらっしゃいますか?

現在は中国がうちの主戦場ということで中国だけで年間35店舗ほど出店しています。中国の次にこれから非常に伸びるのはやはりアメリカ・カナダ市場だと思っており、大変注目しています。実は2006年にカナダに進出しないかというオファーはありました。しかしその時はまずアジアに力を入れたかったのと、やはり順序としてアメリカでやってからカナダだろうということで進出には及びませんでした。その後2007年にアメリカに出店し、ようやく昨年カナダにも1号店ができました。カナダ市場というのは我々にとっても特殊といいますか、アジアの方が非常に多く住んでいてMUJIに対して非常に馴染みがあります。1号店のオープンの時に並んだお客様の8割はアジア系の方々でした。その後客層もだんだんと欧米系の方々が増えてきました。まずはアジア系の方が必ず来てくれる、それから時間をかけて地元の方が増えてくるという、非常にいい流れであると思いますね。

▲1991年にロンドンに海外1号店を出店した際に 英リバティとのパートナーシップ契約書を 作成したのも松﨑社長だったという

▲1991年にロンドンに海外1号店を出店した際に英リバティとのパートナーシップ契約書を作成したのも松﨑社長だったという

無印良品というのはもともと西友のプライベートブランドから始まっていますが、御社のコンセプトというのは時代やいろいろな流れの中で変わってきているのでしょうか?

私たちは1980年に西友のプライベートブランドとして40アイテムでスタートしたわけですが、基本的なものづくりの考え方というのは変わってはいません。うちにはアドバイザリーボードというブランドコンセプトを維持するためにデザイナーなどで構成された組織があります。もともとMUJIというのは小説家、芸術家で経営者でもある堤清二氏と現代デザインの巨匠である田中一光氏が作ったデザイナーよりのブランドです。それゆえに無印良品のコンセプトというのは会社の人にはわからないということで取締役会とは別にアドバイザリーボードが置かれました。とにかくMUJIはこうでなければならないだとかMUJIの商品として出していいかなど、企業の方向性を決めるうえで重要な役割を担っているこのアドバイザリーボードが権限を持ち、ブランドの方向性というものを間違うことなく牽引していったことが、MUJIのコンセプトが維持され、支持されてきた最大の理由だと思います。

現在はアジア中心に海外に続々と出店されていますが、海外で展開していくにあたり、各国でのお客様の反応に違いというものはあるのでしょうか?

毎週世界のベスト70という世界で売れているものリストを出していますが、実は日本も海外も売れているものにほとんど大差はありません。確かに人気の売り上げ部門の差などはあります。例えば日本やカナダでは婦人・紳士衣料、家具がよく売れていますが、中国ではヘルスアンドビューティーの部門が売り上げ構成比の2割も占めるほどよく売れています。そういう売れ筋の違いはあっても基本的に売れているものは同じです。無印良品の基本的なコンセプトは「生活に必要なものを必要な形で作る」です。日常生活をしていくうえで必要なものを作っているのでマーケットとして普遍性があります。品質が良く、機能を満たしデザインが良くて価格もリーズナブルという合理性がある。それは絶対売れるでしょう。ですからMUJIが各国向けの商品を作らず、品揃えを統一するというのは我々のビジネスモデルからいうと必然であると思います。

来年インドにも進出されると伺いましたが、MUJIではそういった現地の状況に合わせ独自の商品をつくるというローカライゼーションはされないのでしょうか?

今はありません。インドでも今ある商品をそのまま持っていきます。それがうちのコンセプトですし、そこを壊してはいけないと思うからです。今は効率が重要です。物流や商品管理などいろいろなことで効率を得るためには世界で同じ品揃えにする方が効率がいい。ただ私たちは3年ごとに中期計画を立てていて、2017年以降は少しものづくりも現地化していこうと思っています。しかしそれはものづくりの根本を直すのではなく、修正できるところはしていくというのを2017年以降はしていきたいと考えています。

ダウンタウンにある1号店は街の中心地で非常に人の行き来が激しいところですが、ミシサガというのは住宅地が広がり、この地で生活をされている方が多いエリアです。各エリアの客層に合わせて商品展開を変えたりはされていますか?

面積の問題もあるのですが、2号店は1号店よりも売り場面積が大きく、住宅地に近いのでよりお客様に近い存在になれるのではないかと思っています。例えば家具や子供服といったより生活感のあるものが売れていくと考えているので、より生活空間に使うものを重点的に品揃えしています。

先ほどのお話で2017年以降現地化を進めていくとありましたが、人材教育という部分で、海外でも日本特有の接客をベースとした教育を進めていくのか、それとも各国にあった形で進められていくのでしょうか?

我々は基本的にホスピタリティというのはユニバーサルだと思っています。お客様が来店の際ににっこりと笑って挨拶をする。お客様にとってもそれはみんな嬉しいことですし世界共通ですよね。やはりそのベースは揃えたいと思っています。ご存知の通りMUJIGRAMというマニュアルがありまして、教育のベースを一定水準に合わせようとしています。ベースは一定でそれを超えるのは店舗で働く人たちです。お客様の期待を超える接客というのがやはり日本の真髄だと思います。そういうものができるようにしていきたいです。

海外を飛び回り非常にご多忙だとは思いますが、そんな中でストレス発散、リフレッシュというのはどのようにされているのでしょうか?

先週はロンドン、パリ、日本、上海、カナダ、韓国そして今カナダにいます。明日日本に戻り、次週はニューヨークと海外を回ります。気をつけていることは行く先々でチェンジマインドすることです。前のことを引きずると心の負担となってしまうので意図的に忘れ、気持ちを切り替えるようにしています。また、歩くことも好きで、日本にいる時には妻と1時間ほど散歩に出かけ、歩きながら妻の話に耳をかたむけています。

カナダには自分の目標や目的に向けて頑張っている若者が非常に多いです。彼らにむけて社会人の先輩、ビジネストップリーダーとしてメッセージをお願い致します。

私が仕事をしている上で最も大事にしていることは自分の考えをしっかりと持ち伝えることです。たとえ食べ物一つでも自分の考えをきちんと伝えること。それが私の信条です。日本人はそれが非常に苦手ですが、外国の方からは話さない人は意志のない人だと思われてしまいます。やはり考えを伝えないとお互いに理解することもできません。せっかくチャンスがあるのですから積極的に思ったことを発言していってほしいです。そうすると自分が発言したことにも責任を持つようになります。それがまた自分を追い込んで成長につながります。ぜひ若い人たちにはチャンスを活かし、海外で得た経験を日本でも大いに役立てていってほしいです。そういう人たちがこれからの日本を変える原動力になってくれればと願っています。

最後に、多くの日本人在住者も2号店を心待ちにしておりました。是非メッセージをください。

遅まきながら去年1号店、そして今年2号店をオープンし、2020年までにはさらなる出店もしたいと考えています。特に日本でも人気の食品部門などの品ぞろえも着実に商品数を増やしていく予定です。MUJIは生活者に対して貢献したいという強い思いがあり、海外に住む日本人の方々の生活にも役に立ちたいと思っています。Square One店はより生活に密着した品揃えで売り場面積も大きいですので、ぜひご利用いただければと思います。

▲カナダで代表を務める秋田社長とともに

▲カナダで代表を務める秋田社長とともに


良品計画社長 松﨑 曉 まつざきさとる
1954年生まれ。78年西友ストアー(現合同会社西友)入社、05年良品計画入社。執行役員海外事業部中国担当部長、専務取締役、海外事業部長を経て今年5月より現職。