園 子温監督 & 神楽坂 恵さん インタビュー

トロント国際映画祭 スペシャルインタビュー
第40回トロント国際映画祭 NETPAC賞を獲得
「ひそひそ星」園 子温監督
女優 神楽坂 恵さん

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映画紹介「ひそひそ星」
トロント国際映画祭2015 NETPAC賞受賞作品。園監督の妻で主演の神楽坂さんもスタッフとして参加した、夫婦共同制作の自主映画。余計なものをできるだけ削ぎ落としたモノクロームの映像とシンプルな音声が、独特の世界観を描き出す。

鈴木洋子は、スペースシップに乗って荷物を配送するヒューマノイドロボット。テレポーテーションが確立した時代で、必要のないモノを送り合うのは人類だけ。その不思議を音声日記に付けながら配送先の人類と触れ合う中で、徐々に彼らへの興味やモノを所有すること・送り合うことの感傷を覚えていく。

All Photos ©sionproduction

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第37回TIFFに出品した「希望の国」でもNETPAC賞に輝き、その翌年の第38回で上映された「地獄でなぜ悪い」がMIDNIGHT MADNESS部門・観客賞を受賞した園監督が新作「ひそひそ星」を引っ提げてトロントに帰ってきた! 同作品はContemporary World Cinema部門に出品され、9月15日にワールドプレミア上映され、今年もNETPAC賞を受賞。 もはやTIFFの常連となった園監督と初来加で主演の神楽坂恵さんにトロント国際映画祭や作品への思いについて伺った。

■ 観客が温かいトロント国際映画祭

トロントのお客さんは温かくて、かつ目が肥えているため査定が厳しいと思います。そういう意味で、TIFFの観客賞は世界的に見て大きな価値があります。今回の作品はいつものド派手な映画ではなくて、モノクロームの地味なものだったので少し心配でしたが、プレミアでのお客さんの反応を見る限り受け入れられたようで嬉しかったです。内容や舞台からして笑う場面はないと思っていましたが、意外にも所々で笑い声が聞こえてきて、そこもよかったです。

TIFFは毎年参加するうちにだんだんと親しみを感じていますし、映画祭からもいつのまにやら愛されているなと感じています。

■ 孤独を共有しよう

この映画を構想したのは25年前で、人間の孤独について書いたことを思い出しました。SFの世界ながら地味な生活を送っていたり、廃墟化した地球が舞台であったり。孤独の捉え方は25年前も今も変わりません。孤独を映画にすることはネガティブではありません。それを抱えているままだとネガティブだけど、孤独を「共通言語」とみなして、みんなが抱えているものにシンパシーを感じあうというのはポジティブだと思います。

■ 福島県浪江町を舞台に

25年前の台本では、人類の失敗のせいで地球さらには宇宙も廃墟化しているという設定でした。でもその当時、そんなロケーションはなかったんです。だけど今、実際に自分たちの失敗によってできた廃墟がある。不運にもそのような場所が簡単に見つけられてしまう時代になってしまいました。2012年の「希望の国」の流れもあって、たまたま「今」がこの映画を制作する時期であったのだと思います。

■ キャストは地元住民の皆さん

「希望の国」の家族のモデルとなった方やそのとき出演していただいた地元住民の方、そしてその方々のご友人たちをキャスティングしました。立ち入り禁止区域になっているため胸は痛むけど、映画として後に遺してもらいたいと。撮影のために故郷の姿を見られることがうれしいとおっしゃる方もいました。「希望の国」からずっと関わってきた皆さんなので、つながっているというか気持ちをわかっているというか。浪江町で撮ることや、そこで何をどうしたいのかをわかってくれていました。

■ TORJA読者に一言

園監督―僕は今も21歳の気持ちで仕事をしています。いつもアドベンチャラスに生きていたいと思っているから。冒険心を忘れないように生きろ!自分を叱咤激励して、どっかり座っちゃいけねーぞ!

神楽坂さん―若くして海外に出られる環境はとても貴重。存分に楽しんでください!

NETPAC賞を獲得した園監督から喜びの声が届きました!
トロントの観客の皆さんの反応は凄く良くて、作品がきちんと理解されたと思いました。自分の信じた映画が、カナダ最大の映画祭で評価されて素直に嬉しいです。

NETPAC賞(Netpac Award for World or International Asian Film Premiere)とは
最優秀アジア映画賞。29カ国のメンバーからなるアジア映画の振興を目的とした団体The Network for the Promotion of Asian Cinemaの審査員が選ぶ。数々の国際映画祭で賞として設置されており、トロント国際映画祭もNETPAC賞を持つ映画祭の1つ。


園 子温 (その しおん)
1961年、愛知県豊川市生まれ。法政大学在学中制作した「俺は園子温だ!」(1985年)がぴあフィルムフェスティバル入選、「男の花道」(1987年)が同フェスティバルグランプリ受賞。物議を呼ぶ衝撃的な作品やメッセージ性の強い作品を世に送り、多くの映画が国内外の映画祭で上映される。トロント国際映画祭では「冷たい熱帯魚」(2010年)、「ヒミズ」(2011年)、「希望の国」(2012年、NETPAC賞受賞)、「地獄でなぜ悪い」(2013年、Midnight Madness部門観客賞受賞)、「TOKYO TRIBE」(2014年)がこれまで出品されている。


神楽坂 恵 (かぐらざか めぐみ)
「冷たい熱帯魚」「恋の罪」の作品でおおさかシネマフェスティバル2012、および第33回ヨコハマ映画祭にて助演女優賞を受賞。 その他、園監督作品でもある「ラブ&ピース」や「地獄でなぜ悪い」などにも出演。園子温監督の妻でもある。