『怒り』密着取材!渡辺謙さん・宮崎あおいさん・李相日監督 密着取材レポート

トロントで記者会見&レッドカーペット・舞台挨拶

トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門『怒り』

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9月10日、Elgin and Winter Garden Theatreにて、トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門に出品された『怒り』のプレミア上映が行われ、会場には、本作で父娘を演じた俳優の渡辺謙さんと宮崎あおいさん、そして脚本・監督を務めた李相日さんがレッドカーペットに登場、上映前後に舞台に登壇し、挨拶とともに観客からのQ&Aにも応えた。

■プレス向け記者会見

李監督は「3年前にも私と渡辺謙さんはTIFFに呼んでいただいたのですが、その時は来ることができなかったので今回こうして謙さんと宮崎さんと来ることができてとても嬉しく思います。」と喜びの言葉を述べるとともに、「殺人事件が物語の出発点なので、犯人を追う物語に見せながらも、そこから自分が知っている人、自分にとって大切な人を疑ってしまう人の心のミステリーをどう深く表現するかというところに意識を集中して撮影しました。」と作品について語った。

また、渡辺謙さんを主役に起用したことについて、「多分、謙さんは僕に対して愛憎が入り混じっているのではないかなと思っています…(笑)。3年前の『許されざる者』でも謙さんに主演をやっていただいたのですが、その時に彼を全部撮り切ったという気になれなかったのです。まだまだ別の、もっと深くてそう簡単には届かないところに存在している何かがある方だと思ったので、今回はそこに届くことを意識して粘りました。」と答えた。

同様に、李監督の作品に出演することへの思いを尋ねられた渡辺謙さんは「李監督は日本映画業界の宝物です。彼との撮影は毎回タフなので楽しくはないですが…(笑)、こうしてまた彼と一緒に仕事ができたことを誇りに思っています。」とコメント。

10数年前にトロントでホームステイ留学をしていたことがある宮崎あおいさんは、冒頭の挨拶では英語でのスピーチを披露。ハリウッド俳優である渡辺謙さんと初めて共演したことについて、宮崎あおいさんは「現場での佇まいであったり、スタッフの方や私たち役者への対応であったり、そういった全てを傍で見られたことが幸せですし、こんな大人の人にいつか自分もなれたらいいなという思いが私の中にあります。大きな存在で大きな心で大きく包み込んでくれるような方です。」と思いを述べた。

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■レッドカーペットでTORJA取材班が突撃取材!

レッドカーペットに降り立った3人に、読者にむけて夢を追いかける人に向けた応援メッセージをいただいた。

宮崎あおいさん:私も13年くらい前に、3週間だけなのですがトロントにホームステイをしていた経験があります。とても短い期間ではありましたが、私にとってはとても大切な経験となっています。いろいろなことを勉強するということは難しいことだとは思うのですが、諦めないで頑張ってもらいたいなと思います。

渡辺謙さん:もうとにかく、いろいろなものを見たり、いろいろな人に会ったり、いろいろな体験をするということが、若いうちは本当に宝物だと思うので、恐れずに恥ずかしがらずにどんどん飛び込んで、新しい経験をしていってほしいなと思います。

李相日監督:「見るまえに跳べ!」ですね。大江健三郎さんのそのタイトルの本があるのですが、僕はこの言葉が大好きです。是非、読んでみてください。

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■謙さん男泣き!プレミア上映会舞台挨拶

映画祭最大級の収容数を誇る歴史の長い会場は、1400人もの観客に埋め尽くされた。上映前の舞台挨拶では、李監督、ハリウッドで活躍する渡辺さんはもちろん、トロントに留学をしていた経験がある宮崎さんも流暢な英語で観客にトロント国際映画祭に参加できた喜びの挨拶を行った。挨拶を終えると、3人は観客に混じり会場中央の席に座り、ともに鑑賞。上映中には、観客から感嘆の声やすすり泣く声が何度も漏れて聞こえてきた。

上映後、観客総立ちの拍手喝采に包まれ、再び舞台に上がった渡辺さんは英語で「言葉が見つかりません。作品を見るのは2回目なのですが…」と声を震わせて涙を流した。そのあとすかさず、隣にいた李監督を指しながら「これは全部彼のせいです。」と冗談を言い、会場は再び、笑いの拍手喝采。観客を引き寄せ、場を和ませるたたずまいはまさにハリウッドスター。

宮崎さんは、「私もこの映画を見るのは2回目だったのですが、また前回とは違うところで感情を動かされました。今回はお父ちゃん(渡辺謙さん)の思いが伝わってきて、悲しくなったり申し訳ない気持ちになったりしながら見ていました。また、こうやって観客の皆さんと一緒に、自分が出ている映画を見るという機会はなかなかないので、とてもワクワクしましたし、こういう機会をいただけたことをとても光栄に思います。」と目を輝かせながら喜びを語った。

続く李監督は「最後まで見ていただき、本当にありがとうございます。僕はもうトイレに行きたいのですが…」と会場を再び大きな笑いに包んだ。その後、「吉田さんの書かれる小説は人の汚い部分であったり、人には見せたくない部分であったり、心の弱いところを非常に鋭く暴いた文章で構成されています。なので、まず私も自分自身の嫌なところを全部飲み込んでから脚本を作り、撮影に入りました。その上で、欠点も含めて、人ってこんなに愛おしく、人を大切に思う気持ちがあるということを、素晴らしい俳優さん方を通じて表現できればなと思っていました。」と作品へ込めた思いを語り、大盛況のなか会場を後にした。

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『怒り』映画紹介
映画『悪人』で世界を圧巻した李相日監督と原作者の吉田修一が、再びタッグを組み映画化。現場に「怒」という血文字が残された夫婦殺人事件が未解決のまま1年が経った頃、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、前歴不詳の3人の男が現れる。その男たちに出会った人々が、その正体をめぐりそれぞれの場所で、信頼と疑いの狭間で揺れ動く様子を描く。「信じる」とは何か。「愛」とは何か。根源的な問いかけを投げかけるヒューマンミステリー。出演には渡辺謙、宮崎あおいの他に、妻夫木聡、松山ケンイチ、綾野剛、森山未來、高畑充希など日本映画界を代表する豪華キャストが集結。