TRONTO + JAPAN “パパ・ママ” 育児奮闘記

育児や幼児教育の考え方は千差万別、今回TORJA編集部ではトロントで育児に励む3組のご家族を紹介します。国際結婚、駐在&カナダ出産を経験中、子供が少し大きくなったファミリーの3家族にスポットを当てて、カナダと日本の文化や考え方の調和された体験談や意見を語ってもらいました。


Daniel Nguyenさん、Aya Kawakita-Nguyenさん、美夏ちゃん(8ヶ月)ファミリー

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11年間のコモンローの中でお互いの文化や環境を理解し合い国際結婚をしたご夫婦に、育児休暇や日本語教育など、日本とカナダの考え方の調和について聞きました。

モンローの関係がとても長いお二人でしたが、親になるという考えに至った経緯を教えてください。

私達が結婚したのは2014年8月ですが、その時点で夫とは11年間コモンローとして一緒に暮らしていました。結婚する前に子供について夫と話すことは幾度かありましたが、自分は子育てには全く向いていないと思っていたこともあり、夫と二人きりの関係でいいと伝えていました。それがなぜか婚約期間中に気持ちが180度変わり、「彼の分身を育てたい」と思うようになりました。分身、というととても変に聞こえるかもしれませんが、これが一番の理由でした。結婚式の半年程前から更に真剣に考えるようになり、結婚直後に夫に初めて「やはり子供を一緒に育てたい」と伝えたところ、夫も「実は僕もずっと欲しかったけれど、Ayaにプレッシャーを与えることになるし、いつか気持ちが変わる日が来るだろうと思っていた」と言われ、驚きました。11年も待たせてしまって可哀想なことをしてしまったなと思いました。きっと私の中で親になるという心の準備ができていなかったのだと思います。

妊娠中や出産がとても大変だったとお聞きました。

高齢(その時点で38歳でした)ということもあり、すぐに妊娠できない可能性の方が高いのではないかと思っていましたが、1ヶ月で妊娠してしまい驚きました。妊娠が分かった日は、驚きと嬉しさと怖さが混ざったような気持ちでした。その後の妊娠期間で最も印象に残っているのは、つわりの酷さです。8週目から始まり、4ヶ月間も続きました。寝ても覚めてもずーーーっと気持ちが悪いというのは本当に辛いものです。またその期間中仕事もしておりましたので、お客様とお会いする直前まで気持ちが悪く本当に困りました。私のつわりはいわゆる「食べづわり」というもので、常に食べていないと気持ちが悪くなってしまうという症状でした。4ヶ月も続きましたので、大分この期間に体重が増えてしまいました。その時期はとにかく毎日毎日を乗り越えて行くことで精一杯の日々でした。出産ですが、私は40週を過ぎても全く産まれる気配がなかったので、誘発分娩で出産しました。出産に至るまでの過程は割りとスムーズでしたが、出産時に大量出血のため2回意識不明になりました。看護婦さんが私の名前を叫んでいたこと、皆の声がどんどん遠くなっていき、まるで真っ暗な部屋に入っていくような感じになって悪寒が止まらなかったこと、今でも全て鮮明に覚えています。輸血をしてやっと意識が戻りましたが、疲労困憊のため娘を抱いたり、お見舞いに来てくれた友人と話したりすることが全くできませんでした。日本から来ていた母が「床が血の海で本当に怖かった・・・」と言っていました。私も今思えば、自分の娘がもし目の前でそうなっていたら本当にオロオロしてしまっただろうなと思います。カナダでは通常ならば出産後24時間で退院となるのですが、私はこのようなことがあったので、5日間入院しました。

ご主人にお聞きます。8ヶ月間という長期の育児休暇を活用したそうですね。

現代において、子供を育てる環境は昔とは全く異なります。例えば「家族が昔のように世代を超えて一つ屋根の下で暮らさず、分かれて住むようになったこと」や「夫婦共働きの家族が増加したこと」が挙げられます。昔のように「ちょっと一瞬子供を見ていて」と気軽に親に頼める環境にある人は今の時代少ないのではないかと思います。我々の場合、妻がスモールビジネスを営んでいて顧客がいるので、育児休暇を取ることは避けなければなりませんでした。とても幸運なことに私の会社が育児休暇についてとても理解が深く、最長でも9ヶ月間有給が取れると分かったので、これが僕達にとってベストの選択だということになりました。カナダにこのような福利厚生があることを知らない人も多く、またあったとしても実際にそれだけの長い期間休む人はまだ中々いないようです。実際、育児休暇中に妻が他人に「夫が今長期で育児休暇を取っているので」と話す機会があったのですが、相手が眉毛を上げて驚くというリアクションを幾度も見ました。それだけ僕達がしていることは普通ではないことなのだと、改めてその度に気付かされました。育児休暇について調べていた時、実際に長期で育児休暇を取ったという同僚が数人いたのでその人達と話しましたが、全員共通して言っていたことは「絶対に利用した方がいい。幼児期に築いた子どもとの関係は将来、他には代え難いものだ」ということでした。今思うと本当にその通りだったと思います。もちろん休暇に入る前は不安なことだらけでしたが、後悔していることは一つもありませんし、本当に素晴らしい8ヶ月間だったと思っています。妻が出産2ヶ月で仕事に復帰し、僕が8ヶ月間育児休暇を取ったことは「普通」ではなかったかもしれませんが、我々にとってはごく自然の流れでした。

2ヶ月で仕事復帰した川喜多さんですが、育児と仕事の両立はいかがですか?

夫は「娘に対して色々なことを期待していると大変」だと気が付いたそうです。例えば寝て欲しい時に寝てくれないなど、自分の願っている通りにならないと逆にそれが育児のストレスに変わると言っていました。私は出産後2ヶ月で仕事に戻ったので、とにかく仕事と育児のバランスを見つけることが本当に難しく感じています。娘が産まれる前と後では仕事の仕方も変わりました。今ではいかに効率的に仕事をするかということに焦点を置いて仕事をしています。また娘を完全母乳で育てていることもあり、搾乳機をオフィスに持って行って3、4時間置きに搾乳しながら仕事を今でも続けています。夜中は一番母乳が出る時間なので、数時間毎に一人で起きてウトウトしながら搾乳しています(結構孤独です)。毎日クタクタですが、娘の笑顔が一番の元気の素です。

幼児教育や日本語教育などについてはどのようにお考えですか?

私も夫も幼児教育はとても大切なことだと思っています。生後1ヶ月より毎日欠かさず英語(夫担当)・日本語(私担当)で読み聞かせを始めました。今娘は8ヶ月ですが、本を見せるとピタッと静かになり、読んでいる最中は(本によっては)興奮して震えだすこともあります。また最近では本棚を見て笑顔になったり、自分で本のページをめくったりするようになりました。5冊読んでも満足せず、こちらが疲れてしまうことも度々です。夫の希望もあり、18ヶ月より娘を日本語の保育園にフルタイムで行かせる予定です。私はカナダに来て17年になるため、日本の季節毎のイベントなどを忘れてしまっている部分もあることや、日本語で他の子供達とふれあうことができるという面でとても魅力的に感じます。その後は毎週土曜日に日本語の学校へ行かせる計画でいます。現地の学校の宿題は夫担当、日本語の学校の宿題は私担当というように、分担を決めて取り組んで行こうと思っています。日本語に関してあえて言うならば、目上の人に対して日本語で敬語がきちんと話せるような子供になってほしいと思っています。

カナダで成長および教育を受けていく美夏ちゃんに対してどのような期待と願いを込めますか?

カナダの素晴らしい教育システムを最大限に利用して、娘をフレンチイマージョンの学校に入れたいと夫と話しています。私も夫もフランス語は話しませんが、カナダの2つの第一言語を習得することで、彼女の将来のオプションが増えるのではないかと私も夫も考えています。娘が興味を持ってやりたいと言ったことについては、出来る限り私達もその機会を与えてあげようと思っています。オールAを取りなさい、などとは言いませんが、勉強も含め、何事にも興味を持って一生懸命取り組む子供になってくれるといいなと思っています。


福岡宏之さん、敦子さん、杏ちゃん(5か月)ファミリー

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駐在員としてカナダに赴任し、トロントで出産。海外出産の戸惑いや苦労を経たからこそ得た大きな幸せ。現在育児に奮闘しながらトロント生活を楽しむ。

在員としてカナダ在住4年目ですが、日本ではなく、カナダ(海外)での出産に不安や戸惑いはありませんでしたか?

今回が初めての出産でしたが、カナダ在住4年目で生活には慣れていましたし、何よりも日本人向けの医療サポートを仕事としている友人や先にカナダで出産した友人が周囲にいたので、不安は思ったより少なく、それよりもカナダで出産できる機会を得られてラッキーという感じでした(笑)。出産費用が保険ですべてカバーされるというのも魅力的でした。実際の出産のときは、入院から出産、退院するまでずっと付きっ切りで、赤ちゃんが産まれてからも家族3人でずっと一緒に過ごせたことは、日本ではできないであろう、とても貴重な体験でした。後から振り返ると、通院時や入院時に病院の先生や看護師が言っていることが理解できなかったり、出産後の入院時のサポートが不十分(入院1日だけ・ご飯が美味しくないなど)、両親のサポートが受けられないなど、特に出産直後は初めての子育てに戸惑いや苦労も多々ありました。でも、多くの友人が赤ちゃんの世話を快く手伝ってくれたり、子育てのアドバイスをくれたおかげで、これまで大きな苦労なく育児をすることができ、カナダで出産してよかったと思っています。ちなみに杏という名前は、カナダの「赤毛のアン」に掛けています。よく笑ってくれ健康が取り柄ですが、親とは異なり寝るのが苦手なようで、夫婦ともに睡眠不足が出産当初からの悩みです。

トロントでの育児について感じていることを教えてください。

赤ちゃんを連れて歩いていると、カナダ人から「How old?」や「So cute!」などよく声を掛けられますし、ストリートカーに乗る時にはすぐに手伝ってくれたりと、子連れに対する気遣いや理解があると感じています。逆に、先日日本に一時帰国した際に、レストランでランチをしていて子供が泣きだすと、隣に座っていたお客さんにあからさまに嫌な顔をされたときは、たまたまかもしれませんが、少し残念な気持ちになりました。また、海外だと両親のサポートが簡単に受けられないですが、その反面、周囲の理解があることから仕事の融通は日本よりも利きやすく、夫婦で子育てがしやすい環境だと感じています。日本で産んでいたら、ここまで子育てに参加できなかったでしょうし、子育てがどれだけ大変かということを理解できず、ひどいことを言って喧嘩していた気がします。

日本の子育て環境とカナダの環境を比べてどのように感じていますか?

日本よりも公園が多い、子連れに対する周囲の理解が高いなど、カナダの方がよいと感じる部分もある反面、駅などのエレベーターが少ない、道路がガタガタなど、公共サービスに関しては日本の方がよいかと思います。

幼児教育はどのように取り組みたいですか?

正直なところ、まだそこまで考えていません。とりあえず、親にもらった育脳クラシックのCDを聞かせて、勝手に賢くなってくれないかと期待してます(笑)

駐在という立場上、いつかは日本に帰国されると思いますが、英語のキープ等は意識しますか?

カナダ生まれではありますが、残念ながらカナダの記憶は一切ないまま帰国になると思います。ただ、カナダで生まれたのも何かの縁ですし、日本でも20年後には今よりももっと英語を話すことが当たり前になっているでしょうから、帰国後も英語に触れる環境を少しでも多くしてあげたいと考えています。役に立つかは分かりませんが、英語の絵本や海外ならではのおもちゃなどをたくさん購入して、日本に持ち帰るつもりです。
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カナダ国籍も持つお子様に対して、将来的にどのような生活・教育等の環境を提供していきたいですか?

将来、本人が海外で勉強したい、生活したいと思ったときに、カナダ国籍があることは非常に有利ですし、またカナダは治安も生活環境もとてもよく、教育についても同僚のカナダ人やカナダで教育を受けたことがある日本人からお薦めだと聞くので、安心して送り出せる気がします。といいながら、実際に子供に海外に行きたいと言われたら、離れて暮らしたくないので、駄目だと言うでしょうね(笑)


ピーター・ウェンダンさん、松尾千佳さん、璃音君(7歳・G2)、玲奈ちゃん(3歳)ファミリー

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妊娠・出産・育児には予想もしないドラマがある。親になって8年。育児が少し落ち着いて来たご夫婦に、当時の悩みや葛藤を振り返ってもらいながら、今だから分かる喜びや希望を語ってもらう。

二人のお子様をもつ松尾さんですが、妊娠・出産から幼少期の育児を振り返ってみていかがですか?

妊娠から始まり、出産、育児と、全てが予想していなかったことの連続だったように感じます。まず、自分が妊娠したいと思うタイミングでうまく妊娠できた訳ではありませんでしたし、妊娠したと喜ぶのも束の間、流産をして涙を流した経験もあります。また、一人目を妊娠中は、できるだけスムーズに出産できるようにとマタニティーヨガに通ったりもしましたが、その努力も虚しく、結局は緊急帝王切開で出産しました。妊娠から出産まで、予期せぬことの連続で、精神的にもアップダウンの激しい日々を過ごしていたのを覚えています。それでも長男を出産して初めて抱いたその瞬間に、それまでの苦労や痛みは全て吹き飛びました。息子との出会いは人生最大のご褒美でした。そして私の育児生活が始まりました。今振り返ってみると、育児書は全く読む必要がなかったのではないかと思います。子供は赤ちゃんの時からしっかりとした個性があり一人ひとりが全く違います。育児書に書いてある通りになんて到底なりませんし、子育ての仕方に正解はないと思います。一人目の子がまだ小さい頃は、「どうして同い年の他の子はこれができるのに、うちの子はできないのだろう。どうして違うのだろう」と悩む時が多々ありました。専門家のカウンセリングを受けに行ったこともあります。できないことをやらせようと、私自身もストレスを感じていましたし、息子にもプレッシャーを与えてしまっていたのではないかと思います。子供は一人ひとり違うから、得意なことと苦手なことがあるのは当たり前で、周囲と比較する必要は全くなかったのに、新米ママだった頃は不必要な焦りを感じていたように思います。母親になって8年目の今、私がすべきことは、子供をしっかりと見てあげて、その子の個性を生かして能力を最大限発揮できるように手助けしてあげることだと感じています。苦手なことを克服しようと努力することは大切ですが無理はさせず、それよりもできることを思いっきり褒め、自信を持たせてあげたいと思っています。

夏は一ヶ月日本に帰省し、幼稚園や小学校に通うそうですが、カナダと日本の違いはどのように感じますか。

私は毎年夏に子供を連れて帰省し、両親の家に1ヶ月滞在しています。子供が小さい頃は戸惑いを感じるような機会はあまりなかったのですが、幼稚園や小学校に通わせるようになってからは、日本とカナダの教育方針の違いを感じずにはいられません。一般的に言われていることでもありますが、日本は協調性を重視し、カナダは個性や独創性を重視しているというのを、再認識しました。例えば、息子が日本で小学校に通っていた時の毎日の宿題は、国語の教科書の模写と計算カードの暗記でした。間違えないように正しく書くことと、覚えることを問われる宿題です。カナダの小学校では、毎日自分の好きな本を持って帰り、それを読んでコメントを書くというのが宿題になっています。また先日は、「答えが10になる問題を作りなさい」という算数の宿題もありました。自分が感じたことを表現することと、想像力を働かせることが問われていて、正解は無限にあります。この全く異なる勉強の仕方を、毎日、何年も続けるわけですから、どちらの国で教育を受けたかによって大人になる頃には思考回路に大きな差ができていると思います。どちらが良いというわけではありません。生活の中では協調性が問われる場面もあれば、個性を問われる場面もありますので、両方ともをバランス良く兼ね備えられればそれが一番だと思います。私の子供はカナダで教育を受けてきましたし、生まれ持った性格もあり、想像力が豊かで個性的です。その反面、周囲に合わせたり、我慢することが苦手なので、私がうまく日本の教育方法も取り入れていかなければと思っています。余談ですが、息子は日本の学校に通っていた際に、本人なりに違いを感じていたようです。皆が同じ服に黄色帽で登校することや、体育の時間には同じ体操着に着替えること、喉が渇いてもトイレに行きたくなっても休み時間までは我慢しないといけないことなど、日本で育った私には当たり前のような事でも息子にとっては驚くことがたくさんあったようです。日本で学校に通うのは1年間でたったの3~4週間ですが、子供にとっては日本とカナダの違いについて学ぶ、とても貴重な時間になっているようです。

ご主人とは日本語教育などについてどのように話し合っていますか?

私は日本人ですから、子供にも日本語を話して欲しいし、日本の文化も学んで欲しいという気持ちがどうしてもあります。そのため子供は2人とも日系の保育園に入れましたし、上の子は、今は土曜日に日本語学校に通わせています。ですが、日本語教育に力を入れる余り現地校での勉強を疎かにしてしまうのは良くないと主人から指摘を受けてハッとしたことがありました。子供は私の分身ではなく本人の人生があるわけですから、子供にとって何がベストなのかを考えないといけないですし、今はちょっと肩の力を抜いてやっていくべきなのかもしれません。本人がその気になった時にスムーズに学べるように、ある程度の下地を作っておくこと。今はそれで十分なのではないかと感じています。

カナダで成長および教育を受けていくであろうお子様に対してどのような期待と願いを込めますか?

英語で教育を受けて育つということは、将来仕事を選ぶ際や住む場所など、様々な場面で可能性がぐんと広がりますから、思う存分羽ばたいて欲しいと思います。ですがその前にまずは、色々なことにチャレンジして、自分の得意なこと、好きなことが何なのかを見極め、そして自分で幸せを掴み取れる子に育っていって欲しいです。

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