Hiroの部屋 建築設計事務所UUfie 太田英理さん [前編]

太田英理さん(左)とHiroさん(右)

「子どもの頃から何かを 理解するのが好きだった」

建築設計事務所UUfie代表を務める太田英理さんは、住宅をはじめとする建築の設計にとどまらず、内装や家具など様々なデザイン設計まで幅広く手がけており、クリエイティブとロジックが絶妙なバランスで融合した作品たちはもはや〝芸術〈アート〉〟とも呼べるだろう。髪をデザインする美容師Hiroさんは、太田さんと初めて会った時から何か通ずるものがあったという。異業種ながらもお二人が生きるクリエイトの世界とは一体どのようなものなのか。

Hiro:世界各所より建築やデザインのお仕事のオファーが舞い込むこともあるという太田さんですが、日本で建築を学ばれた後、どのようにしてトロントへ来ることになったのでしょうか?

太田:日本で大学を卒業後、 青木淳さんの建築事務所で仕事をさせていただくようになりました。学生の頃よりその事務所で働いていたのですが、〝やりたいことを試させてくれる場所〟であり、みんなが「自分は世界で一番面白いことをやっている」という自負を持ちながら設計活動に専念していましたね。そこから5〜6年ほど経った頃に独立をしようと青木さんの事務所を後にしたのですが、日本の建築司法の改正のため、事務所の開設を数年待たなければならなくなってしまったのです。

どうしようかなと悩んでいた時に、設計をすすめていたカナダの建築プロジェクトがあり「この時間を使って現地でプロシェクトを動かしてみよう。」とカナダへ来たのが始まりでした。プロジェクトを進めていくにあたりネットワークも構築されていき、またカナダはデザインという意味では〝未開の地〟だと感じており、日本よりも自由度が高く面白く、自分にも合っているのではないか?と思いました。そうして最終的にはカナダを拠点に仕事をする形となりました。

Lake Cottage ©Naho Kubota


Hiro:〝未開の地〟という言葉が出ましたが、古くから歴史のある日本とは違って、良い意味でカナダは歴史が浅いので、「自分たちが新たな歴史を作っているんだ。」という気持ちを持っている人が多いですよね。建築やデザインの世界においても、カナダにはそういった自由な空気があるのではないでしょうか。

太田:そうですね。他の国のデザインと比べてもカナダには出来上がったスタイルがないので、自分たちがデザインしたものが、カナダのブランドになっていってくれているような、そういった印象を受けています。

Hiro:そもそもどうして建築やデザインのお仕事に興味を持ったのですか?

太田:父親は学芸員、母親は油絵を描いていたりと美術系の家庭で育ったことにも少なからずとも影響は受けているのかもしれませんが、子供の頃からとにかく手先が器用で三次元でモノを考えることが好き、そして何かを〝理解するのが好き〟でした。建築家はお施主さんを理解し、また建築設計するその街や地域などあらゆることを理解しなくてはなりません。その一つ一つを紐解いていくのが非常に面白いですし、もっと知りたいという気持ちが駆り立てられますね。

Hiro:僕は美容師という仕事をしていて、建築家とは全く異なる職業ですが、とても共通点を感じます。僕自身も子どもの頃から図画工作などモノづくりが好きで、また人と携わって人を理解することが好きでした。結果としては、髪の毛での表現が面白く感じこの業界に入りましたが、現在は人が歩む道をクリエイトする感じで、美容師に限らず、他業種や学生さんたちに少しでも良い影響を与えられるような活動にも面白さを感じてきています。

太田:そうやって人のためになることって結構楽しいですよね。綺麗事ではなく、自己陶酔のような世界であるのかもしれませんが、自分がしたことによって人が幸せになったり、嬉しいと感じてくれている、それだけで満たされていく気がします。

デュポンより依頼されて完成したPEACOK-L ©Andrew Wilcox


Hiro:本当にその通りだと思います。またそのような気持ちで仕事を続けられてきて、現在では建築だけではなく家具のデザインなど、本当に幅広く手がけられていますね。

太田:初めて家具のデザインのお仕事をいただいたのは、デュポンからの依頼で「自分たちの製品を使って誰も見たことのないものを作って欲しい」というなんとも漠然としたものでした。そしてそのプロジェクトがひと段落すると、今度はまた違うところからもデザインの依頼がくるようになっていきました。人からは「どうしてそんなにいろんな事をやっているの?」とよく聞かれますが、どんなプロジェクトを行うにしても、相手を理解するところからスタートし、その中でデザインの可能性ときっかけを探っていくという点において、建築も家具のデザインも、出来上がるまでの過程こそ違いますが、僕たちにとって全く同じことなのです。

Hiro:そのようなデザインなどの仕事も含めて、現在は海外からの仕事の割合が多いですか?また世界を舞台に仕事をする面白さとは何でしょうか?

太田:今は約5割は海外の仕事です。国によって個性があり面白いことは沢山あります。例えば中国の方は鋭角のデザインを好まない傾向があったり、インドの方は民主主義と言いますが、階層社会であるにも関わらず会議中はみんなが同時に自由に発言しているなど、本当に国によって様々です。あとはその土地ごとの料理も美味しいですし、何よりも世界を舞台に仕事をするといろんな人との出会いがあることが楽しいです。

次回、Hiroの部屋〈後編〉では、太田さんの今後の活動に対する展望や読者へのメッセージも含めてお送りします。お楽しみに!

(聞き手・文章構成 TORJA編集部)


太田英理さん

武蔵野大学卒業。青木淳建築計画事務所で建築家としてのキャリアを磨き、2009年にIrene Gardpoit氏とともに建築設計事務所UUfieを設立。その後渡加し、トロントにオフィスを構える。住宅や公共や商業施設の建築をはじめとし、インテリアや家具のデザインに至るまで国内外問わず活躍中。作品はイタリア・ミラノの展覧会にも出展されるなど、世界から注目を浴びている。
HP: www.uufie.com Tel: 416-533-9999
Mail: info@uufie.com
Add: 202-258 Wallace Ave., Toronto, ON M6P 3M9


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor / salonbespoke.ca
PV: “Hiro salon bespoke”と動画検索