Hiroの部屋 建築設計事務所UUfie 太田英理さん [後編]

Hiroさん(左)と太田英理さん(右)

トロントを拠点に、今や世界を相手に活躍する建築家、デザイナーである太田英理さん。太田さんが代表を務める建築設計事務所UUfieがこれまで生み出してきた作品を見れば、その無限に広がる建築やデザインの創造性をまざまざと感じられることだろう。ともにクリエイティブな世界で生きる美容師Hiroさんと太田さんの対談後編をお楽しみください。

Hiro:太田さんが手がけられてきた建築物やデザインを拝見したり、またこうしてお話を聞いたりしていると、太田さん自身が非常にロジカルな部分をお持ちなのだなと感じます。こういったクリエイティブな業界になればなるほど、もっとアーティスティックな方も沢山いらっしゃるかと思うのですが、いかがですか?

太田:普段デザインをする時には、アートの思考で考える自分と、その自分を客観的に見るもう一人の自分をつくり、その二人の間を何度も行ったり来たりして、デザインがどんな意味を持つのかを自問自答しながら作業を進めていきます。実際に使う人が大切なのですから、設計者が自分の価値観を押し付けることはやってはいけないと思っています。

Ports 1961 Shanghai ©Shengliang Su


Hiro:自身の目線からだけではなく、一歩引いて客観的に物事を捉えることが大切なのですね。またお仕事をされていく中でこれら建築やデザインのインスピレーションは一体どこから湧いてくるものなのでしょうか?

太田:インスピレーションは、本を読んだり、町を歩いたりと、毎日のほんの些細なことから得ていると思います。その他に、旅行に頻繁に行くのですが、自分の知らない土地で、人がどんな生活をしているのか観察し発見することは、デザインの引き出しを増やし、新しい視点で物事を考えるきっかけになります。

Hiro:自分が知らない場所で生きている人に出会うことって、とても面白いですよね。僕は美容師という職業柄、人とよく話したり髪などに触れたりするせいか、人を見るのもそうですが、色々な人と関わり合っていくことも大好きです。ちなみに、太田さんが今までやってきたお仕事の中で特に印象に残っているものなどはありますか?

太田:僕たちのデザインは、プロジェクトごとに全く異なるので、一つを選ぶのは難しいですね。UUfieは一般的な設計事務所に比べて規模が小さく、多くの仕事を引き受けているというわけではないので、一つ一つの依頼に対して、お施主さんと本気でお付き合いをすることが出来ています。そうやって建物のクオリティを上げていくことで、ちゃんと世に発表できるものを作ってきましたし、実際に一度関わらせていただいたお施主さんの紹介で、次の仕事に繋がるというケースも多く、そんな時は仕事を通して信頼関係を築くことが出来たのかなと感じます。ですから、どれか一つが特別だったという想いはなく、僕にとっては全てが特別です。

4月のミラノデザインウィークで発表されたEcho


Hiro:一つ一つの仕事に真剣に向き合うからこそ、素晴らしい作品やそのような信頼関係までもが構築されていくのですね。ちなみに、事務所の規模についてのお話が出ましたが、現在はどのようなスケールでお仕事が行われているのでしょうか?

太田:建築事務所では、一人のスタッフが複数のプロジェクトに携わるのが一般的ですが、うちの事務所では、一人が一つのプロジェクトに専念する形を取っています。独立する前に所属していた青木淳さんの設計事務所でも同じ形態でした。およそ十人くらいのスタッフが働いていて、小規模の住宅やインテリアデザインから、表参道のルイヴィトンや青森県立美術館の設計といった大きなプロジェクトまでを動かしていました。そのような環境の中で経験を積み、僕も学べることが多かったです。モノを作る、設計をすることが好きなので、今後もそれを楽しめる規模でありたいと思います。

Hiro:今現在、僕自身も美容院を大きくしようというようなビジョンはあまりなく、いつまでも自分自身がプレイヤーでいて、楽しみながらやっていきたい気持ちが強いので、太田さんが仰る事にとても共感が持てます。では、今後はどのような展望をお持ちでしょうか?

太田:ここカナダで、もっと住宅を作りたいですね。僕にとって、住宅の仕事は、事務所がどんなに立て込んでいても、常に一件はやっていきたい大切なものです。こちらには日本人も沢山住んでいますし、とりわけ日本人は「生活」に関する感覚、住むということをどう捉えるかという点において、自由な考え方を持っているので、日本人相手に住宅を作っていくのは面白いなと思っています。住宅は、お施主さんが毎日の生活をしていく場所なので、公共や商業建築とは異なる大変さがありますが、その分の面白さとやりがいを感じられます。

Hiro:今後のご活躍も、とても楽しみです。最後に、TORJA読者の中にも建築家になりたいなど様々な夢を追っている人たちがいますが、そういった読者の方々にメッセージをお願いします。

太田:時間を思いっきり無駄にしたらいいと思います。無駄にするというのは、色んな寄り道をするということです。その寄り道の振れ幅が広ければ広いほど、将来に自分の糧となりますし、その寄り道をさせてくれる環境に身を置けたら、一番良いのではないかと思います。一見無駄に思えるような過程でも、後々その点と点が繋がっていく瞬間が必ず来ますから。

(聞き手・文章構成 TORJA編集部)


太田英理さん

武蔵野大学卒業。青木淳建築計画事務所で建築家としてのキャリアを磨き、2009年にIrene Gardpoit氏とともに建築設計事務所UUfieを設立。その後渡加し、トロントにオフィスを構える。住宅や公共や商業施設の建築をはじめとし、インテリアや家具のデザインに至るまで国内外問わず活躍中。作品はイタリア・ミラノの展覧会にも出展されるなど、世界から注目を浴びている。
HP: www.uufie.com Tel: 416-533-9999
Mail: info@uufie.com
Add: 202-258 Wallace Ave., Toronto, ON M6P 3M9


Hiroさん

名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYの有名サロンやVidal Sassoonからの誘いを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今現在も、サロンワークを中心に著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。

salon bespoke Tel: 647-346-8468
130 Cumberland St. 2nd floor / salonbespoke.ca
PV: “Hiro salon bespoke”と動画検索

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