日本における『LGBTQ+』|カナダで暮らす私たちが考える日本の『LGBTQ+』社会確立への提言|特集 カナダ「LGBTQ+」

カナダで暮らす私たちが考える日本の『LGBTQ+』社会確立への提言

 現在、世界ではカナダを含む26カ国で同性婚が認められており、G7の中で同性婚を認めていないのは日本とイタリアのみである。ただし、日本でも2015年のパートナーシップ認定制度実施をきっかけに、性的マイノリティに対する理解は徐々に深まり、『+』という言葉は広がりをみせている。

 日本におけるパートナーシップ制度実施は着実に広がっており、NPO法人「虹色ダイバーシティ」 によると全国20の自治体が導入し、2019年1月末までにパートナーシップ制度に登録したカップルは349組にのぼる。この制度はカップルの法的地位を認めるものではないものの、「性の多様性を尊重する取組として、自分達の存在を公に認めてほしいとする当事者の気持ちを受けとめるもの(札幌市のパートナーシップ制度より)」であるとされており、法的な保障の付く同性婚への礎になると言われている。

 今までは当事者に風当たりが強く、保守的なイメージが強かった日本だが、国立社会保障・人口問題研究所のチームによる2015年の調査によると5割以上が同性カップルの結婚に賛成しており、20~30代に限定すると、約7割が賛成している。数多くの活動家や当事者の努力によって日本での性的マイノリティの受容度は確実に高まってきており、着実に寛容な風が吹き初めていることは確かだ。

性的マイノリティへの差別、付与される負の烙印

 日本において、同性同士が愛し合うことは法律で禁止されていない。しかし、性的マイノリティは去年杉田水脈議員が「(LGBTは)不幸な生き方」と評したように、スティグマ(負の烙印)を付与される傾向にある。日本のメディアにおいて、嘲笑の対象という役割が与えられることの多い 「オカマ」「オネエ」「ニューハーフ」の表象からしても、当事者に対する差別が根強いのは明らかだろう。

 数年前に起きた、同性愛者であることを同級生にアウティングされた学生が自死した「一橋大学アウティング事件」や、自民党の谷川とむ衆院議員によるインターネット放送上の「同性愛は趣味」といった無理解な発言など、今日も当事者達にとってホモフォビア(同性愛者に対する差別)は日常茶飯事であり、深刻な問題である。 昨年は、自民党主党の杉田水脈議院議員が雑誌『新潮45』(2018年8月号)にて、『LGBTQ+』カップルは「生産性がない」と評し、税金を用いた『LGBTQ+』に関する施策の推進に反対した。この発言に対して、7月に東京で数千人が参加した大規模なデモが開催され講義の声をあげた。杉田議員は今年4月28日、新宿2丁目のバーで開催された稲田朋美氏とLGBTとの意見交換会に参加し、「本当にごめんなさいね」と頭を下げた。

既存の婚姻制度への問いかけ、家族のあり方の多様化

 今日、既存の婚姻制度の見直しの議論や家制度、また家族の形が問われる機会は増えている。例として、現在の日本の民法のもとでは、結婚に際して男性または女性のいずれか一方が必ず氏を改めなければならないが、女性が氏を改める例が圧倒的多数である。女性の進出が増え、また#MeToo運動など男女同権が重視される流れが作られているなか、改氏による社会的な不便・不利益を指摘する声が数多く挙がってきている。

 また、家族のあり方が問われる機会がメインストリームのメディアでも増えている。去年8月にリリースされた星野源のヒット曲、『Family Song』は家族のあり方を問うもので、テレビ朝日の「ミュージックステーション」に出演した際に星野氏は「家族は血の繋がりは関係ない」「両親が同性同士の家族というのも、これからどんどん増えてくると思う」と曲に込めた家族観を語った。

 また、去年第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した是枝裕和監督の『万引き家族』は、血の繋がりを持たない者たちが家族として集う作品である。子どもに「お父さん」「お母さん」と呼んでほしいと願う主人公の想いが重点的に描かれている作品であり、映画のタイトルは元々『声に出して呼んで』だった。

 婚姻制度や家族のあり方を問う流れが徐々にできているなか、一方で多様性を認めない者が多く存在するのも事実で、同性婚の法制化について立憲民主党は前向きな姿勢を見せ、今年開催された東京レインボープライドイベント(TRP)でも姿を見せていたが、年配者の多い政治家は特に変化に抵抗しがちだ。

 朝日新聞の報道によると、自民党の谷川とむ衆院議員は異性間だけに婚姻制度がある理由について、「『伝統的な家族』のあり方は、男が女と結婚し、子を授かって、家族ができ、大昔から同じようなことをして、国を衰退させないように、国が滅びないようにしてきた」と主張し、「男が男だけ、女が女だけ好きになるとなったら、多分この国は……」と続けている。この発言に対して、共演していたSEALDs元メンバーの諏訪原健氏は「国家の維持や繁栄に必要ないものに対し、政治は何もしなくてよいという発想。子どもをつくらない同性カップルは生産性がない、と主張した杉田氏の価値観に通じている」と批判した。