日本の大手企業とカナダの新興企業とのパートナーシップを通じた新しいイノベーションの創出【ジェトロ・トロント主催】


 去年12月11日にジェトロ・トロントが主催し、日本の大手企業とカナダの優れたスタートアップのパートナーシップの構築を目指したイベントがトロントのインキュベーターとして知られる「One Eleven」にて開催された。当日は三井住友銀行、JR東日本・西日本、富士通、みずほ銀行、ハイクベンチャーズがプレゼンテーションを行なった。

会場の様子


 冒頭、伊藤恭子・トロント総領事は日本の製造業の質と技術力の高さに言及し、エンジニアや研究者らはイノベーションと競争力を促進していると述べ、日本企業は海外資本による、新たな技術革命の重要性に気付き始めているとした一方、多くの日本企業が未だに自身の持つ優位性に気付いていないとも語った。また、北米におけるイノベーションは、シリコンバレーだけで興っているわけではないとし、最後には日本の大企業と直接コンタクトを取ることができる利点を述べ、どうか将来に向けたビジネスパートナーを見つけ出してほしいと参加したスタートアップ関係者に期待した。

伊藤総領事

三井住友銀行

グループの持つ組織力を強調

三井住友銀行ニューヨーク支店・中田氏


 国内外の広いネットワークについて言及し、これまでにいくつものベンチャーキャピタルやスタートアップに投資してきたことを例に挙げ、いかにイノベーションに対して積極的な姿勢をとっているかを強調した。

 同時に同社が抱える問題を解決してくれる企業も探していると加え、経営に用いられているテクノロジーは改善の余地があると言及。運営側の効率と効果を向上させてくれるテクノロジーやアイデアを探していると述べた。

JR東日本&JR西日本

今後のビジネス展開においてイノベーションは不可欠

JR西日本・横畑氏

JR東日本・藤橋氏

 新たなビジョン「Move Up 2027」を掲げ、鉄道のインフラ整備から人の生活の豊かさへのビジネスシフトに言及。IoTやAIなど、様々な最新テクノロジーを用いてサービスの質をさらに向上していきたいと強い想いを語った。

 日本ではお馴染みの電子マネー「Suica」を用いて乗客のデータを収集・分析したサービスの改善や、タクシーやカーシェアリングとコラボし、MaaSの方面からもサービスを提供していきたいとし、これらを実現していくために最先端のテクノロジーに詳しいスタートアップと力を合わせていきたいと述べた。

富士通

カナダ社をバンクーバーに設立し、技術の進歩に貢献

富士通・荒木氏


 最新技術の「デジタルアニーラ」を紹介し、これまで不可能とされていた類の問題の解決を可能にした技術が、すぐに実用可能であることが強みとした。

 さらに、共同開発の重要性についても言及。富士通では常にお互いの強みを生かして社会的価値のあるプロジェクトに挑んでいきたいと語った。

みずほ銀行

顧客である日系企業とカナダのスタートアップを繋ぐ役割を果たしたい

みずほ銀行・須藤氏


 カナダの最先端技術は世界トップレベルであり、それを必要とする日本企業も多いのではないかと指摘。また、日本企業の課題を挙げ、品質管理やセキュリティ関連など、これまでのテクノロジーのさらに上を行くソリューションを探している企業もあると語った。

ハイクベンチャーズ

サンフランシスコと東京に拠点を持つ

ハイクベンチャーズ・安田氏


 人とアルゴリズムの融合をテーマとして、スタートアップへ投資をしているベンチャーキャピタルである同社は、アルツハイマー病を早期に発見する技術を開発している企業や、運送においてトラックとルートをマッチングするという技術を開発している企業など幅広い企業に投資している。

 カナダのスタートアップを日本に誘致したいと強調し、サンフランシスコと東京に拠点を持つメリットとネットワークを活用し、カナダのスタートアップが日本やアジア市場へ進出することを後押ししたと述べた。

ジェトロ・トロント次長
江崎江里子氏コメント

ジェトロ・トロント次長 江崎江里子氏

●スピーカーおよび参加者の選定についてどのような意図を汲んだか

 最近、カナダの高い技術や充実したイノベーションエコシステムが注目されるようになり、日本の大手企業もカナダの優れたスタートアップを探しているという動きがあります。こうした流れを背景に、ジェトロでは、カナダ主要都市のインキュベーターと協力して日本企業によるリバースピッチイベントを企画しました。

 9月にモントリオールで実施したのを皮切りに、今回キッチナー・ウォータールー地域、そしてトロントで開催。3月にはエドモントン、バンクーバーでの実施を検討しています。今回の日本側のスピーカーは、金融機関、鉄道会社、ICT、ベンチャーキャピタルと幅広く、多くのスタートアップの関心に触れるように企画しました。
 

●開催場所に選んだ「One Eleven」のポジショニングをどのように捉えているか

 カナダの中でも、もっともエコシステムが充実していると言っても過言のないトロントは、60ものインキュベーター、アクセラレーターがあると言われていますが、「One Eleven」はスタートアップがスケールアップする段階の支援をする「スケールアップハブ」と自らを名乗っているように、成長株の企業を探すのに適したパートナーだと考えました。

●前日には北のシリコンバレーとも称されるウォータールーでの開催でした

 リバースピッチイベントは、日ごろ自分たちがピッチをする立場のスタートアップにとってとても新鮮だったようで、非常に評価が高く、日本をビジネスの展開先として考える良い機会となったようです。